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第一章 森の中のマンドラゴラ
031.こういうことか
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メイの家を訪れた二人は、メイがいるベッドの横に椅子を持ってきて、学校であった出来事などを話す。
連絡事項というよりは雑談だ。
メイが退屈しているとでも思ったのだろう。
「ねえ、そろそろ帰りましょう」
しばらくした後、女子の方がそんなことを言い出した。
「え?でも、メイちゃん一人暮らしだし、看病しなくていいかな?」
「あたし達がいたら、メイちゃんも眠れないだろうし迷惑よ。ね?」
男子の方はメイが心配なようだが、女子の方はさっさと見舞いを切り上げたいらしい。
『ね?』というのはメイに対してだ。
疑問形だが、明らかに断定口調で話している。
「・・・うん」
女子の言葉にメイは素直に頷く。
本人が肯定しては男子の方も残るわけにはいかない。
心配そうにしながらも席を立つ。
「明日もお見舞いに来るよ」
男子の方がそんなことを言う。
けど、女子の方はそんなつもりはないようだ。
「毎日来たら、メイちゃんも迷惑すると思うわ。体調を崩したことを、おばあちゃんに教えてあげた方がいいんじゃないかしら」
「え、でも」
「・・・おばあちゃん、明日か明後日には来るから大丈夫」
メイは女子の言葉に、教える必要はないと言う。
そして、女子が言った迷惑という言葉は否定しない。
「そう?じゃあ、今日はこれで帰るね」
「バイバイ」
こうして二人は去っていった。
寝室に静けさが戻る。
もう出ても大丈夫そうだと、俺は土の中から身体を出す。
「学校の友達か?」
「・・・学校の知り合い」
二人の出ていった扉を見ていたメイだけど、こちらを振り返ったときには、いつもの様子だった。
さっきまでは不機嫌そうだったけど、今はそんな様子はない。
「ごめんね、ケイ。隠れさせちゃって」
「世話になっているんだし、そのくらいはかまわないさ」
「でも、いざっていうときに困りますよね。何か慌てて隠れなくて済む方法を考えましょうか」
話を逸らそうとしているのが丸わかりだ。
分かりやすいな。
けど、あえて指摘することもないだろう。
「考えてくれるのはありがたいが、もう少し寝ろ」
「一日寝てたら熱も下がったから大丈夫だよ。夕食の支度もしないといけないし」
「そうか」
そういえば、もう夕食か。
昼はリンゴしか食べていないから、腹が減ったのかも知れない。
食事の支度を手伝ってやりたいが、この小さい身体だとそれは難しい。
申し訳ないけど、メイに任せるか。
*****
夕食後。
再びベッドに入ったメイを見ながら、昼間のことを考える。
メイの見舞いにきた二人のことだ。
揃って来るくらいだから、あの二人は仲がよいのだろう。
そして、見舞いにくるくらいだから、メイとも仲がよいのだと思う。
だけど、メイは二人がきたときに不機嫌になった。
それに、男子の方はメイを心配そうだったけど、女子の方はメイにキツイことを言っていた気がする。
「つまり、こういうことか」
メイ →(好き)→ 男子 ←(好き)← 女子
俺は頭の中で三人の関係を図示する。
「メイは二人が仲良くしているから不機嫌になって、女子の方も男子がメイのことばかり心配するから、メイにキツイことを言っていたってわけか」
分かりやすい三角関係だ。
「だとすると、メイが惚れ薬を使おうとしているのは、あの男子か」
どこにでもいるような平凡な男子だった。
容姿は整ってはいるが、驚くほどのイケメンというわけではなかった。
でも、メイのことを心配している様子だったのは好感が持てる。
そんな父親が娘の交際相手を評価するようなことを考えてしまう。
「まあ、優しそうなヤツではあったな」
メイもへっぽこではあるけど気遣いができる性格ではあるし、お似合いなのかも知れない。
二人が付き合うというなら、反対する理由は無さそうだ。
唯一の問題は恋敵の存在か。
「メイのやつ、気を遣って身を引きそうだな」
メイに対する態度を観ていると、あの女子は気が強そうだった。
性格が悪いとは限らないが、恋敵としては手強い相手になるだろう。
メイが惚れ薬を作ろうとしているのも、それが理由なのかも知れない。
