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22話 決闘イベント。

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「真島さん、僕が払おうか?」

ユアンがそう言ってお食事券をにゃん子に渡そうとする。しかしそれを遮ってにゃん子が言う。

「だぁーめだめ!!こう言うのはちゃーんとしないとね。ねぇミライちゃーん?」

そう言うにゃん子の言葉にミライもユアンに苦笑いで答える。

「あー、うん。ユアンの気持ちは嬉しいけど、ユアンからそれはもらえないよ。これは私とにゃん子さんとの約束だし………」

ミライもしっかりと断る。暫くお財布が寂しくなるが仕方ない。ミライは覚悟を決めた。

「うん、わかった。ちゃんと奢るよ。」

「やったぁ!!久しぶりに、めっちゃ食べれるしー!!」

にゃん子は大はしゃぎだ。

その姿を生暖かい目で眺めてミライはしぶしぶ財布を取り出そうとする、すると後ろから知らない声が掛かった。

「その必要はございませんよ」

振り返るとそこに居たのは執事服を着た細身のイケメンだった。長い黒髪をみつあみにして、片側から前に流している。細めの目から見える瞳はピンク色だ。アニメで見覚えのないキャラにミライは首を傾げる。

(またモブ?………まあそりゃ居るか。ここは有る意味現実みたいな物だし。にしてもイケメン………誰?)

ツカツカと近づいてくる執事服の男はミライの前で止まり。何かを差し出した。

「こちらをお受け取りください。編入生様への学校側からのご配慮でございます。」

そう言って10枚の券を渡された。お食事券だ。そのまま執事服の男はツバサにも同じように券を渡すとあっという間に居なくなった。

「へー?編入生だと最初に貰えるんだ。ラッキー」

ミライがそう言うとライアンは不思議そうにしている。ユアンもエリカもだ。

「そーなん?まぁ何や学校もにくい事してくれるんやねぇ」

「僕は知らなかったなぁ。でも良かったね、ミライ」

「………編入祝で、私達が出してもよかったんだけどね、でも良かったわね?」 

皆口々にそう言いながら良かったねと言ってくれる。

「じゃあ一枚貰うしー!!」

素早くミライから券を一枚抜きとると、にゃん子はカウンターへ走って行った。

「園田さん、僕たちも行こうか」

ツバサが苦笑している、それに同じくミライも苦笑で返して一行はカウンターへと向かった。




◇◇◇◇◇◇






「はぁー!!めっちゃおいひぃー」

にゃん子が泣きながら大量のステーキを頬張っている。

「こらぁ、ソース零したらあかんよぉ、あぁ、また飛んだ。」

にゃん子の隣でライアンが机に飛び散ったソースを拭いていた。

席順は
ユアン、にゃん子、ライアン

ミライ、ツバサ、エリカ
が対面している。

ミライの横では何故か口の周りを良く汚すエリカの頬をツバサが拭いてお世話している。ミライは生暖かい目を二人に向けた。

(ほーん。なるほどね………、フラグは順調だね、やるじゃん。ツバサ君………天然ってこわ………)

「ほら、一乗寺さんまた頬についてるよ?落ち着いて食べてね。」

「あ、ありがとぅツバサひゃん」

エリカは幸せそうだ。

それを見ながらミライもお皿に山盛り持ったポテトサラダを頬張っている。幸せである。

「ミライはポテトサラダが好きなのかい?」

それをユアンが嬉しそうに眺めている。

「うん、あとはマヨネーズ入ってる物なら大体好き」

「へーそうなんだね。じゃあちょっと待ってて」

ユアンは席を立つとどこかへ行ってしまった。待っててと言っていたので帰ってくるだろうとミライは黙って見送る。するとツバサがコソッとミライに話しかけて来た。

「園田さん、もうユアンを警戒しなくて大丈夫なの?だいぶ打ち解けてるようだけど?僕達の事バレちゃわない?」

ノートを読んだツバサもユアンの魔眼の力を心配してくれている。それだけ厄介な能力なのだ。

「んー、うん。まぁ、もうこれだけ一緒に居て何も言ってこないし、平気なんじゃないかな?」

(特に好意的な事以外はおかしな点はないし………、それにユアンって良い人だもんね?)

「そう、ならいいけど。……」

ツバサは心配そうだ。

でもこれからユアンとは同じクラスだし毎日怯えるのも辛いものがある。精神的に。だからユアンが紳士で勝手に人の心を読んだりしてこないんだと思って接しようと思うミライだった。

「あと、今日起こる決闘イベントについても読んだけど、どうするの?起こるのかなぁ?」

【決闘イベント】本来アニメ2話では主人公が安藤に放課後呼び出されて決闘をする予定なのだ。

本来なら食堂での一件で安藤はツバサに恨みを持っていて、その復讐に取り巻き二人を連れて決闘を申し込んでくる。卑怯にも3対1だ。

2話は編入初日なので、流れ的には多分今日と言うことになる。そして完膚なきまでに安藤(バンダナ男)を主人公が叩きのめすのである。

でも今のツバサと安藤に面識は無いし、なんなら決闘する理由が無い。エリカを助けたのはユアンだ。それに間違いなく今のツバサでは安藤には勝てない。腐っても特別クラス、噛ませ犬でも、そこそこ強いのだ。

「一応ストーリーに添うなら安藤をぶっ飛ばさないとならないね」

「安藤君をぶっ飛ばすの?」

ミライの言葉に返事をしたのはツバサでは無かった。お皿を手にユアンがキョトンとした顔でミライを見つめている。ぶっ飛ばすの所だけ聞かれたようだ。

「ミライ……安藤君に何かされたの?」

食堂内の気温が下がった。また魔力が流れ出している。

(ひい?!またなんか変な誤解されてる?!)

ミライの横でツバサも慌てている。どう答えようかとミライが思っていると

「あんの馬鹿男‼︎ミライにも何かしたのっ?!」

何故かエリカも参戦して来た。

「ひぇ!!いや、何も………何もされてないよっ?」

焦って否定するとユアンがミライを心配そうに見てニコリと安心させるように笑った。

「大丈夫、そんなに怖がらなくても僕がついてる限りは何もさせないよ?」

まるでミライが安藤に怯えて告げ口出来ないとでも言うように言ってくる。誤解だ、完全なる誤解。

(いやいやいや、本当になんにもされてないし!!てかこう言う時に魔眼で心読めばっ?)

「本当に誤解だよ?何もされてないってば」

実際安藤がミライを見たのは今日の朝教室でのほんの一瞬だろう。なおも否定するミライにユアンは悲しそうに目を伏せて何かを決意した顔をする。

「安藤君に決闘を申し込んでくるよっ」

キリッと、女性が悲鳴を上げるようなカッコいい表情をしてユアンはそう宣言した。

(何でそうなるの?!お前の魔眼は節穴かよ?!今こそ魔眼使う時じゃないの?心読んでよ?!てか安藤マジごめん!!!良く知らんけどマジでごめん‼︎)

ミライは震えた。

決闘イベントは主人公対安藤からユアン対安藤に進化した。

これも強制力なのか?安藤が叩きのめされるのは運命で決まっているようだ。







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