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第12話 13日目
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ズキンズキン・・・・😖💥
もうもとには戻れないんだ・・・・。
刻々と時間は迫る・・・
俺は、時計の針の音を聞きながら苦痛に悩んでいた。
神様・・・・もう少しだけ待ってくれよ・・・・
まだ、1日あるじゃないか・・・・
早すぎるよ・・・・・
俺は、台本を、もち・・・・
「・・ここへ来るのは・・・・」
台詞を言っていた。
ズキンズキン
「・・・うっ・・・・」
頭がいたい・・・・
「涼さん、いつも早いですね」
「・・・竹?」
弱々しく答える俺に・・・
「・・涼さん?大丈夫ですか?」
心配そうに駆けつけてくれる竹。
「・・・大丈夫・・・・」
フラりとしながら言う俺・・・
「・・・でも、顔色悪いですよ?」
「・・・大丈夫・・・休めばなおる・・・・はず・・・」
「・・やっぱり、頭痛治ってなかったんですね・・・。病院行きましょう。」
「・・・休めばなおるんだ・・・・」
「・・でも、辛そうだし・・・涼さん、お願いですから無理だけはしないでください。なんでそんなに頑張るんですか?」
「・・・明日は、おれ・・・いなくなる日でもあるし・・・本番だし?」
「・・・・」
「・・・最初で、最後の舞台になるかもしれない・・・・。俺にとっては、意味のある舞台だから」
「・・・それなら、せめて今だけでも・・・和也さんに話して・・・・」
「・・・頼む竹!和也には言わないでくれ・・・・」
「・・・えっ・・・・」
「・・・あいつに言うと、絶対病院送りにするから」
「・・・でも・・・」
「・・・それより、竹・・・良かったな・・・・」
「・・・えっ?よかったって・・何がですか?」
「・・・サリーちゃん・・・・お前のこと・・・・・」
ズキンズキン
ダメだ・・・・立っていられない・・・・
グラリ
俺は、意識を失いかけ・・・
竹にもたれ掛かり・・・
「・・・頑張れよ・・・・」
かろうじてそれだけ言って・・・目の前が真っ暗になった。
「・・・涼さん?
涼さん!しっかりしてください!」
しっかりと俺を抱き止めてくれた竹は、俺を呼んでいてくれて・・・・・
だけど俺は・・・竹の声が聞こえなくなっていた・・・・・
もうおしまいかと思ったんだ・・・・・
俺は、このまま死ぬのか?
「・・・・・?」
目が覚めると、天井?
俺・・・・まだ・・・生きてる?
「・・涼さん?大丈夫ですか?」
俺を心配そうに覗きこむ竹の顔・・・
今にも泣きそうで・・・・
「・・竹・・・俺・・・」
「・・・ダメですよ・・まだ寝てなくちゃ・・・」
「・・みんなは?」
「・・・昼から来てって・・・連絡しました。涼さんと俺とで、最終調整をしたいと言ったら、みんな納得してくれました。」
「・・・ちょっとまて・・・なんでそんな嘘を・・・・」
「・・・心配だったんです。涼さん、苦しそうだったし・・・熱あるのに無理したりして・・・・。もしかして、ずっと我慢してたんですか?」
「・・・・そういう訳じゃ・・・・」
でも、半分当たっている。
「・・・おまけに、今の状態では、誰も呼んじゃいけない気がしたんです・・・。もちろん、誰にも話してないですよ?和也さんにも・・・・」
竹は、正直なやつだ。
「・・・心配かけて、ごめん」
「・・・いつも、言ってるじゃないですか。体調は、整えろって・・・・和也さんも・・・ずっと言ってきてるし・・・。
明日は本番ですよ?涼さんは必要不可欠な人なんです・・・・いなくなったら、困るんです」
「・・・あはははは。ありがとう」
おれは、笑ってごまかした。
「あっ・・・そうだ。お粥食べてください」
「・・・えっ・・・・」
見ると美味しそうな匂いがしている。
「・・・僕もね、このお粥食べてました。風邪を引くと、母がよく作ってくれて・・・
だから、すぐ治りました。」
「・・・ほんとだ。すごくうまそうだ」
「・・・国松家特製のお粥は、どんな病気も治すかもしれませんよ?」
「・・あはは。それは大げさ」
「・・・(笑)ですよね」
「あっ、でも、美味しい。」
一口食べたお粥は、懐かしい味がした。
どこかで食べたような?
