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第二章 七不思議の中のマンドラゴラ
037.冒険してみますか?
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「まあ、モンスターがいないことはわかった」
「黒猫はモンスターですよぅ」
メイのクレームはとりあえずスルーする。
「そして、ダンジョンが無さそうだということもわかった」
「遊園地にありますよ」
メイが親切心から言ってくれるけど、それもスルーする。
そして、メイから収集した情報を分析する。
「・・・・・」
「ケイ?」
分析して結論を出す。
その結論の感想は、
「異世界が平和ってどういうことだよ!!!」
「ひゃっ!」
というものだった。
突然大声を出した俺にメイが驚くが、それもスルーだ
それどころじゃない。
「異世界モノって言ったら、冒険はつきものだろう!最近はスローライフ系も流行っているけど、それにしたってモンスターやダンジョンは出てくるぞ!どっちも無いって、どういうことだ!!!」
詐欺だ!
こんなのを異世界と言って広告に載せたら、JAR〇に訴えられるレベルだ!
誰を訴えればいい?
知らない間にこんな異世界に転生させた女神か?
しかし、会ったことがない!
泣き寝入りしかないのか!?
「なんだか、よくわかりませんけど・・・」
俺が訴え先について検討していると、メイがかわいそうな子でも見るような目で声をかけてくる。
「ケイは冒険がしたいんですか?」
へっぽこにかわいそうな目で見られているという状況に、俺は少し頭を冷やす。
いかん。
異世界のあまりの理不尽さに、思わず我を忘れてしまった。
こほんと咳払いをして、俺はメイの質問に答える。
「ああ、そうだ」
俺は力強く断言する。
「俺のいた世界では、異世界に転生した者は冒険をしないといけない、というお約束があったんだ」
「お約束、ですか?」
「世界の真理と言い換えてもいい」
「真理・・・」
壮大になってきた話に、メイが真面目な表情になる。
「それに反すると怖ろしいことが起こるんだ」
「怖ろしいこと?」
メイがごくりと唾を飲み込む。
そんなメイに俺は真実を語る。
「ブックマークが消えたり、ポイントが消えたり、星が消えたり、色々な怖ろしいことだ」
「星が消える!?天体に影響を与えるような怖ろしいことが!?」
メイが驚愕に震える。
メイにも怖ろしさが理解できたようだ。
「だから、俺は冒険をしないといけない」
「ケイにはそんな凄い使命があったんですか」
メイが尊敬の眼差しを向けてくる。
使命に赴く勇者に向ける尊敬の眼差しだ。
「うむ。ぶっちゃけ、メイが学校に行っている間、暇なんだ」
「屋根裏でも冒険していたらいいんじゃないですか?ネズミくらいならいると思いますよ?」
しかし、その眼差しは一瞬で村人Aに向けるものに変わる。
まあ、倒すべき魔王もいないしな。
*****
くぴくぴ
ぽりぽり
「そんなに暇なら、私が通っている学校でも冒険してみますか?」
お茶を飲んだり煮干しを齧ったりしてくつろいでいると、メイがそんな提案をしてきた。
「学校?でも、人が大勢いるだろう?」
見つかったら、俺のような珍妙な生き物など、どうなることか。
捕まえられて売り払われてしまうのではないだろうか。
そんな意味を込めた俺の質問にメイが答える。
「全校生徒は九人です。先生を合わせて十人ですね」
どうやら、過疎地の学校並みに生徒が少ないらしい。
上手く隠れることができれば、見つかる可能性は低いだろう。
しかし、それでも不安は残る。
子供はときに大人よりも残酷だ。
捕まえた昆虫を無邪気に解剖したりする。
「見つかるのが嫌なら、変装でもしますか?」
俺が不安そうにしているのが分かったのだろう。
メイがさらにそんな提案をしてきた。
「黒猫はモンスターですよぅ」
メイのクレームはとりあえずスルーする。
「そして、ダンジョンが無さそうだということもわかった」
「遊園地にありますよ」
メイが親切心から言ってくれるけど、それもスルーする。
そして、メイから収集した情報を分析する。
「・・・・・」
「ケイ?」
分析して結論を出す。
その結論の感想は、
「異世界が平和ってどういうことだよ!!!」
「ひゃっ!」
というものだった。
突然大声を出した俺にメイが驚くが、それもスルーだ
それどころじゃない。
「異世界モノって言ったら、冒険はつきものだろう!最近はスローライフ系も流行っているけど、それにしたってモンスターやダンジョンは出てくるぞ!どっちも無いって、どういうことだ!!!」
詐欺だ!
こんなのを異世界と言って広告に載せたら、JAR〇に訴えられるレベルだ!
誰を訴えればいい?
知らない間にこんな異世界に転生させた女神か?
しかし、会ったことがない!
泣き寝入りしかないのか!?
「なんだか、よくわかりませんけど・・・」
俺が訴え先について検討していると、メイがかわいそうな子でも見るような目で声をかけてくる。
「ケイは冒険がしたいんですか?」
へっぽこにかわいそうな目で見られているという状況に、俺は少し頭を冷やす。
いかん。
異世界のあまりの理不尽さに、思わず我を忘れてしまった。
こほんと咳払いをして、俺はメイの質問に答える。
「ああ、そうだ」
俺は力強く断言する。
「俺のいた世界では、異世界に転生した者は冒険をしないといけない、というお約束があったんだ」
「お約束、ですか?」
「世界の真理と言い換えてもいい」
「真理・・・」
壮大になってきた話に、メイが真面目な表情になる。
「それに反すると怖ろしいことが起こるんだ」
「怖ろしいこと?」
メイがごくりと唾を飲み込む。
そんなメイに俺は真実を語る。
「ブックマークが消えたり、ポイントが消えたり、星が消えたり、色々な怖ろしいことだ」
「星が消える!?天体に影響を与えるような怖ろしいことが!?」
メイが驚愕に震える。
メイにも怖ろしさが理解できたようだ。
「だから、俺は冒険をしないといけない」
「ケイにはそんな凄い使命があったんですか」
メイが尊敬の眼差しを向けてくる。
使命に赴く勇者に向ける尊敬の眼差しだ。
「うむ。ぶっちゃけ、メイが学校に行っている間、暇なんだ」
「屋根裏でも冒険していたらいいんじゃないですか?ネズミくらいならいると思いますよ?」
しかし、その眼差しは一瞬で村人Aに向けるものに変わる。
まあ、倒すべき魔王もいないしな。
*****
くぴくぴ
ぽりぽり
「そんなに暇なら、私が通っている学校でも冒険してみますか?」
お茶を飲んだり煮干しを齧ったりしてくつろいでいると、メイがそんな提案をしてきた。
「学校?でも、人が大勢いるだろう?」
見つかったら、俺のような珍妙な生き物など、どうなることか。
捕まえられて売り払われてしまうのではないだろうか。
そんな意味を込めた俺の質問にメイが答える。
「全校生徒は九人です。先生を合わせて十人ですね」
どうやら、過疎地の学校並みに生徒が少ないらしい。
上手く隠れることができれば、見つかる可能性は低いだろう。
しかし、それでも不安は残る。
子供はときに大人よりも残酷だ。
捕まえた昆虫を無邪気に解剖したりする。
「見つかるのが嫌なら、変装でもしますか?」
俺が不安そうにしているのが分かったのだろう。
メイがさらにそんな提案をしてきた。
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