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第一章 森の中のマンドラゴラ
002.ひいっ!
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ひゅーーー・・・・・
打ち上げ花火のような音だけど花火じゃない。
どちらかと言えば逆バンジーが近い。
もしくは、髪の毛を鷲掴みにされて、そのまま首根っこを引っこ抜かれる。
そんな感覚が近い。
ぶちぶちっ!という音が、身体のあちこちから聞こえる。
浮遊感。
解放感。
様々な環境の変化が全身を襲う。
どんっ!
次にきたのは衝撃だ。
そして地面に身体を打ち付ける痛み。
それらが続けて襲い掛かってくる。
「~~~~~~~~~~っ!」
悶える。
怒る。
決められた手順のように、その行動を取る。
考えるまでもない。
その行動しか思いつかない。
「何しやがるっ!!!ぶち殺すぞっ!!!!!」
自分が勢いよく引っこ抜かれた。
空中を飛んだ後、地面に墜落した。
誰がとか、何のためにとか、そういうことを考える余裕は無いが、そのことだけは分かった。
だから、その誰かに向かって殺気を飛ばす。
「ひいいいいいぃぃぃぃぃあああああぁぁぁぁぁ!!!」
聞こえてきたのは、甲高い声の素っ頓狂な悲鳴。
本能で分かった。
こいつだ。
こいつが俺を引っこ抜いたのだ。
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!許してえええええぇぇぇぇぇ!」
「許せるか、ボケェ!!!」
声のする方に勢いよく振り返ると、少女が腰を抜かしてへたり込んでいる。
恐怖から逃れるためか、両手で耳を塞いでいる。
「殺さないで!殺さないで!殺さないで!謝るからあああああぁぁぁぁぁ」
「謝って済むなら、警察はいらねぇんだよっ!!!!!」
少女がひたすら許しを請い、俺がひたすら怒りをぶつける。
そんなやりとりをしばらく続けていると、徐々に俺の怒りは治まってきた。
というより、叫び疲れてきたというのが、本当のところだ。
大声を出したのが、ストレス発散になったのも理由かも知れない。
そんなわけで、俺は冷静さを取り戻してきたのだが、
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」
少女は狂ったように謝罪の言葉を叫び続けている。
というか、耳を塞ぎ続けているので、俺の怒号も聞こえていなかったんじゃないだろうか。
大声で謝り続けているのも、俺の怒号を聞こえないようにするためかも知れない。
だとしたら、俺の怒りは少女まで届いていないことになる。
そう考えると、イラッとしてきた。
少女の方へ近づき、ひときわ大きく口を開ける。
「やかましいわ、ボケェ!!!!!!!」
塞いだ耳の中にまで響くように、力の限り叫ぶ。
「ごめ・・・っ!」
謝罪の言葉が途中で止まる。
少女の口は開いたままだ。
ばたっ
そして、そのまま仰向けに倒れる。
あいかわらず、口は開いたままだ。
「お、おいっ!」
少女の反応に怒りを忘れて焦る。
やり過ぎただろうか。
そう思いながら少女を覗き込むと、見事なまでに白目を剥いていた。
それどころか、口から泡まで吹いている。
間違いない。
やり過ぎた。
「どうしよ」
倒れた少女。
側に立つのは自分一人。
周囲には他に誰もいない。
・・・・・
おかしい。
自分は被害者のはずだ。
なのに、これでは加害者のようではないか。
婦女暴行。
そんな単語が頭に浮かんだ。
「・・・逃げるか」
自分はただ大声を出しただけで、少女には指一本触れていない。
だから、指紋だって残っていない。
つまり、証拠は無いということだ。
加害者が被害者を置いて逃げれば、罪は重くなる。
けど、被害者が加害者を置いて逃げたからといって、罪が重くなるなんてことはないだろう。
むしろ、被害を受けないために逃げたという言い分だって成り立つはずだ。
そう考えて、少女に背を向ける。
しかし、最初の一歩が踏み出せない。
「どこだここ?」
周囲を見回すが見知らぬ場所だった。
森の中のようだけど、見える範囲に舗装された道は見当たらない。
くるりと少女に振り返る。
「・・・はぁ」
どうやら、少女が目覚めるのを待つ必要があるようだ。
打ち上げ花火のような音だけど花火じゃない。
どちらかと言えば逆バンジーが近い。
もしくは、髪の毛を鷲掴みにされて、そのまま首根っこを引っこ抜かれる。
そんな感覚が近い。
ぶちぶちっ!という音が、身体のあちこちから聞こえる。
浮遊感。
解放感。
様々な環境の変化が全身を襲う。
どんっ!
