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のんびり高速移動旅
098、ノナランス 1(好み)
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順調に進み、ノナランスに到着。
宿準備でマットレスを2枚出し、並べた。
新しくラウ達用に作ってもらったので、2枚となる。
ある時、俺たちがランス入りしてる間、ラウとペタが気持ち良さそうに俺たちのマットレスに寝ていた。
ちゃんとラウ達用に厚めの絨毯を用意していたが、マットレスの方がいいらしいと、リンに頼んだ。
サイズは俺たちのやつの倍以上。
ラウとディラがゆったり並んで寝れるようにと俺たちのよりも枚数使い、薄さは、俺たちのマットレスの半分。
最初は同じ高さにと、リンが重ねながら作っていた時のこと。
途中の高さでラウがトコトコ歩いてきて、作りかけのマットの上に乗った。
もしやと思い、一回退いてもらって、一枚増やして座らせてみたら、すぐに立ち上がり、嘴で挟んで放り投げた。
ディラ的にはどうなのかと、ディラで同じことをやったら、どちらでもいいらしく、どちらも普通に座っていた。
そこに、ラウが来て、増やした一枚を放り投げたので、ラウ好みの約半分の高さに決定したのだった。
それ以外にも、ラウは、色々とうるさい。
食事も好きじゃない草が混じっていると器用に嘴で挟んで、ディラの食事に入れたりしている。
そして、今日もそれをやっていたので、またやってると笑っていた俺にリンが気付いた。
「どうかしたのか?」
「ラウってさ、嫌いなものがあるとディラの皿に入れるって知ってた?」
「いや、知らなかった。どれだ?」
すると、ディラがリンの声に反応して、皿に入り込んできた物をくちばしで挟んでリンに差し出した。
「ありがとう……これ、ヒール草に似ているが、少し違う」
「ヒール草?回復とかのヒール?」
「そう、薬師がヒール薬などの回復薬に処方するヒール草、これも食事と一緒に食べさせてるんだ」
「……なんで?」
「忘れているな。体力のタガが外れてるのは俺たちだけだよ」
あっ、の口で固まった俺にリンが笑んだ。
「そう言うことだ、気付いてなかったか」
「えっ、あー、はい。そっかー、俺たちよりもこいつらの方が酷使してんだった。普通に走ってるから全くそんなん思わなかった。そうだよなー、毎日スゲー距離をスゲー勢いで走ってんだもんな。もっと労らなきゃいけなかったのな、すまんな。あんがとうな」
撫でながらそんなことを言っていると、ラウがピューッと一鳴きしてまた食事に戻った。
「……スゲー距離をスゲー勢いって、また凄い言葉だな」
リンのある意味感嘆とも言える言葉に、苦笑いしながら、リンが持つヒール草ではない植物を貸して貰った。
「へぇー、んで、本物のヒール草ってのは?」
見た目は完全にほうれん草な植物を見ながら、次にヒール草を渡されると、今度は完全に小松菜。
前にほうれん草のおひたしを食べて苦かった経験から、ほうれん草は微妙に避けていたら、ホウレン草と小松菜の違いが分かるようになった。
こうやって葉の状態のを、生では見たことないが、なんとなくその二つだと分かったのは、ある意味びっくりだ。
「へぇー、これヒール草ってのか、小松菜としか思えない」
「よく知ってるな、正式名称はこまつな草だよ。ヒール薬に使われるからヒール草の方が一般的になってしまっているがね」
「なんと!なら、こっちはほうれん草とか?」
「ほうれん草?聞いたことあるな。ちょっと待ってくれ……………ほうれん草ほうれん草」
リンがジンケットから本を取り出した。
前に図鑑欲しいといったので、一通りの図鑑を買い込んだ。
魔物図鑑、種族図鑑、薬学図鑑、岩石図鑑、など多岐に渡って揃えた。
植物図鑑がまた凄い、雑花、雑草、食用花、食用草、薬花、薬草、などと種類が多い。
そして、今、リンが見てるのは、それらの草花図鑑のどれに載っているかを書いているのかをひとまとめした索引本。
「薬草図鑑に載ってるようだな…………おっ、コウの言った通り、これは『ほうれん草』と言うよ。『食べると苦味がある為、食用として扱うには難があるが、これを好んで食べる地域もある』と書いてるよ」
ほうれん草が食用から外されている件、ほうれん草農家さんが泣いてるぞ。
「あー、残念。俺らのとこでは普通に食用。俺はその苦味が嫌だから選んでまでは食べないけど、まあ、苦くしないようにすれは大丈夫なんだけど……んっ?薬草図鑑?」
「ああ、『ヒール草よりも扱いにくいが、回復量が倍以上あるため、上位薬師のみが独自の処方で上位ヒール薬に処方している』だと本気」
上位薬師……上位ヒール薬、ほうれん草農家さん、常食用ではないけれど、小松菜よりも格上扱いですぞ。
