51 / 51
51、弟二人と昼食にて①
しおりを挟む
デュプルとダブリュの弟二人と個室で昼食を取っていると、開け放たれた窓の外を誰かが通り過ぎ、すぐに戻ってきた。
「デュリュ!匿って!」
こちらの返答も聞かずに個室に飛び込んできて、窓を閉めると、何やら取り出して発動させている。
すると、窓の外で何やらバタバタと聞こえたが、すぐ遠ざかっていった。
「ふぅー、助かった……おっと、お姉様もいるとは、大変失礼しました」
振り返りこちらを見てから腰を折る姿勢に、自身の貴族スイッチが入るのを感じたアン。
「かまわないわ。私は席を外すのでここはお使いになって」
二人を愛称で呼ぶ様な友人が来たのだからと、席を立とうとすると二人からダメ出しされた。
「ダメ、まだデザート食べてないよ」
「まだ時間あるし、こいつを追い出せばいい」
「えー、もうちょっと匿って欲しいのに」
「姉さま優先だって知ってるだろ」
「ちぇー、姉コン双子め」
そこまで話せる相手だということに、貴族スイッチを解いた。
「では、みなでティータイムにしましょう。アナタの名を聞いても?」
「お初にお目にかかります。シキュカンバー シガヌスと申します。御弟様方には懇意にして頂いています、しがない商いをしている商人でございます」
学園の制服を着用している商人は、まるで商人のかのようなお辞儀した。
すると、ゴテイサマと呼ばれた二人が笑い出した。
「ゴテイって、おまっ、お前の口からそんな言葉が……」
「似合わないこと……すんなよ……」
二人の気の置ける友人だと知れて、嬉しさが募る。
「こちらこそ、二人の友人に会えて嬉しいわ。シキュカンバーさんは何を注文……」
おもむろに懐に手を入れたシキュカンバーの手が懐から現れると、ポットとカップが現れ、更に手を入れてバスケットボックスを取り出した。
「シキュとお呼びください。私のはここにありますので、お構いなく」
「あら、よいポケットをお持ちなのね」
「……くーっ、失敗かー。眉一つ動かしてもらえなかった」
「姉さまを驚かそうなんて、無理だよ」
「俺達の姉さまなんだから」
「絶対にいけると思ったのに!お姉様は手厳しい」
「ちょうど空いてしまったの、そちらを頂いても?」
自身のカップを少し差し出すと、シキュは額に手を当てた。
「完敗です!恐れ入りました」
初めて会った人の持つポットの中身を所望する、即ち信頼したの意味をキチンと受け取ったシキュに笑みを送った。
「デュリュ!匿って!」
こちらの返答も聞かずに個室に飛び込んできて、窓を閉めると、何やら取り出して発動させている。
すると、窓の外で何やらバタバタと聞こえたが、すぐ遠ざかっていった。
「ふぅー、助かった……おっと、お姉様もいるとは、大変失礼しました」
振り返りこちらを見てから腰を折る姿勢に、自身の貴族スイッチが入るのを感じたアン。
「かまわないわ。私は席を外すのでここはお使いになって」
二人を愛称で呼ぶ様な友人が来たのだからと、席を立とうとすると二人からダメ出しされた。
「ダメ、まだデザート食べてないよ」
「まだ時間あるし、こいつを追い出せばいい」
「えー、もうちょっと匿って欲しいのに」
「姉さま優先だって知ってるだろ」
「ちぇー、姉コン双子め」
そこまで話せる相手だということに、貴族スイッチを解いた。
「では、みなでティータイムにしましょう。アナタの名を聞いても?」
「お初にお目にかかります。シキュカンバー シガヌスと申します。御弟様方には懇意にして頂いています、しがない商いをしている商人でございます」
学園の制服を着用している商人は、まるで商人のかのようなお辞儀した。
すると、ゴテイサマと呼ばれた二人が笑い出した。
「ゴテイって、おまっ、お前の口からそんな言葉が……」
「似合わないこと……すんなよ……」
二人の気の置ける友人だと知れて、嬉しさが募る。
「こちらこそ、二人の友人に会えて嬉しいわ。シキュカンバーさんは何を注文……」
おもむろに懐に手を入れたシキュカンバーの手が懐から現れると、ポットとカップが現れ、更に手を入れてバスケットボックスを取り出した。
「シキュとお呼びください。私のはここにありますので、お構いなく」
「あら、よいポケットをお持ちなのね」
「……くーっ、失敗かー。眉一つ動かしてもらえなかった」
「姉さまを驚かそうなんて、無理だよ」
「俺達の姉さまなんだから」
「絶対にいけると思ったのに!お姉様は手厳しい」
「ちょうど空いてしまったの、そちらを頂いても?」
自身のカップを少し差し出すと、シキュは額に手を当てた。
「完敗です!恐れ入りました」
初めて会った人の持つポットの中身を所望する、即ち信頼したの意味をキチンと受け取ったシキュに笑みを送った。
3
お気に入りに追加
319
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
婚約破棄された悪役令嬢。そして国は滅んだ❗私のせい?知らんがな
朋 美緒(とも みお)
ファンタジー
婚約破棄されて国外追放の公爵令嬢、しかし地獄に落ちたのは彼女ではなかった。
!逆転チートな婚約破棄劇場!
!王宮、そして誰も居なくなった!
!国が滅んだ?私のせい?しらんがな!
18話で完結
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う
ひなクラゲ
ファンタジー
ここは乙女ゲームの世界
悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…
主人公と王子の幸せそうな笑顔で…
でも転生者であるモブは思う
きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる