【完結】種馬の分際で愛人を家に連れて来るなんて一体何様なのかしら？

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｢グレース、今日からのこの屋敷にはロージーが住むことになる。
君は別邸の方に移り住んでくれるか？
それと今後はロージーにこの伯爵家の女主人を任せることにするよ。｣

久しぶりに帰ってきたと思ったら、いきなり愛人をこの家の女主人にするですって？
頭のネジでもぶっ飛んだのかしら…

夫であるアランとは結婚して三年になる。

アランに肩を抱かれている女は私に挑戦的な目を向けているし、今回のアランの発言はこの女の入れ知恵かもね。

｢そうですか。
アランの妻のグレースです。
ロージーさんの世話をする使用人はご自身でお選びになって？
私が気を回しても逆効果だと思いますし…｣

自分で使用人を選ぶようにロージーに伝えると嬉しそうにアランの腕に寄りかかった。

その様子を横目で見ながら家令の方に視線を向けると私の考えが分かったのか静かに目を伏せた。

私はロージーに自分で使用人を選べとは言ったがこの邸に愛人の世話を率先してしたがる愚か者は居ないというのにね？

｢ロージーさん、今日中に決めていただけるかしら？それから私の使用人を決めなければいけませんから、よろしくお願いしますね？｣

ロージーは私の方を睨みながら文句を言い始めた。

｢アンタ、誰に口を聞いているの？
あたしはこの家の女主人になるのよ？
そんな立場の人間に向かって早く使用人を決めれですって？
ふざけるのも大概にしてちょうだい！
アンタに使用人なんか必要ないでしょ！？
だって別邸で肩身の狭い思いをしながらこれからずっと生きていくんですもの。
アンタの指図は受けないわ！！｣

何様なのこの人は…
これ以上話しても疲れるだけだし、とりあえず私は静かに頷いて別邸に引き篭もりましょうかね。

｢分かりましたわ。
では、私は下がらせていただきますね。｣

応接間から出ると多くの使用人たちが駆け寄ってきて私の指示を仰いできた。

｢貴方達は仕える人間を自分で見極めなさい。
あの女に仕えたくない者はアランに辞表を出しなさい。
その後は私がこれから住む別邸で雇い入れるわ。
良いわね？｣
 
私の指示に使用人たちは大きく頷きながら自分の持ち場に帰っていった。