「・・・仕方ないか」
このままだと、メイは恋の争いに敗れる可能性が高い。
世話になっている身であるし、少しだけ手伝ってやることにする。
連絡事項というよりは雑談だ。
メイが退屈しているとでも思ったのだろう。
「ねえ、そろそろ帰りましょう」
しばらくした後、女子の方がそんなことを言い出した。
「え?でも、メイちゃん一人暮らしだし、看病しなくていいかな?」
「あたし達がいたら、メイちゃんも眠れないだろうし迷惑よ。ね?」
男子の方はメイが心配なようだが、女子の方はさっさと見舞いを切り上げたいらしい。
『ね?』というのはメイに対してだ。
疑問形だが、明らかに断定口調で話している。
「・・・うん」
女子の言葉にメイは素直に頷く。
本人が肯定しては男子の方も残るわけにはいかない。
心配そうにしながらも席を立つ。
「明日もお見舞いに来るよ」
男子の方がそんなことを言う。
けど、女子の方はそんなつもりはないようだ。
「毎日来たら、メイちゃんも迷惑すると思うわ。体調を崩したことを、おばあちゃんに教えてあげた方がいいんじゃないかしら」
「え、でも」
「・・・おばあちゃん、明日か明後日には来るから大丈夫」
メイは女子の言葉に、教える必要はないと言う。
そして、女子が言った迷惑という言葉は否定しない。
「そう?じゃあ、今日はこれで帰るね」
「バイバイ」
こうして二人は去っていった。
寝室に静けさが戻る。
もう出ても大丈夫そうだと、俺は土の中から身体を出す。
「学校の友達か?」
「・・・学校の知り合い」
二人の出ていった扉を見ていたメイだけど、こちらを振り返ったときには、いつもの様子だった。
さっきまでは不機嫌そうだったけど、今はそんな様子はない。
「ごめんね、ケイ。隠れさせちゃって」
「世話になっているんだし、そのくらいはかまわないさ」
「でも、いざっていうときに困りますよね。何か慌てて隠れなくて済む方法を考えましょうか」
話を逸らそうとしているのが丸わかりだ。
分かりやすいな。
けど、あえて指摘することもないだろう。
「考えてくれるのはありがたいが、もう少し寝ろ」
「一日寝てたら熱も下がったから大丈夫だよ。夕食の支度もしないといけないし」
「そうか」
そういえば、もう夕食か。
昼はリンゴしか食べていないから、腹が減ったのかも知れない。
食事の支度を手伝ってやりたいが、この小さい身体だとそれは難しい。
申し訳ないけど、メイに任せるか。
*****
夕食後。
再びベッドに入ったメイを見ながら、昼間のことを考える。
メイの見舞いにきた二人のことだ。
揃って来るくらいだから、あの二人は仲がよいのだろう。
そして、見舞いにくるくらいだから、メイとも仲がよいのだと思う。
だけど、メイは二人がきたときに不機嫌になった。
それに、男子の方はメイを心配そうだったけど、女子の方はメイにキツイことを言っていた気がする。
「つまり、こういうことか」
メイ →(好き)→ 男子 ←(好き)← 女子
俺は頭の中で三人の関係を図示する。
「メイは二人が仲良くしているから不機嫌になって、女子の方も男子がメイのことばかり心配するから、メイにキツイことを言っていたってわけか」
分かりやすい三角関係だ。
「だとすると、メイが惚れ薬を使おうとしているのは、あの男子か」
どこにでもいるような平凡な男子だった。
容姿は整ってはいるが、驚くほどのイケメンというわけではなかった。
でも、メイのことを心配している様子だったのは好感が持てる。
そんな父親が娘の交際相手を評価するようなことを考えてしまう。
「まあ、優しそうなヤツではあったな」
メイもへっぽこではあるけど気遣いができる性格ではあるし、お似合いなのかも知れない。
二人が付き合うというなら、反対する理由は無さそうだ。
唯一の問題は恋敵の存在か。
「メイのやつ、気を遣って身を引きそうだな」
メイに対する態度を観ていると、あの女子は気が強そうだった。
性格が悪いとは限らないが、恋敵としては手強い相手になるだろう。
メイが惚れ薬を作ろうとしているのも、それが理由なのかも知れない。
「・・・仕方ないか」
このままだと、メイは恋の争いに敗れる可能性が高い。
世話になっている身であるし、少しだけ手伝ってやることにする。
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