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のんびり高速移動旅
127、テンプレ先の令嬢 7(変鹿)
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令嬢が一口お茶を飲んでから切り出した。
「先に彼らの紹介をするわね。我が屋敷の家令、カリスファリア、その孫のエレアよ。エレアはアティモアの近侍なの、二人に事情を話したわ」
おっ、知ってんぞ!
家令は、屋敷の執事達のトップで執事長とも言う、屋敷の総てを管理してる人だ。
そして、近侍は常に身の周りの世話をする人、普通なら侍女と言われていただろうが、男女区別ないこの世界ならではだろう。
「お初にお目にかかります。カリスファリアと申します。この度は主の馬車を直して下さり、厚く御礼申し上げます」
その名前と高い声に、あのアニメ映画で城を動かしていた炎を思い出したが、笑うのはどうにか抑えられた。
渋い外見にその声ってのも、ギャップがスゴイ。
「エレアと申します。お越し下り、感謝致します」
あれ?っと俺が首をかしげると、リンが俺の頭を覗いたかのように、令嬢に質問した。
「君の執事は?」
家令は、屋敷の全般を取り仕切る人、仕事場所は屋敷の中となる。
婚約者の近侍みたいな、令嬢は領主でもあるから秘書のような仕事も手伝う右腕となる執事がいるはずと、令嬢を見ると、彼女の視線はみすぼらしいベッドへ。
「まさか、アレ?」
「アレとは言葉が悪いですわ。……ええ、そうよ。ツンディーレは私の執事よ。それとカリスファリアの孫でもあるわ」
カリーの孫追加、でもエレアの目は普通の白目。
「ライライナ様、私からお伝えしてもよろしいでしょうか?」
「そのつもりよ」
「ありがとうございます。まず私に子は三人おります。ツンディーレの親のみ、死別した前伴侶の子です。あとの二人とは親が違い、エレアは、三番目の子の子。人族になります。私の前伴侶の名は、ディノーラクス。彼は純血に近いの魔人族でした」
「ディノーラクス?……って、あの変態研究馬鹿に付き合って、純粋魔素の中に入って魔族になりかけたり、魔素なし空間で死にそうになった、あの魔人?」
もう俺の中であの偉大なるレンチン研究者は、ド変態な単なるマッドサイエンティストに格下げされている。
ヤツの実験結果は、もー凄い、凄過ぎる、だがやはり実験は実験であり、研究は研究なのだ。
「ご、ご存知でしたか、でもあの方のその呼ばれ方はいかがなものかと……」
「どんだけ凄い功績残しても、アンのとうちゃんでも、あいつはマッドサイエンティストじゃなくて、変態で研究馬鹿なアホのド変態研究馬鹿だろ」
俺が断言すると、渋おじ執事は口を噤み、令嬢が肩を振るわせて笑う。
「くっ、あっはははは……。だっ大賢者様のお父上と分かっていてもっ、そ、それに大賢者様をアンっと、あははははは…………」
見ると婚約者二人もクスクスと笑い、渋おじ執事の娘も笑い出すと、渋おじ執事はどうにか笑うのを堪えている。
リンはさすがだなっと呆れながら笑ってしまっている。
すると、あらぬ方角から笑い声がして、えっと皆が振り向いた。
寝ているはずの猪から、ブヒブヒではない普通の人の笑い声か聞こえ、皆でベッドに移動した。
すぐに令嬢が手を伸ばすが、その手は猪に触れることが出来ない。
見えない保護膜でもあるかのように、令嬢の手は空中で止まり、寝ながら笑っていた猪から笑い声は消えていく。
「寝笑いオーク。触れないってこーいうことかー、俺もっ……えー、やっぱり……おろっ?柔らかっ」
令嬢の反対側から、膜に触りたいと思って伸ばした手は、見た目と違い意外にも柔らかい毛質に触れた。
リンの長毛尻尾よりは、弾力や張りが強いが、猪の硬ったい毛質ではない。
