それぞれの空~another story~

藤原葉月

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第13話

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数日後・・・・
また、すごい雨が降る日だった。

東大地「うわぁーすごい雨・・」 
とある場所で雨宿りをしていたら意外な人に出会った。
《あれ?東さん?》
「《あっ!榊さんだ》」
《奇遇ですね》
「《僕はこの近くのスタジオでダンスレッスンしてるから》」
《そうでしたか。僕はここの3階で教室を開いています》
「《ねぇ?行ってみてもいいかな?時間あるかな?》」
《はい、もちろんです》
《いい部屋ですね!》

《・・・・・・・》
「《ねぇ?榊さんはさ、耳聞こえるようになりたいとか思わないの?聴覚って治りにくいって聞くけど・・・・手術をすればほんの少しだけ話せるようにもなるって・・・・。だって、榊さんは生まれつき聞こえなかったわけではないもん。》」
《ありがとうございます。心配してくれているんですね》
「《僕もね、もう二度と光は戻らないって・・・・東條さんに会うまでは決めつけてしまっていたから・・・》」
《僕は、20年以上このままでいたから今更どうこうとかは考えてません。》

「《そうですか。なんか最近すごく寂しそうだから・・・・》」
《そうですか?》

榊さんは笑っているけど、やっぱり寂しそうな笑顔だ。


ゴロゴロ

ザー
「あれ?雨・・・?ヤバい」
《・・・・・・》
「《雷までなってきたし・・・・》」


ザァーザァー

「(やっぱり俺って雨男なのかなぁー)」

口に出ていたらしい・・・・
それを聞いた誰かが・・・
「かもしれないなぁー」
って呟く・・・・

(えっ?)
「よぉ」
「正也!!今のは・・・・」
「あはは!冗談だよ、冗談」
「・・・・あっ、それよりさ和葉さんの具合いどうなの?」
「話逸らすなよ・・・・。
まぁ、しばらくは安静だ・・・・」
「そっか・・・じゃあ、正也も仕事行けてないの?」
「そうだなぁ・・・。でも、どこでも作詞はできるから・・・・。メモ書きはできるしね。でさー?一樹はもう歌に未練はないの?」

「えっ?・・・・」
そこでそれ聞く?
「俺さぁ、いまでもお前とユニットを組んで歌うの夢なんだけどなぁー」
「あっ!その正也の顔貰った!」
バシャリ
「えっ?Σ(゚д゚;)」
「あはは!成功」
「一樹・・・・」
「歌うことは好きだよ。歌に罪はない。音楽は人と人を結ぶからね。でもさ、やりたいこと見つかったし、みんなが夢に向かって生きてる姿や頑張ってる姿を撮っていきたいんだ!残したいんだよ」
「・・・・・・」
「それが、ぼくのカメラのテーマ」
「へぇー、カメラのテーマね」
「なぁんてね。ちょっと生意気だったかな」
「ぶっ、なんだそれ。全然大丈夫だよ。なんか大人になったな。俺もお前も・・・・」
「・・・・・」
「みんなもさ・・・・」
「えっ?それって褒めてくれてる?」
「一応な」
「一応って・・・なんか微妙」
「俺らはそれぞれの空を見つけたってことだよな?」
「・・・・・あっ・・・・」
「それぞれ、それに向かって歩き出している」
「うん!そうだな!」

それぞれの道へと歩き出している。



数日後・・・・・

《ゴホッゴホッ》
調子が悪そうなのは榊さん。

「《榊さん、大丈夫?》」
《ありがとうございます》

《今日は、すみませんでした・・・・・》
「《具合悪いの気づかなくてごめんなさいね・・・。大丈夫ですか?》」
教室にいる時から調子が悪そうだったから、優子さんに部屋まで送ってもらったのだ。

《はい・・・ほら、優子さん・・・約束の時間ですよ・・・・ゴホッゴホッ・・・うつるのでもう帰ってください・・・・》
「《でも、なんか心配。1人だから・・・。やっぱり別の日に・・・・》」
「《僕のことはもう心配しなくてもいいですよ・・・・。》」
「《じゃあ、無理しないでね?》」
《ゴホッゴホッ・・・・はい・・・・・》


そして、なんとか優子さんを送り届けた榊さん。
入れ替わりに・・・・
ピンポーン

誰かが尋ねてきた。

《・・・・・?東さん・・・・》
「《ねぇねぇ?今のが榊さんの好きな人なの?》」
《えっ?いいえ・・・・彼女は今から幸せを取り戻す人・・・・ですよ・・・・》
笑顔の榊さんだけど、どこか様子が変だ。
「《榊さん?ほら、好きな人いるって言ってたから・・・・。あっでも・・・・帰ってしまうなら違うよね・・・・》」
《・・・・・・・・》
黙ってしまった榊さん。




