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次の日は寝不足でした。
それでも頑張って授業中は居眠りをしませんでした。
勉強はいったん遅れてしまうと取り戻すのが大変です。
勉強を取り戻すための無駄な時間を作るわけにはいきません。
私の全ての時間は彼のためにあるのです。
私の全ての時間は彼との将来のために使うのです。
だから頑張って居眠りしないように耐えました。
ですがもう限界です。
放課後になると私はすぐに寮の部屋に戻りました。
睡眠を取るためです。
体調管理は大切です。
睡眠不足は体調不良に繋がります。
「ねぇねぇ、昨日の二人すごかったね! あれからどこまでしたのかな?」
私が寮の部屋に戻ってきたのは睡眠を取るためです。
先輩とお喋りするためではありません。
そもそも睡眠不足になったのは先輩のせいです。
夜遅くまで興奮した先輩に付き合わされたからです。
「あの、先輩。私、眠いんですけど……」
「コーヒー淹れてあげるよ! それであの二人どこまでしたと思う?」
ダメです。
先輩が寝かせてくれません。
先輩は恋バナがしたいようです。
新たな恋人達の誕生を目撃して欲求に火がついてしまったようです。
失敗でした。
こんなことなら付き合わなかった方がよかったです。
でも仕方ありません。
あそこまで刺激的な光景が繰り広げられるとは思わなかったのです。
途中で先輩が告白現場を覗き見ようとしていることには気付きました。
目撃するのはせいぜい告白とキスくらいだと思っていました。
だから最後まで付き合いました。
でもそうじゃありませんでした。
覗いている相手が女同士だったというのも油断した原因です。
同姓では子孫を残すような行為はできません。
だからプラトニックな恋人達が生まれるだけだと思っていました。
でもそうじゃありませんでした。
まさかいきなり肉欲全開の行為を始めるとは思いませんでした。
もしかしたら同姓ということが理由なのかも知れません。
避妊の心配がないので肉欲に忠実なのでしょうか。
同姓の恋人達を甘くみていました。
「すごく気持ちよさそうだったよね! でもなんだか手馴れているように見えなかった?」
先輩は好奇心が旺盛なようです。
もう恋バナの範疇を超えているような気がします。
でも話に付き合わないと寝かせてくれそうにありません。
少しだけ話に付き合うことにします。
「高校生なのですから自慰くらいするでしょう。同姓だからどうすれば相手が気持ちよくなるか分かるのでは?」
「そ、そうなんだ」
私が相槌を打つと先輩はなぜかきょどきょどし始めました。
どうしたのでしょうか。
興味津々という感じだったのに勢いが弱まりました。
そして窺うようにこちらに聞いてきます。
「ひょっとして、みんなそういうことするのかな?」
「そういうこと?」
「えっと、その…………自慰、とか」
「ええ、まあ」
私の場合は彼という相手がいます。
でもだからといって自慰をしないわけではありません。
練習は大切です。
彼との行為の練習として私も自慰をします。
「へ、へぇ、そうなんだ。みんなそういうことするんだ」
「ほとんどの人は思春期になったら覚えるのでは?」
「そ、そういうものなんだ」
「?」
なぜか先輩はおどおどしています。
まるでなにか話しづらいことでもあるかのようです。
でもディープな恋バナを要求する先輩が今さら自慰の話題で怖気づくとは思えません。
私の脳裏にある推測が思い浮かびました。
「先輩、もしかして――」
「! そ、そうだ! 眠いんだよね? 今日は早く寝たら? 夜更かしは身体に毒だよ!」
私が推測したことについて口にしようとしたところで先輩が突然睡眠を勧めてきました。
先ほどはコーヒーを淹れてくれると言っていたのに態度が正反対です。
でも好都合です。
私は先輩に背を押されるままベッドへ向かいます。
「じゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい」
目を閉じながら私は考えました。
先輩はもしかしたら耳年増なのかも知れません。
それで自慰の話題を避けたのかも知れません。
他人の行為を話題にするのは平気でも自分の行為を話題にするのは苦手なのかも知れません。
どちらにしても先輩のプライベートに踏み込むつもりはありません。
先輩が自慰をしたことがあろうがなかろうがどうでもいいです。
そもそもそういった秘め事はおおっぴらに話すような内容ではありません。
そんなことを考えているうちに私はそのまま深い眠りにつきました。