そんな気持ちになれた。
弘子「・・涼!」
涼「・・ん?」
弘子「・・・料理教室で、お粥を習ってきたの」
涼「お粥なんて簡単だろ?料理教室で習うほどでもないよ」
弘子「いいから食べてみて!?これで風邪を治しなさい」
そんなことを思い出していた。
にやついていたかもしれない。
竹にいつのまにかじっと見られていて・・・・
「・・・・・」
「・・・・・・あの?ずっと気になっていたことを聞いてもいいですか?」
「・・・な、なんだよ、竹まで・・・・」
「・・あの!」
なぜか顔を近づけ
「・・・ち、ちかっ」
「・昨日は、仮眠室でサリーちゃんと、なにを話していたんですか?」
「・・・な、なんだよ。そのことかよ」
「・・いえ・・・あの・・・気にしないようにしようとしてたんですが・・・・どうしても気になってしまって・・・💦💦」
「・・・気になるんだな?俺とサリーちゃんがなにを話していたか」
「・・・気にならないって言ったら嘘になりますから」
「・・(笑)お前は、顔に出すぎるから(笑)対した話じゃないよ?そんなに気になるなら、直接サリーちゃんに聞けよ。それにな?俺が、サリーちゃんから相談受けたんだ。俺にだけ聞いてほしいってね。直々にご指名があってね」
「・・・ガ~ン・・・・(さ、サリーちゃんはまさか涼さんのことを?)」
「・・なんだよ。なに、勘違いしてるんだよ」
「・・・えっ?な、何もいってないですよ?」
「・・・そうだ。お前さ、真理ちゃんにまた告白されたんだって?」
「・・あっ・・・いや、それは・・・・」
「・・・お前、出会った頃よりも男らしくなったからなぁ~」
「・・・えっ・・・」
「・・好きな人を守る心は変わってないけど・・・お前みたいなやつがいるのがすくいなのかもな」
「・・・・涼さん・・・・
「・・・なんだよ」
なぜか近づいてくる竹・・・。
「・・・涼さん・・・・涼さん涼さん涼さん!!」
「・・な、なんだよ・・竹・・・泣くなよぉ!男・・・だろ?」
「・・・うそですよね・・・?明日いなくなるなんて・・・」
「・・・・」
「・・ずっと一緒にスノードロップやりましょうよ!涼さんなしではやっていけないですよ!」
涙ながらに叫ぶ竹に・・・
「・・・大丈夫だよ、たけ。いまのお前なら・・・・
どこへ行っても大丈夫だ。合格だってできるよ」
「・・・涼さん・・・・」
「・・・きっと、他のみんなだって合格できる。俺は信じてる。信じてるだけじゃダメか?」
「・・・・・・・」
「・・・俺がいなくなったら、お前と和也が中心になって劇団を続けるんだ。・・いいな?わかったか?」
「・・・涼さん」
さっきから涙が止まらない竹。
「・・・俺は楽しかったよ。短い間だったけどありがとな?俺、生きてて良かったよ」
「・・・あはは。涼さんって、時々変なこと言いますよね・・・・」
「・・・えっ・・・そう?俺って変なやつ?」
「・・・なんか隠してるっていうか・・・・
人に言えない秘密を持っているように見えるし・・・・」
「・・・・竹ってさ・・・・時々鋭いこと言うよな・・・・」
・・・・びっくりするよ。
「・・・竹、お前にだけは話してやるよ。ただし・・・誰にも言うなよ?」
「・・へっ?」
「・・・聞いたらすぐに忘れて欲しい・・・。いや・・・覚えててもどっちでもいいんだけど・・・・」
「・・なんですかそれ(笑)《忘れろ》だなんて・・・・・」
「・・・実はな・・・竹・・・」
「・・・・?(゚A゚;)(ゴクリ)」
なぜかドキドキして、真剣な眼差しを向けてくる竹・・・
「・・・俺明日、誕生日なんだよ」
(・・・い、言えない・・・)
「・・・えっ?!Σ( ̄□ ̄;)」
竹は驚くふり?をしている?それとも、知らずにいた?
