森の中のマンドラゴラ~異世界は平和だったので、おっぱいとたわむれることにする~

かみゅG

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第一章 森の中のマンドラゴラ

030.惚れ薬か

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 性格は素直だし、他人を気遣うこともできる。
 そんなメイが魔術の素材集めでは我儘を言う。

「何を作ろうとしているんだろうな」

 よほど作りたい魔法薬でもあるのだろうか。
 興味が湧いた俺は、タオルを交換する合間に、時間潰しも兼ねて魔術書を読む。
 以前読んだときはマンドラゴラを使って作れる魔法薬を絞り込んだが、種類を一つには特定できなかった。
 けど、昨夜収穫したハーブから、もっと特定できるだろう。
 そう考えて、ぺらぺらと魔術書をめくっていく。

「・・・これは違うし・・・これも違うな・・・これか?」

 材料が条件に合う魔法薬はあったが、他にもある可能性がある。
 引き続き魔術書をめくっていく。
 しかし、結局、最初に見つけたものしか条件に合う魔法薬は無かった。
 とすると、これで決定だな。

「惚れ薬か。メイも年頃の女の子だしな。不思議ではないか」

 あれほど素材集めにこだわるのだ。
 誰に使うつもりなのかは知らないが、よほどその相手を惚れさせたいのだろう。

「メイみたいな女の子に想われるなんて、幸せなやつだな」

 同世代の男子なら普通にメイに惚れそうなものだけど、メイはへっぽこなところもあるからな。
 その辺りが原因で上手く行っていないのだろうか。
 でも、恋愛成就に薬を使うのは、どうなんだろう。
 ちょっと卑怯な気がしないでもない。
 応援してよいのか迷うところだ。

「これで誘惑した方が早い気もするけどな」

 つんつんと突くと、ぷるんっと震える。
 あいかわらず、むしゃぶりつきたくなるような揺れ具合だ。
 この二つのバケツプリンを押し付けでもしたら、年頃の男子なら一発だろう。
 柔らかいし形や張りも抜群で、吸い付いたら離れたくなくなることうけあいだ。
 俺が保障する。

「薬も色仕掛けも、どっちもどっちだけどな」

 学生の恋愛にしては、生々しい。
 もっとこう、爽やかで甘酸っぱい青春はできないんだろうか。

 *****

 魔術書を読んだ後は、特にすることもなく、メイのおでこに乗せたタオルを交換して時間を潰す。
 頬はまだ赤いけど、呼吸が荒いのは落ち着いたようだ。
 少しは熱も下がったのだろう。
 そんなことを考えていたら、家の入口の扉から音が聞こえてきた。

 コンコンッ

 メイの祖母だろうか。
 一瞬そう思ったけど、それだとおかしい。
 メイの祖母なら扉をノックなどせずに、入ってくる。
 おそらく違う人間だ。
 メイの体調も悪いことだし、悪いが居留守を使わせてもらおう。
 そう思っていたのに、扉を開ける音が聞こえてきた。
 家族ではないけど、家に入るような人間。
 ノックをしたから泥棒ではないだろう。
 メイと親しい人間だと思う。

「まずいな」

 俺は慌てて、きょろきょろと隠れ場所を探す。
 すると、窓際にメイの祖母に植えられたことがある植木鉢が目に入った。
 そこに隠れることにする。

「ん・・・誰か来たんですか?」

 ノックの音か、俺がごそごそしていた音か、どちらかがうるさかったのだろう。
 メイが目を覚ます。

「メイ、知り合いが来たみたいだぞ。俺は隠れるから、すまんが対応を頼む」
「あ、はい」

 寝起きに言われて戸惑うメイにそう伝え、俺は土の中に身体を隠す。
 動きさえしなければ、ただの植物に見えるだろう。
 どうもこの身体は、全身を土の中に入れると眠ってしまうようなので、頭だけ土の上に出しておく。
 このくらいなら、少し眠くなるくらいだ。
 俺が隠れると同時に、寝室に人が入ってくる。
 ぎりぎり間に合ったようだ。

「メイちゃん。今日、学校休んだみたいだけど、どうしたの?」
「学校のプリントを持ってきてあげたわよ」

 入ってきたのはメイと同じ年頃の男子と女子だった。
 女子の方は、メイが学校に行くときに着ていたのと同じ制服を着ている。
 男子の方も、似たデザインの制服を着ている。
 メイの同級生なのだろう。
 二人とも黒髪で、真面目そうな学生だ。

「・・・風邪をひいちゃったの。プリントありがとう」

 メイは二人に声をかける。
 だけど、なんだろう。
 少し機嫌が悪くなったような気がする。

「そうなんだ。心配したよ。病院に行かなくて大丈夫?」
「面倒かけるんじゃないわよ。この家、森の中にあって、来るの大変なんだから」

 男子はメイに心配そうな言葉をかけるけど、女子は面倒そうに言葉をかける。
 対照的な二人だ。

「・・・ごめんなさい。熱は下がってきたみたいだから、病院は行かなくて大丈夫」

 二人の言葉に、メイはぼそっと返事をする。
 どうも機嫌が悪くなったと感じたのは、気のせいじゃ無かったみたいだ。
 俺と話しているときの明るさがない。
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