それぞれの空~another story~

藤原葉月

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第16話

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数日後・・・

「おめでとうございます!!」
「おめでとう🎊」

衛さんと、怜香さんの結婚式だ。

「・・・・・・」

一樹さんは、複雑な気持ちでいた。


莉佐の姿を見ながら・・・・

あの写真を撮ったのが莉佐だとわかった。
あいつは、一言もそんなことを言わずにいた。

「その写真の場所は一樹が行ったことあるところだよ?」

そのセリフが繰り返し頭の中を流れる。

なぜ、わからなかったのだろう。


「・・・・・・」
莉佐は、相変わらずあの、悟って人と一緒にいる。


「かーずき」
「( ゚д゚)ハッ!あっ、衛・・・・。お、おめでとう」

ヤバい、結婚式だということ忘れてた。
「なんだよ、改まっちゃってさ」
「いや、なんかちゃんとおめでとう言えてなかったって思って・・・・」
「そっか・・・。ありがとうな」
「それと・・・・ごめん。謝らなきゃいけないことが・・・・」
「えっ?なんで謝るんだよ。何を謝るんだよ(笑)」
「怜香さんに・・・・キス、されたから」
「バーカ、そんなことで怒らねぇよ。知ってたしな
「Σ(゚д゚;)えっ?嘘だろ?」
「そ、れ、よ、り・・・あれからどうなの?あのこと」
肩を組んでくる衛。
「どうって・・・・なにが?誰と?」

「莉佐ちゃんとに決まってるだろ?」
「・・・・あれから会う機会なくて・・・・今日、久しぶりに見たかも」
「えっ?何それ・・・いいのか?悟って人、案外しぶといぜ?」
「・・・・そう、みたいだな・・・」

「そうみたいだなって!なんだよその諦めたような顔は!気持ち伝えない気かよ」

「・・・・・・・」
「今の写真、撮れるようになったのは莉佐ちゃんのおかげなんだろ?」
「・・・・・」

「あとさ、莉佐ちゃんの気持ちにお前はまだ答えてねぇだろ?なぁ?好きなんだろ?ちゃんと伝えろよ!」
「・・・・・」
「お前にだって幸せになる権利はあるんだからさ」
衛は、そう言ってくれた。


「莉佐ちゃん」
「怜香さん。きれいですよ!写真たくさん撮りましたから!期待していてくださいね」
「・・・・莉佐ちゃんにこれ、あげる」
「えっ?ちょっとダメですよ!これは、平等にしなきゃ・・・・」

「会社のみんなの気持ちが一致したのよ。莉佐ちゃんには幸せになって欲しいから」

と、怜香さんは、ブーケを莉佐に渡したみたいだ。
特別扱いはなく、みんなの気持ちだった。


「めぐみちゃん、お疲れ様」

僕はと言うと、裏方にいるめぐみちゃんに挨拶していた。
「お疲れ様ー」
「あれ?めぐみちゃんは二次会行かないの?」
「そういう先輩こそ・・・・行かないんですか?」
「莉佐に会いづらくてさ・・・」
「でも、先輩は気づいたんですよね?莉佐さんのことが好きになってる自分に・・・・」

「・・・・まぁ・・・」
「先輩の気持ちがすごくわかるから
「伝えてもいいかな・・・」

「はい、伝えてください。じゃないと後悔しますよ?」
「えっ?後悔?」

「私も伝えようとは思ってますから・・・・」
彼女の視線の先には・・・・

悟さんがいた。




そして・・・

「・・・・・」
(凛子さんはあの時どっちの彼を見ていたの?)
どうでもいいことなのに・・・なぜか気になる。聞きたいのに聞けない・・・・
なんだかモヤモヤしていた。
(( ゚д゚)ハッ!私ったらなんで・・・)
「暁美さん、メール来てますよ?」
「分かったわ。ありがとう」
だけで、メールの相手は・・・・