以前、パートのおばさんが、高い猪毛櫛を買ったのだと、触らせて貰ったことがあるが、あれは硬かった。
こんな毛質だから、猪突猛進に野山を駆け回っても肌を傷付けないのだと、これで梳かすとサラサラになるのだと自慢気にしていた。
あんたもバサバサな髪してないで、こういうのでサラサラにしたら、野暮ったく見えないかもよっ、なんて軽口叩いてた。
その後、当人は毛髪が寂しくなってきていて、余計に残りの髪に固執しているのだと、他のパートのおばさん達が話してるのも聞いたが。
その櫛の毛をイメージしていたから、意外にも柔らかい毛並みにそのままいつものペタを撫でる様に撫で撫でしてしまう。
「リンのより硬い毛だけど、猪毛って意外に柔らかいんだな。おーっ猪、じゃなくてオーク触ってるしー、スゲーっ、大型犬ってこんな感じなんか……あー、えーっと、またやっちまった?」
そう言いながら周りを見ると、五人は呆気に取られ固まっていたが、その中でリンはいつもの顔で笑っている。
「ああ、いつものだ。コウ、俺もいいか?」
「俺に聞かれてもなぁー」
手を離して場所を譲ると、リンが手を伸ばし、何事もなく触れた。
オークの毛質を確かめるように一撫し、すぐに手を離すと、俺に一言言い、次に令嬢達に向き直った。
「確かに、俺のより少し硬いな。……さて、ライライナ、俺達は少し周りとは違う。先日は、教会の巣の中にある、神父や親しか触れないはずの精霊の卵に触ってきた。この力が勇聖者と聖女の力ではないかと思っているが、正確には分かっていないが、異質な力を持っているようなんだ」
令嬢が呆気に取られながら、触れられない自分の手を見ていると、次第に令嬢の目に涙が溜まり、ポロポロと零れた。
「えーっと、なんかごめん」
どうしようとテンパり、オロオロと何故か謝り、リンの後ろに隠れた。
でも、その後の二人の婚約者がハンカチで涙を拭く様を見て、二人に目を隠される図に、吹き出さなかった自分に喝采した。
リンに、すかさず笑いそうになってる俺を目だけで窘められたが。
「先に彼らの紹介をするわね。我が屋敷の家令、カリスファリア、その孫のエレアよ。エレアはアティモアの近侍なの、二人に事情を話したわ」
おっ、知ってんぞ!
家令は、屋敷の執事達のトップで執事長とも言う、屋敷の総てを管理してる人だ。
そして、近侍は常に身の周りの世話をする人、普通なら侍女と言われていただろうが、男女区別ないこの世界ならではだろう。
「お初にお目にかかります。カリスファリアと申します。この度は主の馬車を直して下さり、厚く御礼申し上げます」
その名前と高い声に、あのアニメ映画で城を動かしていた炎を思い出したが、笑うのはどうにか抑えられた。
渋い外見にその声ってのも、ギャップがスゴイ。
「エレアと申します。お越し下り、感謝致します」
あれ?っと俺が首をかしげると、リンが俺の頭を覗いたかのように、令嬢に質問した。
「君の執事は?」
家令は、屋敷の全般を取り仕切る人、仕事場所は屋敷の中となる。
婚約者の近侍みたいな、令嬢は領主でもあるから秘書のような仕事も手伝う右腕となる執事がいるはずと、令嬢を見ると、彼女の視線はみすぼらしいベッドへ。
「まさか、アレ?」
「アレとは言葉が悪いですわ。……ええ、そうよ。ツンディーレは私の執事よ。それとカリスファリアの孫でもあるわ」
カリーの孫追加、でもエレアの目は普通の白目。
「ライライナ様、私からお伝えしてもよろしいでしょうか?」
「そのつもりよ」
「ありがとうございます。まず私に子は三人おります。ツンディーレの親のみ、死別した前伴侶の子です。あとの二人とは親が違い、エレアは、三番目の子の子。人族になります。私の前伴侶の名は、ディノーラクス。彼は純血に近いの魔人族でした」