「・・・そうそう、和也のやつ、俺のことをタメだと思ってんだけど~残念。実はな学年はひとつ上なんだよね」
「・・・だ、誰にも話すなって・・・そ、そんなことなんですか?」
竹はなぜだかためらっている。
「・・・いや~・・・誕生日なんてこの年になるとあんまり嬉しくなくてさ・・・しかもバレンタインだよ?バレンタイン・・・・クリスマスや、正月のように一緒にされたりするだろ?何せイベントの日だからな。まぁ、覚えてもらいやすいっていうのはあるけど・・・・」
「・・・な、なんか・・・人に話せないことでもなさそうですね・・・・・」
「・・・でも俺が明日いなくなるのはちゃんと理由があるんだ。」
「・・・え~?ほんとですかぁー?」
もう完全に疑いの目を向けてくる竹。
「・・・一緒にいたいやつがいるんだ。そいつと二人で過ごしたいんだ。」
いま言わなきゃ後悔する・・・・。
さっきより真剣な目をして言った。
「・・・・えっ・・・・」
「・・・・明日、友達が死ぬんだ。俺はそいつに必ず会いに行かなきゃならないんだ」
「・・・えっ?死ぬって・・・・ちょっと待ってくださいよ・・・。それなら今すぐにでも・・・・」
「・・・そいつと約束したんだ。明日まで会わないって・・・・・」
単なる嘘ではない。
だけど、思い付かないんだ。
「・・い、意味がわかりません・・・。その人が明日死ぬって言うのに舞台やっていてもいいんですか?」
「・・・・終わったら会うって、約束なんだよ。終わるまで来るなって言われてるから・・・・・」
「・・・いや、男友達か・・・男か女か知りませんが・・・・今すぐにでも会いたいんだと思います。涼さんを、待っていると思います。明日会いたいだなんて嘘ですよ。」
「・・・・・竹・・・」
竹はまた泣き始めた。
こんなに泣かせてごめん・・・・・。
「・・誰かが死ぬ・・・いえ、自分がもし死ぬんだったら、いま一番会いたい人に会いたいって思いますから!」
そんなの辛すぎます!
「・・・・竹・・・お前は優しいな・・・」
これは、俺の精一杯の嘘なのに・・・・
「・・優しいのは涼さんの方ですよ。死ぬとわかってても一緒にいたいなんてなかなかできないですよ」
「・・ありがとな?竹・・・・」
「・・・いいえ。それじやまあ、顔洗ってきますね・・・泣き顔みんなに見られるの恥ずかしいですから・・・・」
「・・・なぁ?竹・・・・」
「・・・はい?」
「・・・竹は、死ぬなよ?愛しい人や、仲間を遺して・・・先に死ぬなよ?」
「・・・あはは~なにいってるんですかぁ!俺はまだまだ生きますよ~?」
「・・・(笑)」
「・・・人生長ければ、いいこともあるって父さんにも、兄さんにも励ましてもらってきましたから!」
そう言って顔を洗いに行った竹・・・
(竹らしいな・・・・)
「・・・いまの俺があるのは、家族や友人、そして劇団のみんながいるからなんです」
「・・・幸せ者だな、お前は」
「・・・でも、恋だけはまだまだですけどね・・・・」
「・・・それはどうかなぁ~(こいつ気づいてないのかよ)」
「・・・えっ?」
「・・・俺さっき・・・なんか言った気がするけど・・・・」
「・・そう言えば・・・涼さんが倒れる前にサリーちゃんがどうとかって・・・・聞こえたような?」
「・・そうだよ。お前はサリーちゃんと向き合えば想いは伝わる。」
「・・・えー?まさか・・・・」
「・・・でも、これだけは言っておくよ。生きてるうちに、想いは伝えろよ?」
「・・・はい、わかりました。」
そう言って用意をし始めた竹・・・・。
誰もいなくなったところで、俺は今まで耐えてこれたのに、悔しくて涙が出た。
寂しくて・・・・辛くて・・・・・
これからみんなとさよならしなきゃならないと考えたら悔しくて切なくて・・・・俺は、声もたてずに泣いていた・・・・・。
「・・あはは!」
「・・・そしたらさぁ~」
みんなの話し声が聞こえてきた。
「・・・やべっ!みんな来たんだ・・・」
俺は、みんなと顔を合わせづらくなっていた。
このまま逃げ出してしまいたい・・・・
なぜならいまの俺は、何を口走るかわからないから・・・・・
逃げ出したい・・・・
ここから・・・・・
「・・・・みんなぁー」
「・・あー!涼さん」
「・・・秘密の特訓ってなんだろね」
ん?秘密の特訓?なんの話だろ・・・
「・・・涼・・・・」
和也も来ていた。
「・・・和也・・・・」
今さら逃げられない・・・
逃げちゃダメだよな?
