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本邸に向かうと暴れ回るロージーから邸の財産を守るために骨董品などは全て撤去されていた。
使用人たちは私を視界に映すと頭を下げ、お義父様の存在に気付くと不思議そうな表情を浮かべた。
「アランとロージーさんはどこ?」
「現在はアラン様のお部屋で一緒に過ごされております。」
まさか真昼間から如何わしい事をしている訳では無いわよね…
私の考えを察したのか、「お茶を飲んでいる」と使用人が答えた。
ならば問題は無いか…と思い、お義父様と一緒にアランの部屋に向かう事にした。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
アランの部屋の扉をノックすると「入れ」という声が掛かったのでお義父様と一緒に入室をするとロージーと二人で仲良く手を繋いでいる様子が目に映った。
いきなりの父親の訪問にアランは驚いたのか急いでロージーの手を離すと当たり障りのない挨拶を始めた。
「お久しぶりです、父上。
お元気でしたか?」
お義父様はこの状況を弁解する気も無い我が子に呆れたのか、ため息を吐きながら挨拶を返した。
「あぁ。お前も元気そうだな。
いつになったらその身は落ち着くのか。
ところでグレースは先程、遠回しに言っても分からないと私のことを馬鹿にしていたな。
アランの前で説明してもらおうか。」
私は小さく息を吐いた後に説明を始めた。
「まず、この家の主は誰かお分かりですか?」
この質問に対してアランは私のことを見下したように睨み付けながら答えた。
「俺に決まっているだろう。
何を分かりきったことを…」
「いいえ、アランは分かっていないわ。
貴方はただの入婿よ。
この伯爵家を継ぐ者ではないのよ。」
お義父様はアランの愚かな答えに思わずため息を吐き顔を手で覆ってしまった。
一方のアランは
「そんな訳が無い!!!!
俺はこの伯爵家の当主なんだ!!」と身振り手振りをしながら叫んでいる。
「お黙りなさい。
貴方は入婿の分際で外で何人もの愛人を作り飽きては捨ててを繰り返したわよね。
その度に誰が後始末をしていたと思っているの?
これまでの愛人は金を渡したり仕事先を斡旋すれば納得して別れてくれたから良かったものの、今回はこの邸に住まわせるですって?
挙句の果てには私を別邸に押し込んで愛人を女主人にしようとするなんて…
この邸に来てから貴方は何の仕事もしていないのに何故ここに居られるか分かる?
貴方はただの種馬なのよ。
私の跡継ぎを作るためのね。
それなのに外で種を撒き散らして何をしているのかしら。
これまで私が貴方を責めなかったのはお義父様と私の父の間に借金の問題があったからよ。
それももう解決したし無能な種馬は要らないわ。
そこに居る馬鹿なロージーさんと一緒に今すぐこの邸から出て行ってちょうだい。
それと、ロージーさんはこの邸の物を壊したわね。
ご実家の方に一つ残らず請求しておきましたから弁償金のお支払いをお待ちしておりますわ。」
アランは自分が種馬だと思われていた事にショックを受けたのか顔を真っ青にしながらソファーに背中を預けて座り込んでしまった。
それでもロージーは大きな声で騒ぎだした。
「どういうこと!?
アタシが女主人になるんじゃないの?
答えなさいよッ!アラン!!!!!」
アランは気力を無くしたのかロージーの問いかけに対して何も答えなかった。
その代わりに私に質問をしてきた。
使用人たちは私を視界に映すと頭を下げ、お義父様の存在に気付くと不思議そうな表情を浮かべた。
「アランとロージーさんはどこ?」
「現在はアラン様のお部屋で一緒に過ごされております。」
まさか真昼間から如何わしい事をしている訳では無いわよね…
私の考えを察したのか、「お茶を飲んでいる」と使用人が答えた。
ならば問題は無いか…と思い、お義父様と一緒にアランの部屋に向かう事にした。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
アランの部屋の扉をノックすると「入れ」という声が掛かったのでお義父様と一緒に入室をするとロージーと二人で仲良く手を繋いでいる様子が目に映った。
いきなりの父親の訪問にアランは驚いたのか急いでロージーの手を離すと当たり障りのない挨拶を始めた。
「お久しぶりです、父上。
お元気でしたか?」
お義父様はこの状況を弁解する気も無い我が子に呆れたのか、ため息を吐きながら挨拶を返した。
「あぁ。お前も元気そうだな。
いつになったらその身は落ち着くのか。
ところでグレースは先程、遠回しに言っても分からないと私のことを馬鹿にしていたな。
アランの前で説明してもらおうか。」
私は小さく息を吐いた後に説明を始めた。
「まず、この家の主は誰かお分かりですか?」
この質問に対してアランは私のことを見下したように睨み付けながら答えた。
「俺に決まっているだろう。
何を分かりきったことを…」
「いいえ、アランは分かっていないわ。
貴方はただの入婿よ。
この伯爵家を継ぐ者ではないのよ。」
お義父様はアランの愚かな答えに思わずため息を吐き顔を手で覆ってしまった。
一方のアランは
「そんな訳が無い!!!!
俺はこの伯爵家の当主なんだ!!」と身振り手振りをしながら叫んでいる。
「お黙りなさい。
貴方は入婿の分際で外で何人もの愛人を作り飽きては捨ててを繰り返したわよね。
その度に誰が後始末をしていたと思っているの?
これまでの愛人は金を渡したり仕事先を斡旋すれば納得して別れてくれたから良かったものの、今回はこの邸に住まわせるですって?
挙句の果てには私を別邸に押し込んで愛人を女主人にしようとするなんて…
この邸に来てから貴方は何の仕事もしていないのに何故ここに居られるか分かる?
貴方はただの種馬なのよ。
私の跡継ぎを作るためのね。
それなのに外で種を撒き散らして何をしているのかしら。
これまで私が貴方を責めなかったのはお義父様と私の父の間に借金の問題があったからよ。
それももう解決したし無能な種馬は要らないわ。
そこに居る馬鹿なロージーさんと一緒に今すぐこの邸から出て行ってちょうだい。
それと、ロージーさんはこの邸の物を壊したわね。
ご実家の方に一つ残らず請求しておきましたから弁償金のお支払いをお待ちしておりますわ。」
アランは自分が種馬だと思われていた事にショックを受けたのか顔を真っ青にしながらソファーに背中を預けて座り込んでしまった。
それでもロージーは大きな声で騒ぎだした。
「どういうこと!?
アタシが女主人になるんじゃないの?
答えなさいよッ!アラン!!!!!」
アランは気力を無くしたのかロージーの問いかけに対して何も答えなかった。
その代わりに私に質問をしてきた。
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