「ディノーラクス?……って、あの変態研究馬鹿に付き合って、純粋魔素の中に入って魔族になりかけたり、魔素なし空間で死にそうになった、あの魔人?」
もう俺の中であの偉大なるレンチン研究者は、ド変態な単なるマッドサイエンティストに格下げされている。
ヤツの実験結果は、もー凄い、凄過ぎる、だがやはり実験は実験であり、研究は研究なのだ。
「ご、ご存知でしたか、でもあの方のその呼ばれ方はいかがなものかと……」
「どんだけ凄い功績残しても、アンのとうちゃんでも、あいつはマッドサイエンティストじゃなくて、変態で研究馬鹿なアホのド変態研究馬鹿だろ」
俺が断言すると、渋おじ執事は口を噤み、令嬢が肩を振るわせて笑う。
「くっ、あっはははは……。だっ大賢者様のお父上と分かっていてもっ、そ、それに大賢者様をアンっと、あははははは…………」
見ると婚約者二人もクスクスと笑い、渋おじ執事の娘も笑い出すと、渋おじ執事はどうにか笑うのを堪えている。
リンはさすがだなっと呆れながら笑ってしまっている。
すると、あらぬ方角から笑い声がして、えっと皆が振り向いた。
寝ているはずの猪から、ブヒブヒではない普通の人の笑い声か聞こえ、皆でベッドに移動した。
すぐに令嬢が手を伸ばすが、その手は猪に触れることが出来ない。
見えない保護膜でもあるかのように、令嬢の手は空中で止まり、寝ながら笑っていた猪から笑い声は消えていく。
「寝笑いオーク。触れないってこーいうことかー、俺もっ……えー、やっぱり……おろっ?柔らかっ」
令嬢の反対側から、膜に触りたいと思って伸ばした手は、見た目と違い意外にも柔らかい毛質に触れた。
リンの長毛尻尾よりは、弾力や張りが強いが、猪の硬ったい毛質ではない。
以前、パートのおばさんが、高い猪毛櫛を買ったのだと、触らせて貰ったことがあるが、あれは硬かった。
こんな毛質だから、猪突猛進に野山を駆け回っても肌を傷付けないのだと、これで梳かすとサラサラになるのだと自慢気にしていた。
あんたもバサバサな髪してないで、こういうのでサラサラにしたら、野暮ったく見えないかもよっ、なんて軽口叩いてた。
その後、当人は毛髪が寂しくなってきていて、余計に残りの髪に固執しているのだと、他のパートのおばさん達が話してるのも聞いたが。
その櫛の毛をイメージしていたから、意外にも柔らかい毛並みにそのままいつものペタを撫でる様に撫で撫でしてしまう。
「リンのより硬い毛だけど、猪毛って意外に柔らかいんだな。おーっ猪、じゃなくてオーク触ってるしー、スゲーっ、大型犬ってこんな感じなんか……あー、えーっと、またやっちまった?」
そう言いながら周りを見ると、五人は呆気に取られ固まっていたが、その中でリンはいつもの顔で笑っている。
「ああ、いつものだ。コウ、俺もいいか?」
「俺に聞かれてもなぁー」
手を離して場所を譲ると、リンが手を伸ばし、何事もなく触れた。
オークの毛質を確かめるように一撫し、すぐに手を離すと、俺に一言言い、次に令嬢達に向き直った。
「確かに、俺のより少し硬いな。……さて、ライライナ、俺達は少し周りとは違う。先日は、教会の巣の中にある、神父や親しか触れないはずの精霊の卵に触ってきた。この力が勇聖者と聖女の力ではないかと思っているが、正確には分かっていないが、異質な力を持っているようなんだ」
令嬢が呆気に取られながら、触れられない自分の手を見ていると、次第に令嬢の目に涙が溜まり、ポロポロと零れた。
「えーっと、なんかごめん」
どうしようとテンパり、オロオロと何故か謝り、リンの後ろに隠れた。
でも、その後の二人の婚約者がハンカチで涙を拭く様を見て、二人に目を隠される図に、吹き出さなかった自分に喝采した。
リンに、すかさず笑いそうになってる俺を目だけで窘められたが。
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