「・・・涼、お前さ・・・・」
と、突然顔を近づける和也。
「(えっ😱💥近いんだけど・・・・)」
「・・・お前、本当はさっき倒れたんだって?」
「・・・げっ・・・何でそれを・・・・」
「・・・竹の様子がおかしいから問いただした。あいつ心配性だし、正直者だからすぐ答えてくれたよ」
「・・・あはは。やっぱりバレたか」
「・・・なにが秘密の特訓だよ💢」
か、和也完璧に怒ってる💦💦
「・・いや、もう大丈夫なんだ。。あいつを怒らないでやってくれ・・・頼むから」
「・・・嘘つけ!どこが大丈夫なんだよ!まだ、顔色悪いじゃないか!!日頃から、言ってるだろ?気を付けろって!」
「・・・・(ち、近い)や、やっぱり、薬を飲みすぎたせいかな・・・・」
「・・・・お前は無理しすぎだ。なんなら、休め。準備はもうできてるし・・・・お前、ずっと休んでないだろ?毎日朝早く来てるし・・・環境変わって疲れが出たんじゃないのか?」
「・・・ごめん、そうかも。大袈裟に騒がれて中止になんかされたくないし・・・させたくもなかったから・・・・ごめんな、反って心配かけて・・・・」
「・・・・涼・・・」
「・・えっ?」
「・・・辛かったら言えよ?お前はこの劇団の一員だ。約束だ。
隠し事はしないって」
「(ギクリ)・・・か、隠し事なんてないよ」
「・・・そう?」
また、疑いの目を向けられる。
「・・・あ、当たり前だろ?(ビックリした。気付かれたかと思った)」
「・・ならいいけど・・・・」
「・・そんなことよりぃーあれから美奈子さんとは順調なのか?」
「・・・えっ?俺のはなし?
・・ま、まぁな」
「・・・そりゃあ、良かった」
「・・・お、お前こそ?《ヒロコさん》とあれから進展あるのか?
うわごとで《ヒロコー!好きだ!》って言ってたしな」
「・・・なっ!Σ( ̄□ ̄;)(/≧◇≦\)(;>_<;)う、嘘だ!」
「・・・嘘じゃない。・・・その顔だと進展なし・・・か?」
「・・・弘子とは相変わらず会ってないよ・・・・もう、ずっと会えてないし・・・忘れたかもな~・・・・俺のことなんか・・・・(なんせ、10年経ってるし・・・・)」
「・・・なんで会いに行かないんだ。」
ヒロコ「・・・・手紙に書いてあったの。俺のことなんか忘れて幸せになれって・・・・」
なぜか泣いてそういってる姉さんの顔を思い浮かべてしまった。なぜだろう。
「・・・涼・・・」
「・・・もう、会えないんだよ・・・(俺の場合・・・・)」
「・・・Σ(´□`;)ご、ごめん、俺、余計なこと・・・・」
そんなかおするとは思わなかったから・・・・。
「・・・気にするなよ。俺はお前の幸せを願っておくからさ」
「・・・じゃあ、俺も・・・お前の幸せ願っておくよ。
どんなに離れてても、俺たちみんな繋がってるって思っていてほしい。
お前は、俺たちに希望を与えてくれたんだから・・・・」
「・・・和也・・・・・」
「・・・あのときお前は本気で俺を叱ってくれた。」
「・・・そんな簡単に、死んでもいいなんて言うなよ!!」
