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第4話
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暁美「優子」
優子さんは、暁美さんの事務所を尋ねていた。
優子「暁美・・・」
暁美「もうすぐ完成するの。それより用ってなんなの?手短にお願いね」
優子「美月ちゃんが、バイオリン習いたいって言ってたんだよね?」
「うーん・・・そうさせたいけどまた優子に無理言っちゃうし・・・」
「それでね、私の知り合いがやってる教室があるの」
その教室は・・・・この前榊さんが
「《よかったら、美月ちゃんを、僕の教室で習わせてみては?優子さんも、暁美さんも仕事遅くまで掛かっても僕が面倒を見るので構いません》」
と言ってくれたのだ。
.「でも、そんなことしたら暁美が怪しがるのでは?」
《名前伏せておいてください》
「・・・・・」
そう言われたから、榊さんの名前は出せなかった。
とそんなやり取りがあった。
「優子にそんな知り合いいたっけ?」
「耳の不自由な子供たちを集めてバイオリンを教えてくれてる先生で・・・。知り合いの紹介の人なんだけど・・・」
「そうなんだ。それなら、優子に任せるわ」
「えっ?私が決めてもいいの?だって、美月ちゃんの事だよ?」
「いいわよ。優子とケンカはしたくない。それに、優子のことは、信頼してるから・・・・」
と、肩に手をおき・・・
「ごめんね、今から打ち合わせだから・・・。」
と、行ってしまった。
「ママ?」
眠っていた美月ちゃんが起きてきたみたいだ。
「美月ちゃん・・」
「今、ママがいたの?」
「美月ちゃん・・・・」
美月ちゃんのことを、忘れていたの?
「最近、ママに会えなくて寂しいなー」
と、呟いた。
「ねぇ?美月ちゃん、いいものあげるよ」
「いいもの?」
「うん、美月ちゃんにぜひ使って欲しいの」
「わたしに?」
優子さんは、美月ちゃんに笑いながら話していた。
そして、榊さんはバイオリンを弾いていた。
すると、
《ブーブー》
携帯がブルった。
《東さん?》
そして
【榊さん、明後日僕は帰国します】
「《それは、楽しみです》」
と、返信をした。
【 僕ね、みんながどんな人を思っているのか・・・この目で確かめるのが楽しみです】
そう、彼らはまだ目が見えるようになってから会っていないのだ。
【東さん、言葉はなくても気持ちを伝える方法ないですか?】
【えっ?】
東さんは、榊さんからそんな答えが来るとは思わなかった。
【どんなに思っても届かない気持ちを伝える方法・・・】
【・・・・・】
「あるよ、榊さん・・・」
東さんは、呟いた。
【帰国した時に伝えるね。待ってて】
そう返事が来た。
《僕は何をしているんだ》
携帯を見ながら、榊さんも心で呟いていた。
そして・・・・なぜか満足そうに仕事をする斎藤さんを見つめるのは・・・・
「気楽でいいよなぁー、一樹のやつ」
同期の衛と・・・・
「・・・・・・」
黙って見つめる莉佐さん。
「ねぇ?莉佐ちゃん」
「えっ?」
「あいつさ、わかりやすいな。俺と怜香さんが結婚するって聞いたらさどんな顔するんだろうな」
斎藤さんが、片思いをしている?怜香さんは、すでに衛さんと結婚が決まっているみたいで?