次にきたのは衝撃だ。
そして地面に身体を打ち付ける痛み。
それらが続けて襲い掛かってくる。
「~~~~~~~~~~っ!」
悶える。
怒る。
決められた手順のように、その行動を取る。
考えるまでもない。
その行動しか思いつかない。
「何しやがるっ!!!ぶち殺すぞっ!!!!!」
自分が勢いよく引っこ抜かれた。
空中を飛んだ後、地面に墜落した。
誰がとか、何のためにとか、そういうことを考える余裕は無いが、そのことだけは分かった。
だから、その誰かに向かって殺気を飛ばす。
「ひいいいいいぃぃぃぃぃあああああぁぁぁぁぁ!!!」
聞こえてきたのは、甲高い声の素っ頓狂な悲鳴。
本能で分かった。
こいつだ。
こいつが俺を引っこ抜いたのだ。
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!許してえええええぇぇぇぇぇ!」
「許せるか、ボケェ!!!」
声のする方に勢いよく振り返ると、少女が腰を抜かしてへたり込んでいる。
恐怖から逃れるためか、両手で耳を塞いでいる。
「殺さないで!殺さないで!殺さないで!謝るからあああああぁぁぁぁぁ」
「謝って済むなら、警察はいらねぇんだよっ!!!!!」
少女がひたすら許しを請い、俺がひたすら怒りをぶつける。
そんなやりとりをしばらく続けていると、徐々に俺の怒りは治まってきた。
というより、叫び疲れてきたというのが、本当のところだ。
大声を出したのが、ストレス発散になったのも理由かも知れない。
そんなわけで、俺は冷静さを取り戻してきたのだが、
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」
少女は狂ったように謝罪の言葉を叫び続けている。
というか、耳を塞ぎ続けているので、俺の怒号も聞こえていなかったんじゃないだろうか。
大声で謝り続けているのも、俺の怒号を聞こえないようにするためかも知れない。
だとしたら、俺の怒りは少女まで届いていないことになる。
そう考えると、イラッとしてきた。
少女の方へ近づき、ひときわ大きく口を開ける。
「やかましいわ、ボケェ!!!!!!!」
塞いだ耳の中にまで響くように、力の限り叫ぶ。
「ごめ・・・っ!」
謝罪の言葉が途中で止まる。
少女の口は開いたままだ。
ばたっ
そして、そのまま仰向けに倒れる。
あいかわらず、口は開いたままだ。
「お、おいっ!」
少女の反応に怒りを忘れて焦る。
やり過ぎただろうか。
そう思いながら少女を覗き込むと、見事なまでに白目を剥いていた。
それどころか、口から泡まで吹いている。
間違いない。
やり過ぎた。
「どうしよ」
倒れた少女。
側に立つのは自分一人。
周囲には他に誰もいない。
・・・・・
おかしい。
自分は被害者のはずだ。
なのに、これでは加害者のようではないか。
婦女暴行。
そんな単語が頭に浮かんだ。
「・・・逃げるか」
自分はただ大声を出しただけで、少女には指一本触れていない。
だから、指紋だって残っていない。
つまり、証拠は無いということだ。
加害者が被害者を置いて逃げれば、罪は重くなる。
けど、被害者が加害者を置いて逃げたからといって、罪が重くなるなんてことはないだろう。
むしろ、被害を受けないために逃げたという言い分だって成り立つはずだ。
そう考えて、少女に背を向ける。
しかし、最初の一歩が踏み出せない。
「どこだここ?」
周囲を見回すが見知らぬ場所だった。
森の中のようだけど、見える範囲に舗装された道は見当たらない。
くるりと少女に振り返る。
「・・・はぁ」
どうやら、少女が目覚めるのを待つ必要があるようだ。
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