確か、あっちでは栄養的には逆じゃなかっただろうか。
などと、見知らぬ農家にちょっとだけ思いを馳せた。
宿準備でマットレスを2枚出し、並べた。
新しくラウ達用に作ってもらったので、2枚となる。
ある時、俺たちがランス入りしてる間、ラウとペタが気持ち良さそうに俺たちのマットレスに寝ていた。
ちゃんとラウ達用に厚めの絨毯を用意していたが、マットレスの方がいいらしいと、リンに頼んだ。
サイズは俺たちのやつの倍以上。
ラウとディラがゆったり並んで寝れるようにと俺たちのよりも枚数使い、薄さは、俺たちのマットレスの半分。
最初は同じ高さにと、リンが重ねながら作っていた時のこと。
途中の高さでラウがトコトコ歩いてきて、作りかけのマットの上に乗った。
もしやと思い、一回退いてもらって、一枚増やして座らせてみたら、すぐに立ち上がり、嘴で挟んで放り投げた。
ディラ的にはどうなのかと、ディラで同じことをやったら、どちらでもいいらしく、どちらも普通に座っていた。
そこに、ラウが来て、増やした一枚を放り投げたので、ラウ好みの約半分の高さに決定したのだった。
それ以外にも、ラウは、色々とうるさい。
食事も好きじゃない草が混じっていると器用に嘴で挟んで、ディラの食事に入れたりしている。
そして、今日もそれをやっていたので、またやってると笑っていた俺にリンが気付いた。
「どうかしたのか?」
「ラウってさ、嫌いなものがあるとディラの皿に入れるって知ってた?」
「いや、知らなかった。どれだ?」
すると、ディラがリンの声に反応して、皿に入り込んできた物をくちばしで挟んでリンに差し出した。
「ありがとう……これ、ヒール草に似ているが、少し違う」
「ヒール草?回復とかのヒール?」
「そう、薬師がヒール薬などの回復薬に処方するヒール草、これも食事と一緒に食べさせてるんだ」
「……なんで?」
「忘れているな。体力のタガが外れてるのは俺たちだけだよ」
あっ、の口で固まった俺にリンが笑んだ。
「そう言うことだ、気付いてなかったか」
「えっ、あー、はい。そっかー、俺たちよりもこいつらの方が酷使してんだった。普通に走ってるから全くそんなん思わなかった。そうだよなー、毎日スゲー距離をスゲー勢いで走ってんだもんな。もっと労らなきゃいけなかったのな、すまんな。あんがとうな」
撫でながらそんなことを言っていると、ラウがピューッと一鳴きしてまた食事に戻った。
「……スゲー距離をスゲー勢いって、また凄い言葉だな」
リンのある意味感嘆とも言える言葉に、苦笑いしながら、リンが持つヒール草ではない植物を貸して貰った。
「へぇー、んで、本物のヒール草ってのは?」
見た目は完全にほうれん草な植物を見ながら、次にヒール草を渡されると、今度は完全に小松菜。
前にほうれん草のおひたしを食べて苦かった経験から、ほうれん草は微妙に避けていたら、ホウレン草と小松菜の違いが分かるようになった。
こうやって葉の状態のを、生では見たことないが、なんとなくその二つだと分かったのは、ある意味びっくりだ。
「へぇー、これヒール草ってのか、小松菜としか思えない」
「よく知ってるな、正式名称はこまつな草だよ。ヒール薬に使われるからヒール草の方が一般的になってしまっているがね」
「なんと!なら、こっちはほうれん草とか?」
「ほうれん草?聞いたことあるな。ちょっと待ってくれ……………ほうれん草ほうれん草」
リンがジンケットから本を取り出した。
前に図鑑欲しいといったので、一通りの図鑑を買い込んだ。
魔物図鑑、種族図鑑、薬学図鑑、岩石図鑑、など多岐に渡って揃えた。
植物図鑑がまた凄い、雑花、雑草、食用花、食用草、薬花、薬草、などと種類が多い。
そして、今、リンが見てるのは、それらの草花図鑑のどれに載っているかを書いているのかをひとまとめした索引本。
「薬草図鑑に載ってるようだな…………おっ、コウの言った通り、これは『ほうれん草』と言うよ。『食べると苦味がある為、食用として扱うには難があるが、これを好んで食べる地域もある』と書いてるよ」
ほうれん草が食用から外されている件、ほうれん草農家さんが泣いてるぞ。
「あー、残念。俺らのとこでは普通に食用。俺はその苦味が嫌だから選んでまでは食べないけど、まあ、苦くしないようにすれは大丈夫なんだけど……んっ?薬草図鑑?」
「ああ、『ヒール草よりも扱いにくいが、回復量が倍以上あるため、上位薬師のみが独自の処方で上位ヒール薬に処方している』だと本気」
上位薬師……上位ヒール薬、ほうれん草農家さん、常食用ではないけれど、小松菜よりも格上扱いですぞ。
確か、あっちでは栄養的には逆じゃなかっただろうか。
などと、見知らぬ農家にちょっとだけ思いを馳せた。
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