・・・あぁ、和也がやめると言ったときね・・・
「・・・あのとき和也を、殴ってしまった。ごめん・・・」
「・・いや、違う。あのときの俺はどうかしてた。俺のことを本気で叱ってくれたのはお前が初めてだったから・・・感謝してるんだ」
「・・・和也、俺はそんないい存在じゃないよ。ただの居候みたいなもんだしな」
今も本当は、逃げたくて仕方ないんだから・・・・。
自分の“死”から逃げたくて・・・・
「それでもお前は希望を運んでくれた。少なくとも俺は感謝している。みんなだってそう思っているはずだ」
「・・・・ありがとう、和也」
「・・・えっ?涼?なんでお前がなく・・・」
「・・・ありがとう・・・・」
俺は泣きながら何度もお礼を言った・・・。
生きられてよかった・・・・
もうもとには戻れないんだ・・・・。
刻々と時間は迫る・・・
俺は、時計の針の音を聞きながら苦痛に悩んでいた。
神様・・・・もう少しだけ待ってくれよ・・・・
まだ、1日あるじゃないか・・・・
早すぎるよ・・・・・
俺は、台本を、もち・・・・
「・・ここへ来るのは・・・・」
台詞を言っていた。
ズキンズキン
「・・・うっ・・・・」
頭がいたい・・・・
「涼さん、いつも早いですね」
「・・・竹?」
弱々しく答える俺に・・・
「・・涼さん?大丈夫ですか?」
心配そうに駆けつけてくれる竹。
「・・・大丈夫・・・・」
フラりとしながら言う俺・・・
「・・・でも、顔色悪いですよ?」
「・・・大丈夫・・・休めばなおる・・・・はず・・・」
「・・やっぱり、頭痛治ってなかったんですね・・・。病院行きましょう。」
「・・・休めばなおるんだ・・・・」
「・・でも、辛そうだし・・・涼さん、お願いですから無理だけはしないでください。なんでそんなに頑張るんですか?」
「・・・明日は、おれ・・・いなくなる日でもあるし・・・本番だし?」
「・・・・」
「・・・最初で、最後の舞台になるかもしれない・・・・。俺にとっては、意味のある舞台だから」
「・・・それなら、せめて今だけでも・・・和也さんに話して・・・・」
「・・・頼む竹!和也には言わないでくれ・・・・」
「・・・えっ・・・・」
「・・・あいつに言うと、絶対病院送りにするから」
「・・・でも・・・」
「・・・それより、竹・・・良かったな・・・・」
「・・・えっ?よかったって・・何がですか?」
「・・・サリーちゃん・・・・お前のこと・・・・・」
ズキンズキン
ダメだ・・・・立っていられない・・・・
グラリ
俺は、意識を失いかけ・・・
竹にもたれ掛かり・・・
「・・・頑張れよ・・・・」
かろうじてそれだけ言って・・・目の前が真っ暗になった。
「・・・涼さん?
涼さん!しっかりしてください!」
しっかりと俺を抱き止めてくれた竹は、俺を呼んでいてくれて・・・・・
だけど俺は・・・竹の声が聞こえなくなっていた・・・・・
もうおしまいかと思ったんだ・・・・・
俺は、このまま死ぬのか?
「・・・・・?」
目が覚めると、天井?
俺・・・・まだ・・・生きてる?