「ねぇ?ウルトラマンって誰ですか?」
「えっ?嘘!見たの?」
「知らない人なのに赤くなるなんて変ですよ」

「知らない人か・・・そうよね・・・」
「じゃあ、お疲れ様!」

「(私は、彼のことを許せる日が来るのかしら・・・・)」
なぜかそう思っている暁美さん。
「凛子さん、もう上がっていいわよ?暗くなってきたし・・・・定時で帰らなきゃ」
「あの・・・凛子さんは再婚とかしないんですか?」
「えー?どうしてそんなことを聞くの?まだ、会ったばかりなのに・・・」

「だって、娘さん・・・美月ちゃんを育てるの大変そうだし・・・シングルマザーってうまくいかない人もいるって聞くし・・・」

「最初は考えたわ。でも、わたしには助けてくれる人が沢山いて、とても助かってる。まぁ、甘えちゃってるんだけどね。ねぇ?凛子さんは、言ってたわよね。服を着せたい好きな人?ってどんな人なの?」
「・・・・・優しい人ですよ」
「へぇー・・・」
「でも、どこか寂しそうで・・・・」
「寂しそう?」
「だから、私が包んであげたいんです。いつか包んでその寂しさを無くしてあげたいんです」
「へぇー・・・その人は凛子さんに愛されてるね」

「・・・・・」

何も知らないでいた。

まさか凛子さんの好きな人が、【榊さん】であることを・・・・。


「ねぇ?莉佐どこに行ったか知りませんか?」
僕は、女の子達に聞いた。見た事ある子たちだな・・・・

「あー!あの時の人 ・・・!」
と、声を揃える2人。
似ている・・・

ん?双子・・・?
あっ!
「君たち双子だったんだ。しかもあの時にそう言えば顔合わせましたね・・・(やっと思い出した。具合い悪かったから全然気が付かなかったけど・・・・)」
「莉佐さんなら、そのカーテンの奥にいますよ?」
「あっ!友紀!今行かない方がいいんじゃないの?」
「でもさぁ、大事な用かもしれないし・・・・」

「しー!友菜聞こえる」
と、2人は何やらヒソヒソ。
友紀さんに、友菜さんね。
どっちがどっちかわからないけど・・・・
「あの、忙しいなら後でも・・・・・」

「たぶん、大丈夫だと思います!それじゃあごゆっくり!」
と、双子ならではの声を揃えて返事をされた。
「たぶん・・・・?ごゆっくり?」
そのセリフの意味がよくわからなかったけれど・・・・

シャッ

カーテンを開けて、奥に入った。

すると莉佐が居た。
「莉・・・・」
僕は、彼女に話しかけようとしたが・・・・

「できた?」

一緒にいたのは悟さんで・・・・

「あはは!」
そこには笑っている莉佐が居た。

そこから動けずにいた僕は・・・もう去ろうかとした時に

ガン
なにかにぶつけてしまって・・・

「・・・・・」
2人に気づかれてしまった。
「えーっと、いや・・・・あの・・・」
「どうしたの?一樹・・・もう二次会始まってるわよ?」
「今来たばかりなんだけど、実は迷っちゃって・・・(嘘だけど)」
「そうなんだ・・・」
「俺たち、今罰ゲームやらされてるんです」
「ば、罰ゲーム?(俺たち?)」
「そうなの。ゲームで負けちゃったから1品作れって」
「へぇー・・・・・」
「ねぇ?参加するんでしょう?一緒に来れば?案内するから」
「そうですよ。めぐみも来るし」
なんで、そこでめぐみちゃんの名前が・・・・

「あっ、うん・・・・」
何やってるんだろう・・・
2人が仲良いの見せつけられただけじゃん。



僕は1人、隅っこで飲んでいた。

「一樹先輩大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫。僕はひとりが好きだし?」
と、酔っ払ってるふり。
「先輩、酔ってます?」
「・・・・・悪いかよっ」
「・・・・・」
「・・・一樹?」
その様子を見ていた莉佐。
「俺、帰るわ!じゃあな」
と、フラフラと会場を出た。
これ以上平気ではいられない。
あの二人の仲を見ていなきゃならないから。

莉佐さんは、会場を出ていく一樹さんの後ろ姿を見た。

「ねぇ?莉佐さん、2人きりでどこか行きませんか?」
と、耳打ちされたが・・・

「ごめんね、悟さん。私も帰る」
莉佐さんの視線は一樹さんを捉えたままで・・・・そのまま走り出した。
「莉佐さん!」
と、追いかけようとしたが
「悟!」
「めぐみ・・・止めるなよ・・・俺は・・・」

