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アランは私を別邸に追いやることに成功したと思っているんでしょうけど、私は定期的に別邸で過ごしているから本邸と変わらず快適に過ごせるのよね。

特に何かに不便する訳でもなく午後のティータイムを楽しんでいると、いきなりロージーが押しかけてきた。

「ちょっと!!!
女主人のアタシを世話する使用人が五人しか居ないってどういうことなのよ!!!!
そこにいる使用人たちはこの伯爵家の使用人でしょ!?」

やれやれ…
やっぱりこういう展開になるのよね。
お馬鹿さんには一から説明しなきゃね。

「ロージーさん、落ち着いてくださる?
この家の使用人たちは伯爵家に仕える者たちで間違いありませんわ。
けれど使用人たちにも自分が仕える主人を選ぶ権利は与えられておりますの。
それを咎めることは誰にも出来ない事だと分かっていただけますか?
もしお気に召さないようでしたらご自身のご実家から使用人を迎え入れては如何でしょう?」

先程、家令に目を向けた際に家令は私の考えを先読みしてこの女の身辺調査をたった数時間でやり遂げた。
その結果、この女は貴族と平民の間に生まれた私生児だと判明した。

母親とふたりで貴族である父親からの援助で王都の外れの邸に住んでおり、父親が貴族なら自分も貴族だろうという甘い考えで育ってきたらしく常識を弁えていないという報告を受けた。

それと同時に両親の間で金銭的な援助はこの女が家を出るまでだと決まっていて、その後のことは援助しないということが取り決められているそうね。

そんな女にわざわざ仕えたいと思う使用人なんて居るのかしら…
他にも理由はあるのだけれどそれは別の機会に教えてあげましょう。

私の言葉を聞いたロージーは私を睨みつけて捨て台詞を言った後に激しい音を立てながら部屋を出ていった。

「もういいわッ!!!!
自分で使用人を連れてくるわ!!
アンタに文句は言わせないからッ!!!」

ふふふっ…
本当に面白い女ね。
何人でも連れてくればいいわ。
この家の主人はそれを許しませんけどね。
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