「・・涼さん?大丈夫ですか?」
俺を心配そうに覗きこむ竹の顔・・・
今にも泣きそうで・・・・
「・・竹・・・俺・・・」
「・・・ダメですよ・・まだ寝てなくちゃ・・・」
「・・みんなは?」
「・・・昼から来てって・・・連絡しました。涼さんと俺とで、最終調整をしたいと言ったら、みんな納得してくれました。」
「・・・ちょっとまて・・・なんでそんな嘘を・・・・」
「・・・心配だったんです。涼さん、苦しそうだったし・・・熱あるのに無理したりして・・・・。もしかして、ずっと我慢してたんですか?」
「・・・・そういう訳じゃ・・・・」
でも、半分当たっている。
「・・・おまけに、今の状態では、誰も呼んじゃいけない気がしたんです・・・。もちろん、誰にも話してないですよ?和也さんにも・・・・」
竹は、正直なやつだ。
「・・・心配かけて、ごめん」
「・・・いつも、言ってるじゃないですか。体調は、整えろって・・・・和也さんも・・・ずっと言ってきてるし・・・。
明日は本番ですよ?涼さんは必要不可欠な人なんです・・・・いなくなったら、困るんです」
「・・・あはははは。ありがとう」
おれは、笑ってごまかした。
「あっ・・・そうだ。お粥食べてください」
「・・・えっ・・・・」
見ると美味しそうな匂いがしている。
「・・・僕もね、このお粥食べてました。風邪を引くと、母がよく作ってくれて・・・
だから、すぐ治りました。」
「・・・ほんとだ。すごくうまそうだ」
「・・・国松家特製のお粥は、どんな病気も治すかもしれませんよ?」
「・・あはは。それは大げさ」
「・・・(笑)ですよね」
「あっ、でも、美味しい。」
一口食べたお粥は、懐かしい味がした。
どこかで食べたような?
そんな気持ちになれた。
弘子「・・涼!」
涼「・・ん?」
弘子「・・・料理教室で、お粥を習ってきたの」
涼「お粥なんて簡単だろ?料理教室で習うほどでもないよ」
弘子「いいから食べてみて!?これで風邪を治しなさい」
そんなことを思い出していた。
にやついていたかもしれない。
竹にいつのまにかじっと見られていて・・・・
「・・・・・」
「・・・・・・あの?ずっと気になっていたことを聞いてもいいですか?」
「・・・な、なんだよ、竹まで・・・・」
「・・あの!」
なぜか顔を近づけ
「・・・ち、ちかっ」
「・昨日は、仮眠室でサリーちゃんと、なにを話していたんですか?」
「・・・な、なんだよ。そのことかよ」
「・・いえ・・・あの・・・気にしないようにしようとしてたんですが・・・・どうしても気になってしまって・・・💦💦」
「・・・気になるんだな?俺とサリーちゃんがなにを話していたか」
「・・・気にならないって言ったら嘘になりますから」
「・・(笑)お前は、顔に出すぎるから(笑)対した話じゃないよ?そんなに気になるなら、直接サリーちゃんに聞けよ。それにな?俺が、サリーちゃんから相談受けたんだ。俺にだけ聞いてほしいってね。直々にご指名があってね」
「・・・ガ~ン・・・・(さ、サリーちゃんはまさか涼さんのことを?)」
「・・なんだよ。なに、勘違いしてるんだよ」
「・・・えっ?な、何もいってないですよ?」
「・・・そうだ。お前さ、真理ちゃんにまた告白されたんだって?」
「・・あっ・・・いや、それは・・・・」
「・・・お前、出会った頃よりも男らしくなったからなぁ~」
「・・・えっ・・・」
「・・好きな人を守る心は変わってないけど・・・お前みたいなやつがいるのがすくいなのかもな」
「・・・・涼さん・・・・
「・・・なんだよ」
なぜか近づいてくる竹・・・。
「・・・涼さん・・・・涼さん涼さん涼さん!!」
「・・な、なんだよ・・竹・・・泣くなよぉ!男・・・だろ?」
「・・・うそですよね・・・?明日いなくなるなんて・・・」
「・・・・」
「・・ずっと一緒にスノードロップやりましょうよ!涼さんなしではやっていけないですよ!」
涙ながらに叫ぶ竹に・・・
「・・・大丈夫だよ、たけ。いまのお前なら・・・・
どこへ行っても大丈夫だ。合格だってできるよ」
「・・・涼さん・・・・」
「・・・きっと、他のみんなだって合格できる。俺は信じてる。信じてるだけじゃダメか?」
「・・・・・・・」
「・・・俺がいなくなったら、お前と和也が中心になって劇団を続けるんだ。・・いいな?わかったか?」
「・・・涼さん」
さっきから涙が止まらない竹。
「・・・俺は楽しかったよ。短い間だったけどありがとな?俺、生きてて良かったよ」
「・・・あはは。涼さんって、時々変なこと言いますよね・・・・」
