森の中のマンドラゴラ~異世界は平和だったので、おっぱいとたわむれることにする~

かみゅG

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第一章 森の中のマンドラゴラ

010.ぽよんっ!

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 とりあえず、全力で駆け出した。
 今のこの身体の短い手足では移動距離がメイに敵わないことは分かっていた。
 しかし、それでもそうせずにはいられなかった。

「なんで逃げるんですか!?」

 どたどたどた!

「身体を削られるとか言われたら、逃げるに決まってるだろうが!!!」

 どたどたどた!

「さきっちょだけ!さきっちょだけですから!」

 どたどたどた!

「身体の尖端をガリガリ削られるって、どんな拷問だ!!!」

 メイは大根おろしを作るアレを手に俺を追いかけてくる。
 客観的に見れば人間が植物を削ろうとしているだけなのだろうが、植物の立場からすると猟奇殺人鬼に追いかけられているのと変わらない。

「痛いのは最初だけで、慣れれば気持ちよくなりますから!さきっちょだけいいでしょ!」
「そのセリフが許されるのは、初体験のときだけだ!!!ついでに、そのセリフを言うのは男の方だ!!!」

 くそっ。
 やはりリーチの差は大きい。
 しかし、それだけで捕まえられると思うなよ。
 人間だって小さな虫をなかなか捕まえられないことがある。
 小さな身体で素早く動けば、そう簡単には捕まらないはずだ。

「マンドラゴラが欲しいなら、もう一回採りに行けばいいだろう!!!」
「マンドラゴラは希少植物なんですから、そう簡単に見つけられませんよ!ケイを見つけるのにも何日もかかっているんですから!」
「だいたい、人間の記憶を持つ存在を削ることに良心の呵責は無いのか!!!」
「植物は根っこをちょっと切ったくらいじゃ枯れませんよ!」
「人でなし!!!」
「人間じゃないのは、ケイの方ですよ!」

 しつこい。
 メイなら気弱そうだから大丈夫だと考えたのは間違いだったようだ。
 魔女だから、普通の人間よりも魔法植物に対する執着が強いのかも知れない。
 こうなれば、なんとか人里まで行って、他の人間に保護を求めた方がいいだろうか。
 しかし、希少ということは高い金額で取り引きされる可能性がある。
 素材として執着しないということは、逆に言えば簡単に売り払われる可能性も高いということだ。
 あまりよい手だとは思えない。
 どうすればいいんだ。

「さあ、追い詰めましたよ!」
「あっ!!!」

 考え事をしながら逃げていたせいだろうか。
 それともメイに地の利があるからだろうか。
 気付かないうちに、部屋の隅まで追いつめられてしまった。

「観念して下さい!優しくしますから!」
「くうっ・・・それは男のセリフなのに・・・」

 メイがにじり寄ってくる。
 ここまでか。
 そう考えたところで、入口の扉から音が聞こえてきた。
 メイがそちらに視線を移す。

 チャンス!

 そう思って逃げ出そうとするが、侵入者に対するメイの反応で足が止まる。

「あ!いけない!」

 メイが焦った顔をする。
 どうやら、扉から入って来ようとしている人物に対してらしい。

「どうしよ!ケイが磨り潰されちゃう!」

 なんだか、物騒な事を言い出した。
 だが、考えてみれば、ここは魔女の住処と言える。
 そこにノックもせずに入ってくるということは、身内ということだ。
 そして、魔女の身内ということは、その人物も魔女ということになる。
 だとすると、へっぽこ魔女のメイよりも容赦ない可能性がある。

「お、おい、どうしたんだ?」

 さすがに不安になって、逃げるのを止めて尋ねる。

「おばあちゃんです!ケイ、隠れて!」
「隠れてって言ったって」

 初めて訪問した家で無茶なことを言う。
 メイがオロオロしているけど、俺の方がオロオロしたい。

「ああ、もう!」

 俺が咄嗟に反応できないでいるのに業を煮やしたのか、メイがむんずと俺を掴む。
 そして、服の胸元を引っ張って隙間を作ったかと思うと、そのまま俺を放り込んだ。

 ぽよんっ!

 弾力のあるクッションに着地したかと思うと、メイが服の胸元を直し、俺は暗闇に包まれる。

「お、おい!」
「しっ!静かにしていて下さい!」

 メイはそう言うと、グイグイとさらに俺を押し込める。

 むにっ

 押し込められたことにより、左右から弾力に包まれる。
 俺も命が惜しいので、言われた通りに静かにする。
 けど、よいのだろうか。
 これって、伝説のパフパフというやつなんじゃないだろうか。
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