上 下
28 / 30

27話 ややこしいんですよ‥‥‥

しおりを挟む

※前回のお話※
 解体屋を後にしたクルス達は、とある家に入った。薄暗く不気味な雰囲気。部屋は見たことも無い怪しげな物に囲まれている。クルスが家主を呼ぶと、暗闇から魔法使いの格好をした白い口髭を蓄えたドワーフが現れた。なんと彼は「アルジイ」といい、クルスの知人だった。
クルスはアルジイに解体屋から無くなった「オリハルコン製の斬馬刀」を探してもらう様依頼した。アルジイは金貨10枚という大金で、その依頼を渋々引き受けた。クルス曰くアルジイは特殊なスキルを持ったトレジャーハンターだった。
これで斬馬刀の件は解決する。しかし、肝心の斬馬刀を扱える親方がいない。親方がいなくてはクルス達が解体屋に預けたリンドブルムを解体する事が出来ない。しかしクルスはショウタを見てニヤっと笑ったのであった…………



――パラディソス市内――

クルスとショウタはアルジイの家の前で話しをしている。

「……はいはい……探しますよ…………って俺、親方の事知らないですよ!!見た事無い人は、情報を貰えないと探せません!!」

「生意気なヤツじゃ!!ホラッ!!!そう言うと思って親方の似顔絵を描いてきたんじゃ!!」
クルスは自信満々に似顔絵が描かれた紙を渡してきた。
そこに描かれていたのは、人なのかよく分からない物体だった。いや………………ゴリラか……この人はゴリラしか描けないのか。

「あの………………これ……ゴリラ…………?」

「バカモンッ!!!どこがゴリラじゃボケが!」

「いや………………どう見てもゴリラ……」

このやり取りをしばらくした後、埒が明かないと判断したクルスは、アルジイの家に戻り親方の情報について聞きに戻る事にした。

――アルジイの家――

ガチャ……

「アルジイーーー!また来たぞ!!」
クルスが叫ぶ。

「うるさいわ!!!クルスッ!!まだなんか用か?!」
アルジイが怒りながら出て来た。

「実はな………………」
クルスは、先ほどのやり取りを説明し、自分が描いた親方の似顔絵をアルジイに見せた。

「なんじゃ…………このきったない絵は?ゴリラか?」
絵を見て顔を顰めるアルジイ。

「でしょ!?どっからどう見てもゴリラですよね??」
ショウタは、ほら見た事か!と言ったような顔をした。

「いや……めちゃくちゃ汚い絵じゃがめちゃくちゃ似てるぞ。オヤカタはゴリラの亜人じゃ……」
アルジイは、落ちついた様子で話す。

詳しく話しを聞くと色々驚きだった。
親方だと思っていたその人は、「オヤカタ」という名前のゴリラの亜人だったのだ。しかも女性らしい。
「オヤカタ」は、元々冒険者だったが、モンスターの豊富な知識と腕っぷしを買われ、ギルドから解体屋として雇われたらしい。クルスとアルジイともパーティを組んでダンジョン攻略をしていた時期もあったと言う……

なんともややこしい存在だ……
ショウタは、頭が混乱していた。

クルスは、したり顔でニヤニヤしている。
憎たらしい顔だ。

「………………もう……何が何やら……まぁ、分かりましたよ。このゴリラ……いやオヤカタさんを探せば良いんですよね?」
頭を抱えるショウタ。

「そうじゃ!!だから言ったろう!やっぱりお前はカスじゃなぁ……やれやれ」
クルスは、ニヤニヤしながら話す。

クソがッ!!!
ショウタは唇を噛み締めた……

「でもクルスよ……なんでオヤカタは解体屋を辞めてしまったんじゃ?喜んで仕事してたよな?」
アルジイはクルスに尋ねた。

「ワシが知る訳無かろう!!どうでも良いわそんな事!!アイツを探してリンドブルムを解体させる!ワシの目的はただそれだけじゃ!!金貨500枚!!グフフ…………オイッ!!カスッ!!サボってないでオヤカタを見つけろ!!クビにするぞ!!」

「………………はいはい」
死んだ目でやる気無さげに念じ、オヤカタを探すショウタ。クルスとアルジイから聞いたオヤカタの情報を元に念じる。

「………………仲良いな……お前ら……」
アルジイは、その様子を見てボソッと呟いた。

「………………いましたよ……」
ショウタはオヤカタを見つけたようだ…………………………
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ

雑木林
ファンタジー
 現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。  第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。  この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。  そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。  畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。  斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

『好きなとき。好きなだけ堪能できるなら』

ななしのちちすきたろう
恋愛
築30年、2階建て木造のアパート。 1階で住む家は西側の角部屋。 その部屋の中から、くぐもった音と小さな女の喘ぎ声がする。 四つん這いになり、むき出しのお尻を突き出す人妻。 背後から腰を振る赤黒い男根に合わせるように大きく揺れる乳房の先からは…まるで牛のような

【おしかの】後輩ちゃんは先輩と付き合ってます!!?

夕姫
青春
『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄のようだ……。 主人公の神原秋人(かんばらあきと)は高校2年生。叔父が経営しているアパートで一人暮らしをして、東京の私立高校に通っている。 部活をやるわけでもなく、バイトをするわけでもなく。本当に平凡にその日その日を過ごしていた。 ただ秋人の平凡な生活は今年の春に突然、終わりを告げた。隣の部屋に引っ越してきた白石夏帆(しらいしかほ)によって……。 「先輩。素直に私をもっと推していいですよ?」 「なんでオレがお前を推すんだよ!」 「え?私と先輩って付き合ってますよね?」 「付き合ってねぇって言ってんだろ!」 この物語は、なんだかんだ最後には許しちゃう主人公で先輩の秋人と、なぜかそんな秋人のことが好きな後輩の夏帆との『推し』ならぬ『押し』な、ちょっぴりエッチなウザカワショートラブコメです

鳴瀬ゆず子の社外秘備忘録 〜掃除のおばさんは見た~

羽瀬川璃紗
経済・企業
清掃員:鳴瀬ゆず子(68)が目の当たりにした、色んな職場の裏事情や騒動の記録。 ※この物語はフィクションです。登場する団体・人物は架空のものであり、実在のものとは何の関係もありません。 ※ストーリー展開上、個人情報や機密の漏洩など就業規則違反の描写がありますが、正当化や教唆の意図はありません。 注意事項はタイトル欄併記。続き物もありますが、基本的に1話完結、どの話からお読み頂いても大丈夫です。 現在更新休止中。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

ゲームのモブに転生したと思ったら、チートスキルガン積みのバグキャラに!? 最強の勇者? 最凶の魔王? こっちは最驚の裸族だ、道を開けろ

阿弥陀乃トンマージ
ファンタジー
 どこにでもいる平凡なサラリーマン「俺」は、長年勤めていたブラック企業をある日突然辞めた。  心は晴れやかだ。なんといってもその日は、昔から遊んでいる本格的ファンタジーRPGシリーズの新作、『レジェンドオブインフィニティ』の発売日であるからだ。  「俺」はゲームをプレイしようとするが、急に頭がふらついてゲーミングチェアから転げ落ちてしまう。目覚めた「俺」は驚く。自室の床ではなく、ゲームの世界の砂浜に倒れ込んでいたからである、全裸で。  「俺」のゲームの世界での快進撃が始まる……のだろうか⁉

処理中です...