「・・・えっ・・・そう?俺って変なやつ?」
「・・・なんか隠してるっていうか・・・・
人に言えない秘密を持っているように見えるし・・・・」
「・・・・竹ってさ・・・・時々鋭いこと言うよな・・・・」
・・・・びっくりするよ。
「・・・竹、お前にだけは話してやるよ。ただし・・・誰にも言うなよ?」
「・・へっ?」
「・・・聞いたらすぐに忘れて欲しい・・・。いや・・・覚えててもどっちでもいいんだけど・・・・」
「・・なんですかそれ(笑)《忘れろ》だなんて・・・・・」
「・・・実はな・・・竹・・・」
「・・・・?(゚A゚;)(ゴクリ)」
なぜかドキドキして、真剣な眼差しを向けてくる竹・・・
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「・・・えっ?!Σ( ̄□ ̄;)」
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「・・・・えっ・・・・」
「・・・・明日、友達が死ぬんだ。俺はそいつに必ず会いに行かなきゃならないんだ」
「・・・えっ?死ぬって・・・・ちょっと待ってくださいよ・・・。それなら今すぐにでも・・・・」
「・・・そいつと約束したんだ。明日まで会わないって・・・・・」
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だけど、思い付かないんだ。
「・・い、意味がわかりません・・・。その人が明日死ぬって言うのに舞台やっていてもいいんですか?」
「・・・・終わったら会うって、約束なんだよ。終わるまで来るなって言われてるから・・・・・」
「・・・いや、男友達か・・・男か女か知りませんが・・・・今すぐにでも会いたいんだと思います。涼さんを、待っていると思います。明日会いたいだなんて嘘ですよ。」
「・・・・・竹・・・」
竹はまた泣き始めた。
こんなに泣かせてごめん・・・・・。
「・・誰かが死ぬ・・・いえ、自分がもし死ぬんだったら、いま一番会いたい人に会いたいって思いますから!」
そんなの辛すぎます!
「・・・・竹・・・お前は優しいな・・・」
これは、俺の精一杯の嘘なのに・・・・
「・・優しいのは涼さんの方ですよ。死ぬとわかってても一緒にいたいなんてなかなかできないですよ」
「・・ありがとな?竹・・・・」
「・・・いいえ。それじやまあ、顔洗ってきますね・・・泣き顔みんなに見られるの恥ずかしいですから・・・・」
「・・・なぁ?竹・・・・」
「・・・はい?」
「・・・竹は、死ぬなよ?愛しい人や、仲間を遺して・・・先に死ぬなよ?」
「・・・あはは~なにいってるんですかぁ!俺はまだまだ生きますよ~?」
「・・・(笑)」
「・・・人生長ければ、いいこともあるって父さんにも、兄さんにも励ましてもらってきましたから!」
そう言って顔を洗いに行った竹・・・
(竹らしいな・・・・)
「・・・いまの俺があるのは、家族や友人、そして劇団のみんながいるからなんです」
「・・・幸せ者だな、お前は」
「・・・でも、恋だけはまだまだですけどね・・・・」
「・・・それはどうかなぁ~(こいつ気づいてないのかよ)」
「・・・えっ?」
「・・・俺さっき・・・なんか言った気がするけど・・・・」
「・・そう言えば・・・涼さんが倒れる前にサリーちゃんがどうとかって・・・・聞こえたような?」
「・・そうだよ。お前はサリーちゃんと向き合えば想いは伝わる。」
「・・・えー?まさか・・・・」
「・・・でも、これだけは言っておくよ。生きてるうちに、想いは伝えろよ?」
「・・・はい、わかりました。」
そう言って用意をし始めた竹・・・・。
誰もいなくなったところで、俺は今まで耐えてこれたのに、悔しくて涙が出た。
寂しくて・・・・辛くて・・・・・
これからみんなとさよならしなきゃならないと考えたら悔しくて切なくて・・・・俺は、声もたてずに泣いていた・・・・・。
「・・あはは!」
「・・・そしたらさぁ~」
みんなの話し声が聞こえてきた。
「・・・やべっ!みんな来たんだ・・・」
俺は、みんなと顔を合わせづらくなっていた。
このまま逃げ出してしまいたい・・・・
なぜならいまの俺は、何を口走るかわからないから・・・・・
逃げ出したい・・・・
ここから・・・・・
「・・・・みんなぁー」
「・・あー!涼さん」
「・・・秘密の特訓ってなんだろね」
ん?秘密の特訓?なんの話だろ・・・
「・・・涼・・・・」
和也も来ていた。
「・・・和也・・・・」
今さら逃げられない・・・
逃げちゃダメだよな?