「いい加減気づきなさいよ」
「無駄だね!彼女は・・・・」

「違うわよ!」

めぐみちゃんは、泣き始めた。悟さんの腕を掴みながら・・・・
「・・・・・・ 」

「あー、カッコ悪っ」
僕は、かべにもたれていた。
「ねぇ?そこの色男
「えっ?Σ(゚д゚;)」
「あっ!振り向いた。ってことは、自分が色男って思ってるんだ」
「えっ?り、莉佐・・・・」
僕を追いかけてきたのか?
そこに居たのは莉佐だった。

「飲みすぎるなんてかっこわるーい」
「いや、飲みすぎてないから!酔っ払ったフリだし?」

「へぇー?」
「・・・・・そりゃあ、いつもよりは飲んだかもだけど・・・・酔い冷めたし・・・・」
「ふぅーん?」
「だいたい、誰のせいだと思ってんだよ」
「えー?なに?まさか私のせいだって言うの?」
「あぁ、そうだよ!お前のせいだよ!」
なぜかいつのまにか叫んでいた。
「何が私のせいだって言うのよ!」

「じゃあ、なんで黙っていたんだよ」
「なに?なんの話し?」
「あの写真撮ったの、なんで莉佐だって教えてくれなかったんだよ!!」
「・・・・・」
気づいたの?
「なんでだよ!」

「だって、一樹は私を見ても直ぐにわからずにいて・・・・でも、わたしはずっと忘れなかったのに・・・・・」

と、泣き始めてしまった。
「違うんだよ。喧嘩したくて来たんじゃないんだよ」
「・・・・えっ?」
「・・・・・莉佐、ごめん。今まで冷たくしてごめん」

僕は莉佐に近づき、抱きしめた。
「莉佐のことをこれからは守れる男になるから!強い男になれるように頑張るから」
「・・・・・・」

そして、その姿を悟さんは黙って見ていた。

僕は、彼女に僕なりの言葉で伝えたんだ。

「一樹、暫く会えないけど・・・・帰ってきたらデートしようね」
「・・・・・うん」
少しだけ素直になれた気がするんだ・・・・・。

そして

「莉佐さんと、遠距離恋愛!」
正也が叫んだので
「シー!正也!声、大きいよ」
《それは、おめでとうございます》
「おめでとう!よかったね」

来ていた榊さんと、東さん、西田さんは静かに喜んでくれた。
「本当に良かったのかな」
「やっぱりな😏😎✨お前はあの子とそうなると思ってた」
「えっ?Σ(゚д゚;)まじで?」
「少なくとも本人以外はみんなね」
「榊さんは?なんか発展は?」
「あっ!そうそう!榊さんに声掛けてきた女の子とはどうなったの?」
《いえ、その子は・・・・》

「・・・・・・」

「ったて言うかさ?、《その子はなんと東さんの同級生なんだってさ》」
「そうなの?」

「・・・・・・・!」
東さんは、なぜかビックリしてる。
「ってことは、妬いていたりするの?」
「な、なんでですか」
と、焦っている東さんが、なぜか可愛く見えた。
「《あの、実は今度会うことになりまして・・・。良かったら一緒に行きませんか?》」
「《いえ、そんなんじゃないんで・・・・》」
《僕一人では彼女の話を聞けないかもしれませんから》
「あっ、そっか《それなら、お供します》」
「正也さんは?彼女と上手くやってる?」
「あぁ、西田さんのおかげだよ。本当にありがとう」
「《あっ、でも・・・榊さんにも感謝してます》」
《えっ?》
「《彼女が倒れた時最初に病院に連れていってくれたから・・・彼女の病気がわかった。だから、早い段階で助けることが出来た》」
「そうだったんだね」

この後榊さんは用事に出かけた。
東さんと共に・・・

「榊さん、僕たちに言えないこと沢山抱えてる気がする」
「・・・あぁ、それは俺も思ってるよ」
「彼にも見つかるといいのにね。ちゃんと心を癒してくれる人」
「見つかるさ、きっと」

もう、近くにいたりして?
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