それでも頑張って授業中は居眠りをしませんでした。
勉強はいったん遅れてしまうと取り戻すのが大変です。
勉強を取り戻すための無駄な時間を作るわけにはいきません。
私の全ての時間は彼のためにあるのです。
私の全ての時間は彼との将来のために使うのです。
だから頑張って居眠りしないように耐えました。
ですがもう限界です。
放課後になると私はすぐに寮の部屋に戻りました。
睡眠を取るためです。
体調管理は大切です。
睡眠不足は体調不良に繋がります。
「ねぇねぇ、昨日の二人すごかったね! あれからどこまでしたのかな?」
私が寮の部屋に戻ってきたのは睡眠を取るためです。
先輩とお喋りするためではありません。
そもそも睡眠不足になったのは先輩のせいです。
夜遅くまで興奮した先輩に付き合わされたからです。
「あの、先輩。私、眠いんですけど……」
「コーヒー淹れてあげるよ! それであの二人どこまでしたと思う?」
ダメです。
先輩が寝かせてくれません。
先輩は恋バナがしたいようです。
新たな恋人達の誕生を目撃して欲求に火がついてしまったようです。
失敗でした。
こんなことなら付き合わなかった方がよかったです。
でも仕方ありません。
あそこまで刺激的な光景が繰り広げられるとは思わなかったのです。
途中で先輩が告白現場を覗き見ようとしていることには気付きました。
目撃するのはせいぜい告白とキスくらいだと思っていました。
だから最後まで付き合いました。
でもそうじゃありませんでした。
覗いている相手が女同士だったというのも油断した原因です。
同姓では子孫を残すような行為はできません。
だからプラトニックな恋人達が生まれるだけだと思っていました。
でもそうじゃありませんでした。
まさかいきなり肉欲全開の行為を始めるとは思いませんでした。
もしかしたら同姓ということが理由なのかも知れません。
避妊の心配がないので肉欲に忠実なのでしょうか。
同姓の恋人達を甘くみていました。
「すごく気持ちよさそうだったよね! でもなんだか手馴れているように見えなかった?」
先輩は好奇心が旺盛なようです。
もう恋バナの範疇を超えているような気がします。
でも話に付き合わないと寝かせてくれそうにありません。
少しだけ話に付き合うことにします。
「高校生なのですから自慰くらいするでしょう。同姓だからどうすれば相手が気持ちよくなるか分かるのでは?」
「そ、そうなんだ」
私が相槌を打つと先輩はなぜかきょどきょどし始めました。
どうしたのでしょうか。
興味津々という感じだったのに勢いが弱まりました。
そして窺うようにこちらに聞いてきます。
「ひょっとして、みんなそういうことするのかな?」
「そういうこと?」
「えっと、その…………自慰、とか」
「ええ、まあ」
私の場合は彼という相手がいます。
でもだからといって自慰をしないわけではありません。
練習は大切です。
彼との行為の練習として私も自慰をします。
「へ、へぇ、そうなんだ。みんなそういうことするんだ」
「ほとんどの人は思春期になったら覚えるのでは?」
「そ、そういうものなんだ」
「?」
なぜか先輩はおどおどしています。
まるでなにか話しづらいことでもあるかのようです。
でもディープな恋バナを要求する先輩が今さら自慰の話題で怖気づくとは思えません。
私の脳裏にある推測が思い浮かびました。
「先輩、もしかして――」
「! そ、そうだ! 眠いんだよね? 今日は早く寝たら? 夜更かしは身体に毒だよ!」
私が推測したことについて口にしようとしたところで先輩が突然睡眠を勧めてきました。
先ほどはコーヒーを淹れてくれると言っていたのに態度が正反対です。
でも好都合です。
私は先輩に背を押されるままベッドへ向かいます。
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目を閉じながら私は考えました。
先輩はもしかしたら耳年増なのかも知れません。
それで自慰の話題を避けたのかも知れません。
他人の行為を話題にするのは平気でも自分の行為を話題にするのは苦手なのかも知れません。
どちらにしても先輩のプライベートに踏み込むつもりはありません。
先輩が自慰をしたことがあろうがなかろうがどうでもいいです。
そもそもそういった秘め事はおおっぴらに話すような内容ではありません。
そんなことを考えているうちに私はそのまま深い眠りにつきました。
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