森の中のマンドラゴラ~異世界は平和だったので、おっぱいとたわむれることにする~

かみゅG

文字の大きさ
上 下
7 / 75
第一章 森の中のマンドラゴラ

007.ぐすんっ!

しおりを挟む
 ごろごろ・・・・・ぴたっ

「ケイ?」

 羞恥に耐えきれず悶え転がっていた俺だが、ふいに気付いた。
 よく考えたら、俺よりも恥ずかしい格好をした人間が目の前にいるのだ。
 そんなに恥ずかしがらなくてもいいのではないだろうか。

「・・・なぁ」
「は、はい?」

 転がってうつ伏せになった姿勢のまま、俺はメイに尋ねる。
 俺の奇行にドン引きしているような声だったが、メイが返事をしてくる。
 そんなメイに、俺はさらに尋ねる。

「メイって魔女っぽい格好をしているけど、魔法を使えるのか?」

 この世界に魔法というものが存在するのであれば、先ほどの俺の行動はただ魔法に失敗しただけに見えるのではないだろうか。
 だとすれば、決して恥ずかしい行動ではない。
 中学二年生の少年少女がアレな感じになる病には見えないはずだ。
 そんな期待を込めた問いだった。
 それに対するメイの答えは、

「魔法ですか?使えませんよ」

 そんな無慈悲な言葉だった。

「・・・それは、修行中だからとか、そういう理由で?」
「いえ、魔法なんて現実にはありませんよ。魔法が使えるなんて考えるのは、想像力が豊か過ぎて、ちょっとアレな感じになっちゃった子供くらいじゃないですかね」
「・・・・・」
「ケイ?」

 なるほど。

「ぎゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「きゃあっ!」

 ごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろ

 どうやら、異世界には魔法は無いようだ。
 そして、異世界にもあの病はあるらしい。
 また一つ検証することができたが、俺にはそれを喜ぶ余裕は無かった。

 *****

 最初の二倍ほどの時間を転げ回ったところで、なんとか平常心を取り戻すことができた。
 とんだ恥の上塗りをしてしまったわけだけど、それならそれで納得できないことがある。

「魔法が使えないなら、なんでメイはそんな格好をしているんだ?魔女じゃないんだろ?」

 そもそも異世界においてメイの衣装が魔女の衣装なのかは分からないけど、とりあえず聞いてみた。
 それに対するメイの答えはシンプルだった。

「魔女ですよ」

 あっさりと魔女だと名乗ってきたのだ。
 でも、シンプルすぎて納得できない。

「魔法が使えないのに魔女?」

 なんだが訳が分からなくなってきた。
 もう少し詳しく聞いてみることにする。

「魔女が使うのは魔法じゃなくて魔術です」
「・・・・・どう違うんだ?」
「魔法は、自然法則を無視して非科学的な現象を起こす、胡散臭いものですよね」
「・・・・・そんなイメージがあるな」
「魔術は、根拠のある手順に従って現象を起こすものです。分野が異なるだけで、学術や技術と同じですね」
「・・・・・なるほど」

 説明を聞いて、魔法と魔術という違うがあるのは分かった。
 分かったのだが、

「そんな細かい設定知るかっ!!!」
「ひいっ!」

 納得はできなかった。
 クレームものだ。

「魔法だろうが、魔術だろうが、どっちでもいいだろうがっ!!!」
「どっちでもよくはないですよぅ。明確な違いがあるんですからぁ」
「複雑すぎる設定は、万人受けしないんだよっ!!!」
「な、なんのことですかぁ」

 ようするに、呼び方が違うだけで、魔法っぽいものはあるということだ。
 それならそうと最初から言ってくれれば、恥ずかしい想いをしなくてよかったのに。
 俺のごろごろを返せ。