「・・・涼、お前さ・・・・」
と、突然顔を近づける和也。
「(えっ😱💥近いんだけど・・・・)」
「・・・お前、本当はさっき倒れたんだって?」
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「・・・ごめん、そうかも。大袈裟に騒がれて中止になんかされたくないし・・・させたくもなかったから・・・・ごめんな、反って心配かけて・・・・」
「・・・・涼・・・」
「・・えっ?」
「・・・辛かったら言えよ?お前はこの劇団の一員だ。約束だ。
隠し事はしないって」
「(ギクリ)・・・か、隠し事なんてないよ」
「・・・そう?」
また、疑いの目を向けられる。
「・・・あ、当たり前だろ?(ビックリした。気付かれたかと思った)」
「・・ならいいけど・・・・」
「・・そんなことよりぃーあれから美奈子さんとは順調なのか?」
「・・・えっ?俺のはなし?
・・ま、まぁな」
「・・・そりゃあ、良かった」
「・・・お、お前こそ?《ヒロコさん》とあれから進展あるのか?
うわごとで《ヒロコー!好きだ!》って言ってたしな」
「・・・なっ!Σ( ̄□ ̄;)(/≧◇≦\)(;>_<;)う、嘘だ!」
「・・・嘘じゃない。・・・その顔だと進展なし・・・か?」
「・・・弘子とは相変わらず会ってないよ・・・・もう、ずっと会えてないし・・・忘れたかもな~・・・・俺のことなんか・・・・(なんせ、10年経ってるし・・・・)」
「・・・なんで会いに行かないんだ。」
ヒロコ「・・・・手紙に書いてあったの。俺のことなんか忘れて幸せになれって・・・・」
なぜか泣いてそういってる姉さんの顔を思い浮かべてしまった。なぜだろう。
「・・・涼・・・」
「・・・もう、会えないんだよ・・・(俺の場合・・・・)」
「・・・Σ(´□`;)ご、ごめん、俺、余計なこと・・・・」
そんなかおするとは思わなかったから・・・・。
「・・・気にするなよ。俺はお前の幸せを願っておくからさ」
「・・・じゃあ、俺も・・・お前の幸せ願っておくよ。
どんなに離れてても、俺たちみんな繋がってるって思っていてほしい。
お前は、俺たちに希望を与えてくれたんだから・・・・」
「・・・和也・・・・・」
「・・・あのときお前は本気で俺を叱ってくれた。」
「・・・そんな簡単に、死んでもいいなんて言うなよ!!」
・・・あぁ、和也がやめると言ったときね・・・
「・・・あのとき和也を、殴ってしまった。ごめん・・・」
「・・いや、違う。あのときの俺はどうかしてた。俺のことを本気で叱ってくれたのはお前が初めてだったから・・・感謝してるんだ」
「・・・和也、俺はそんないい存在じゃないよ。ただの居候みたいなもんだしな」
今も本当は、逃げたくて仕方ないんだから・・・・。
自分の“死”から逃げたくて・・・・
「それでもお前は希望を運んでくれた。少なくとも俺は感謝している。みんなだってそう思っているはずだ」
「・・・・ありがとう、和也」
「・・・えっ?涼?なんでお前がなく・・・」
「・・・ありがとう・・・・」
俺は泣きながら何度もお礼を言った・・・。
生きられてよかった・・・・
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赤髪命
大衆娯楽
少し田舎の土地にある女子校、華水黄杏女学園の1年生のあるクラスの乗ったバスが校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれてしまい、急遽トイレ休憩のために立ち寄った小さな公園のトイレでクラスの女子がトイレを済ませる話です(分かりにくくてすみません。詳しくは本文を読んで下さい)
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