「《榊さん、大丈夫?なんか顔色悪いよ?》」

「《・・・・・もう、疲れました》」
そう言って榊さんはもたれかかってきた。
「《えっ?Σ(゚д゚;)榊さん?大丈夫ですか?》」

《耳・・・聞こえないでいるの・・・・・》
と、手話をしている彼が苦しそうだ。
僕は、榊さんの額に手を当てた。
熱い・・・・

《・・・・・・・・》
「《榊さん!しっかりして!!》」

僕は彼をベットまで運んだ。
家に訪ねてきてよかった。


ピロン


「メール?」
【ウルトラマン様】
【最近、返信なくて寂しいです】

「例の好きな人・・・・・?」
【あなたと会ってみたいです】
「・・・・・・」

そして、榊さんの看病を終えると・・・・眠る榊さんをみた
《・・・・・・》
熱が少し高い。
一体いつから?


(きっと糸がきれてしまったんだ・・・・。
ウルトラマンか・・・・榊さんらしいネームだね・・・・。)

伝わらない思いにずっと耐えていたんだね。


《・・・・・・・?》

「《榊さん、気がついた?大丈夫?》」
《・・・・?東さん?》
「《水飲む?すいません、勝手に上がってしまって・・・・榊さん倒れたから・・・・》」

《あの?僕は・・・東さんにご迷惑を・・・・》

「《なに?迷惑って・・・。仲間が倒れたんだから看病は当たり前でしょう?》」
「《す、すいません・・・》」
「《謝らなくていいよ。って言うか、家に来てよかった・・・》」
《・・・・・》

「《【ウルトラマン】ってさ、3分しか闘えないんですよ?》」
《・・・・・えっ?》
「《何があったかは後でゆーっくり聞かせてもらいます。だから今はゆっくり休んでいてください》」

と、彼に布団を被せた。
するとかれは、薬が効いてきたのか、そのあと眠りについたのだった。


その頃優子さんは
「本当に来るのかしら・・・・」

と、少し不安げ。

「ここ、いいですか?」
そう言われたが
「ごめんなさい、わたし・・・約束してる人がいて・・・・・」
と、顔を上げた。

「久しぶり・・・・優子・・・・」

そこに居たのは南だった。

(・・・・・😭)
「えっ?ちょっと!なんで泣くんだよ・・・💦」
「・・・・だって、あなたと初めてあったのはこの店のこの席で・・・・・」
あの時と同じだ・・・・


「ごめんなさい、遅れてしまって」
「えっ?」
「南 武人って言います。やぁ、酷い雨でしたねー」
「あの?」
「それでー」

「あなたは、私を取材する人だと思って話し始めちゃって。私が断る隙も与えず・・・・1時間も」
「あはは!そうだっな。あの日もこんな大雨だったなぁー」
窓の外を見ながら・・・・

「あれ?違うの?嘘だろ?」
「・・・・みたいですね・・・やっと気づいてくれましたね・・・・おかげで帰れなくなりましたけど・・・」
「どうしよう」
武人はそう言ったあと・・・・

グゥ~
お腹を鳴らした
「えっ?なに?お腹すいているんですか?(笑)」
「はい、実は何も食べてなくて・・・💦お恥ずかしながら・・・・」

「普通そこは今のは俺じゃないとか言うんじゃないんですか?」
「そうなんですか?」
「ふふっ(笑)お店混んできちゃいましたね。食べてもいいですよ。わたし、もう仕事終わってるので」

夜勤明けだったわたしはそこで、朝食を食べている所だった。
彼が食べ終わるのを待っていたりして・・・・
「あの、ごめんなさい。なんか付き合わせてしまって」
「ホントだよ。今日会う予定だった人はもっと綺麗な人だったかもねー」
「しかも、取材日間違えるなんて・・・どうかしてます。あと、奢ってもらってごめんなさい!今度会った時に返しますから。」
「くすくす。いいですよー、返さなくても・・・・えっ?今度?」

「あなただけだから、ちゃんと僕の話を最後まで聞いてくれたの・・・・」


それから私たちは会うようになって・・・・

「・・・・・・」
2人は振り返っていた。今までの事を・・・・

「優子、やり直さないか?この場所からもう一度・・・・優子とやり直したい。これが、本音だ」
「・・・・あなたは付き合う時も、プロポーズしてくれたのも、この店とこの場所で言ってくれた」

「優子、俺と付き合ってくれ!」
「俺と、結婚しよう」

「・・・・・・」
「すべてはこの場所にいたから・・・・」
「・・・・ダメかな・・・・」
「ダメじゃないよ!ダメじゃないに決まって
るじゃない・・・・。私にはあなたしかいない・・・・。こんな私だけど・・・・よろしくお願いします」

優子さんは、涙を流した。
「やったぁ。こちらこそ、よろしくお願いします」
武人さんは、優子さんの手に自分の手を重ねた。
良かったね!
おめでとうございます!
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