 *****

 一通り文句を言った後、俺はメイを必死に慰めていた。

「ぐすんぐすん」
「すまん、言い過ぎた」

 森の中に、メイのすすり泣く声と、俺の謝る声が響く。

「ぐすんっ!」

 メイが恨みがましくこちらを見てくるが、さすがに今のは俺が悪かったので、反論できない。
 完全な八つ当たりだった。
 必死にメイのご機嫌を取る。

「それでメイは、その魔術っていうのに必要な素材を集めにきたんだな」
「そうですよぅ」

 ふてくされながらも、メイはこちらの質問に答えてくれる。
 でも、その頬はぷくっと膨れている。

「せっかく、マンドラゴラなんて希少な素材を見つけたと思ったのに、とんだハズレですよぅ」
「だから、悪かったって」

 自分が希少素材扱いされることに思うところが無いわけではないけど、機嫌を取ることを優先する。
 そして、そんなことをしながらも、少しずつ聞き出した情報を整理する。

 メイの話をまとめると、この世界には魔術というのがあって、魔術を使うためには素材が必要らしい。
 それが意味するのは、メイの他にも魔術師や魔女がいて、そいつらも素材を集めているということだ。
 そして、俺が転生したマンドラゴラは希少素材。
 つまり、俺はそいつらに狙われる可能性が高い。
 素材の使い方は詳しく聞けていないけど、磨り潰したり煮込んだりしてもおかしくない。
 そんなのは、ゴメンだ。
 メイは気が弱そうだし、上手く煽てて身の安全を確保したいところだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで商売をして生計を立てていく〜

西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」 主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。 生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。 その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。 だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。 しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。 そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。 これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。 ※かなり冗長です。 説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

知識0から創る異世界辞典(ストラペディア)~チャラ駄神を添えて~

degirock/でじろっく
ファンタジー
「【なろうぜ系】って分かる?」 「分かりません」 「ラノベ読んだ事無い?」 「ありません」 「ラノベって分かる?」 「ライトノベルの略です」 「漫画は?」 「読みません」 「ゲーム」 「しません」 「テレビ」 「見ません」 「ざけんなおらあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」  サブカル0知識の私が死んだ先で背負わされたのは、  異世界情報を詰め込んだ【異世界辞典】の編纂作業でした。 ========================  利己的な人間に歪まされた自分の居場所を守る為に、私は私の正しさを貫く事で歪みを利己的な人間ごと排斥しようとした。  結果、利己的な人間により私の人生は幕を下ろした。  …違う。本当に利己的であったのは、紛まぎれも無く、私だ。間違えてしまったのだ。私は。その事実だけは間違えてはならない。 「……私は確かに、正しさという物を間違えました」 「そうだよなァ!? 綺麗事はやめようよ、ねェ! キミは正義の味方でも何でもないでしょォ!?」  我が意を得たり、と言わんばかりに醜くく歪んだ笑顔を見せる創造主。  そんな主に作られた、弄れるかわいそうな命。  違う…、違う!! その命達を憐れむ権利など私には無い! 「───だから?」 「……へっ?」 「だから、それがどうかしたんですか。私は今度こそ私の正しさを貫き通します。あなたが生み出したこの星の命へ、そしてあなたへ」      彼等のその手にそれぞれ強制的に渡されたとある本。それは目の前に浮かぶ地球によく似た星そのものであり、これから歩む人生でもある。二人の未熟なカミサマに与えられた使命、それはその本を完成させる事。  誰の思惑なのか、何故選ばれたのか、それすらも分からず。  一人は自らの正しさを証明する為に。  一人は自らの人生を否定し自由に生きる為に。  ───これは、意図せず『カミサマ』の役目を負わされてしまった不完全な者達が、自ら傷付きながらも気付き立ち上がり、繰り返しては進んでいく天地創造の軌跡である。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

2回目の人生は異世界で

黒ハット
ファンタジー
増田信也は初めてのデートの待ち合わせ場所に行く途中ペットの子犬を抱いて横断歩道を信号が青で渡っていた時に大型トラックが暴走して来てトラックに跳ね飛ばされて内臓が破裂して即死したはずだが、気が付くとそこは見知らぬ異世界の遺跡の中で、何故かペットの柴犬と異世界に生き返った。2日目の人生は異世界で生きる事になった

遺伝子操作でファンタジーの住人を創るならエルフよりオークの方がよいと思うのでやってみた。

かみゅG
ファンタジー
 ゴブリン。  オーガ。  オーク。  エルフ。  ドワーフ。  ファンタジーの住人達。  もし、彼らを創り出すことができるとしたら、どの種族がよいだろうか。  強さを求める者。  美しさを求める者。  様々だろう。  しかし、世界の役に立つという観点で考えた場合、答えは明確だ。  オークである。 「だから、創ってみた」 「なにしてくれちゃってんの、このアホーーーッ!!!」  教授と助手による、特に異世界に転移も転生もしない冒険が、今!始まる!

処理中です...