30 / 51
30、依頼前-顔合わせ
しおりを挟む
三人と顔合わせした二日後、今日は開校記念日。
本来であれば、平日なのに休みというポイント稼ぎ日でもある。
だがしかし、残念ながら、三人と共に向かった先は依頼主のミリーという子の家。
「初めまして、ミルドレリー ハイシリーズと申します」
「アンという」
「アンは、俺らと同い年でもう一ツ星なんだぜ」
王宮侍女試験を受ける位だから、貴族だろうとは思っていたのだが、まさかここに来るとは思ってもいなかった。
「ステルサス ハイシリーズだ。カードの確認しても良いか?」
父親からの要望にカードを提示すると、父親は頷いた。
「確かに。ギルの父親は私の幼馴染みでね。彼から的確な上に丁寧でいい仕事をする子だと聞いている」
横がギルマス宅というのは、ここに来るまでにギルが隣ウチと指さされたことで知った。
その上、ダンとマイアは斜め前の二軒と皆ご近所さん。
庶民のダンやマイア宅があるここは庶民区。
その中でもこの家は大きめだが、庶民的な質素なお宅。
貴族が庶民区に住居を構え、その貴族が王国の宰相補佐となかなかな位置にいるというのは、母の小言の一つとして聞いたことがある。
話では知っていたが、それが目の前に来るのはまた面白い。
「どうも」
それらを自分から言わぬなら、ここは無難な受け答えがいいだろう。
ギルには、自分の身分や名前を明かさぬよう頼んだ。
契約魔法でと思ったがそこは留まり、信頼が大切なギルドのマスターの息子なのだから、裏切るなと念を指した。
これも後輩育成の一貫にもなるだろうと、かこつけて。
「……ほぉー、なかなか。うん、気に入った。改めて自己紹介しよう、宰相補佐役を勤めているハイシリーズだ。貴族だが広過ぎるのは苦手でな。貴族区に屋敷はあるがそこは客人や催事用で、自宅はここなんだ」
「改める?」
「いや、そのままでよい……さて、挨拶は終わったな。では、みんな依頼内容は確認したかね?」
「任せて!ミリーを守るよ!」
「本当なら一ツ星になっていたかったから、ちょっと悔しい」
「ホントッ!ミリーが行くときまでには一ツ星取るって意気込んでたのにこれだ。ミリーごめんな」
「でも三星までなったじゃない!凄いわ」
「同い年のアンは一ツ星だぜー、しかもソロ……」
ポイントだけを稼いで簡単に上げても、依頼難易度が上がって達成できなくなってしまう。
だから、星上げには毎回ギルマス判断の試験が隠れている。
それは実力と伴わない時の話で、最終的に実力が大事というだけ。
「ほらほら、今日は顔合わせなんだから、そのくらいで。では日程を決めようか」
残念ながら、今日が決行日てはない。
いつ行くか、みなの日時を合わせる日だ。
なによりも、重い腰を上げたがらないミリーの腰をあげさせる日でもある。
本来であれば、平日なのに休みというポイント稼ぎ日でもある。
だがしかし、残念ながら、三人と共に向かった先は依頼主のミリーという子の家。
「初めまして、ミルドレリー ハイシリーズと申します」
「アンという」
「アンは、俺らと同い年でもう一ツ星なんだぜ」
王宮侍女試験を受ける位だから、貴族だろうとは思っていたのだが、まさかここに来るとは思ってもいなかった。
「ステルサス ハイシリーズだ。カードの確認しても良いか?」
父親からの要望にカードを提示すると、父親は頷いた。
「確かに。ギルの父親は私の幼馴染みでね。彼から的確な上に丁寧でいい仕事をする子だと聞いている」
横がギルマス宅というのは、ここに来るまでにギルが隣ウチと指さされたことで知った。
その上、ダンとマイアは斜め前の二軒と皆ご近所さん。
庶民のダンやマイア宅があるここは庶民区。
その中でもこの家は大きめだが、庶民的な質素なお宅。
貴族が庶民区に住居を構え、その貴族が王国の宰相補佐となかなかな位置にいるというのは、母の小言の一つとして聞いたことがある。
話では知っていたが、それが目の前に来るのはまた面白い。
「どうも」
それらを自分から言わぬなら、ここは無難な受け答えがいいだろう。
ギルには、自分の身分や名前を明かさぬよう頼んだ。
契約魔法でと思ったがそこは留まり、信頼が大切なギルドのマスターの息子なのだから、裏切るなと念を指した。
これも後輩育成の一貫にもなるだろうと、かこつけて。
「……ほぉー、なかなか。うん、気に入った。改めて自己紹介しよう、宰相補佐役を勤めているハイシリーズだ。貴族だが広過ぎるのは苦手でな。貴族区に屋敷はあるがそこは客人や催事用で、自宅はここなんだ」
「改める?」
「いや、そのままでよい……さて、挨拶は終わったな。では、みんな依頼内容は確認したかね?」
「任せて!ミリーを守るよ!」
「本当なら一ツ星になっていたかったから、ちょっと悔しい」
「ホントッ!ミリーが行くときまでには一ツ星取るって意気込んでたのにこれだ。ミリーごめんな」
「でも三星までなったじゃない!凄いわ」
「同い年のアンは一ツ星だぜー、しかもソロ……」
ポイントだけを稼いで簡単に上げても、依頼難易度が上がって達成できなくなってしまう。
だから、星上げには毎回ギルマス判断の試験が隠れている。
それは実力と伴わない時の話で、最終的に実力が大事というだけ。
「ほらほら、今日は顔合わせなんだから、そのくらいで。では日程を決めようか」
残念ながら、今日が決行日てはない。
いつ行くか、みなの日時を合わせる日だ。
なによりも、重い腰を上げたがらないミリーの腰をあげさせる日でもある。
4
お気に入りに追加
319
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
ある平凡な女、転生する
眼鏡から鱗
ファンタジー
平々凡々な暮らしをしていた私。
しかし、会社帰りに事故ってお陀仏。
次に、気がついたらとっても良い部屋でした。
えっ、なんで?
※ゆる〜く、頭空っぽにして読んで下さい(笑)
※大変更新が遅いので申し訳ないですが、気長にお待ちください。
★作品の中にある画像は、全てAI生成にて貼り付けたものとなります。イメージですので顔や服装については、皆様のご想像で脳内変換を宜しくお願いします。★
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる