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第三章 非日常生活

合宿(玖)

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「ほう。なかなか、いいじゃないか」

 目的地にあった温泉を見た部長さんが、そんな感想を言う。

「本当ですね。山の中にあるっていうから、もっと小さいものを想像していました」
「手作り感があるから、ここを訪れた人達がちょっとずつ作ったのかも知れないね」

 わたしとイトウさんも感想を言う。
 みんな好印象のようだ。

「ガスは大丈夫みたいだよ」

 副部長さんはガス検知器を確認している。
 でも、宿で聞いた噂によると、閻魔大王が天国行きか地獄行きを決めるらしい。
 ガスが原因だとしたら、風向きとかで状況が変わる可能性があるから油断はできない。

「僕が少し離れたところで、ガス検知器を見ているから、三人は温泉に入ったきなよ」
「なんだ一緒に入らないのか?」
「最初から入らないと言っているでしょう」

 副部長さんが見張りを買って出てくれるらしい。
 それに、部長さんの誘いに呆れた顔で答えているから、覗きをすることはないだろう。
 安心して温泉に入れそうだ。

「じゃあ、お言葉に甘えようか」
「はい。副部長さん、ありがとうございます」
「副部長さん、お先に入らせてもらいますね」

 そんなわけで、まずは女性陣が温泉に入ることになった。

 …………

 空気はおいしいし、お湯の温度もちょうどいい。
 噂でここが天国だと言われていたのもわかる。

「ふぅ」
「はぁ」
「ほぅ」

 ほっこり和む。
 さすがに温泉施設のような広さはないけど、三人で入っても足が延ばせるくらいの広さはあった。

 ぴとっ

 イトウさんが肩に寄りかかってくる。
 肌が触れ合わないと入れないほど狭くはないのだけど、そのままにする。
 イトウさんの肌はすべすべで、触れていると気持ちいいのだ。

「気持ちいいね」
「うん。頑張って登ったかいがあるね」

 まったりしていると、反対側の肩に部長さんが寄りかかってきた。

「こう気持ちいいと、眠くなってくるな」
「溺れないでくださいね」

 うとうとしている部長さんに注意を促すけど、実はわたしも同じ気分だ。
 このまま眠ったら、とても気持ちよさそうだ。

「…………」
「…………」
「…………」

 そして、わたし達は気を失った。
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