「ふふっ。きっとびっくりして放心状態にでもなるんじゃないですか?」
「そりゃあそうだよなぁー(笑)知らないのあいつだけだし。莉佐ちゃん、話しちゃってもいいんだぜ?」
「でも、もしも本気だったら・・・しばらく立ち直れないだろうし・・・。私からは言えないよ」
と、切なそうな顔をする莉佐さんに
「・・・・・・」
何も言えないでいる衛さんだった。
「あの・・・・」
斎藤さんはと言うと、怜香さんに近づき・・・
「ねぇ?莉佐ちゃんとのデートどうだったの?」
と、聞かれ・・・・
「いえ、あいつとはすぐ喧嘩になっちゃって・・・・」
帰り際喧嘩してしまい、まだ仲直りも出来ていない。
「莉佐ちゃんのことなんとも思ってないの?」
「いや、あの・・・・。カメラのアドバイスをくれた。それだけです。久しぶりにあってもわからなかったし・・・・」
だって、僕は・・・・・
「女の子として見てないの?」
「僕は、ただの幼なじみにしか見てませんから」
「そう。ならまだまだかもしれないわね」
「えっ?」
な、なんでそんなこと・・・・
「そうだ、斎藤くんに1つ報告があって・・・・」
と、怜香さんが何かを言おうとして・・・
「あの!怜香さん!!」
と、怜香さんの言葉を遮り、さらに写真集を見せて、
「この写真を撮ったのはあなたなんですよね?」
「あっ」
莉佐も衛も驚いている。
「・・・・・確かに、その写真集を出したのは私だけど・・・・」
「この写真・・・。この写真を見ると懐かしくなるんです。嫌なことを思い出すこともあるけど・・・・」
「そうなの?」
「僕はあなたに会うためにここに来ました」
そう言い切った斎藤さん。
それを聞いた途端莉佐さんはいなくなってしまった。
「あっ!莉佐ちゃん!」
それを追いかける衛さん。
「僕はあなたのことが・・・・」
その先のセリフを聞きたくはなかったから・・・・
「ごめん、斎藤くん」
そのセリフを言う前に今度は怜香さんが彼の言葉を遮る。
「じつはね、この写真だけ私のじゃないのよ 」
「えっ?」
衝撃な事実を聞いてしまった。
「ど、どういうことですか?」
「なんでかしらね。私の写真集に1枚だけ紛れ込んでしまって・・・印刷してから気づいて・・・もう直せなくて・・・」
「そ、そんなことって・・・」
「どこにしまったかな・・・」
と探し始め・・・
「そうそう、これかな・・・・。イニシャルが同じ《R》だから、紛れたのかしらね」
「・・・・・」
「もう訂正が聞かなくて、彼女には悪いことしちゃった」
「えっ?その人は知ってるんですか?」
「ええ。了承してる・・・。この写真に写っている場所は彼女にとっても思い入れのある場所みたいよ。あなたと同じね」
「・・・・・・・」
「ねぇ?よかったら改めて探してみたら?《R》の人」
「探すって・・・」
「きっと答えは見えてくる。ううん、すぐ近くで見つかるはずだから」
と、言われ・・・・
自分の席に戻りずっと考えていた。
「残念だったわね。怜香さんじゃなくて」
と、莉佐が言ってきたので
「別に?」
「あんたって、バカだよね」
「な、なんだと?」
「中途半端な気持ちで写真撮ってもダメだって衛くんも言ってたでしょう?」
「そういうお前は衛とどうなんだよ」
.「な、何それ・・・」
「さっき2人でいなくなったくせに」
.「そ、それは・・・・」
な、なんで知ってるのよ。
「見せつけてるの?」
「そ、そんなんじゃないわよ」
そう言って行こうとして・・・
「そんなんじゃなきゃ何なんだよ!」
と、なぜか追いかけてきた。
「おい、莉佐!黙ってないで何とか言えよ!」
「あの写真・・・」
「えっ?なに?聞こえない・・・」
「・・・・・・」
「なんだよ。僕は、忙しいんだけど?」
と言い、彼は戻ろうとしたが
「・・・・きなの・・・・」
「えっ?」
何か言われ振り向くと・・・・・
「・・・・・・!」
いつのまにか傍には莉佐がいて、キスをされていた。
「・・・・・・・」
何も言えずに固まっていると・・・・
「私が好きなのは一樹なの」
とだけ言った。
そして、
「おやすみ!」
そう言って行ってしまった莉佐・・・.。
「えっ?いま、あいつ何した?」
一瞬時間が止まってしまい、なにも言えないでいる。
「き、キスした?」
僕は頭が混乱していた。
「も、戻らなきゃ・・・・」
そして、黙々と仕事を続けるがなぜか集中出来ずにいて・・・・
「斎藤くん?」
怜香さんが話しかけても、なぜか聞こえていなくて・・・・
「・・・・・・・」
「ねぇ?斎藤くん」
「( ゚д゚)ハッ!あっ、怜香さん・・・・お、お疲れ様です」
「お疲れ様。残業もいいけど・・・・それ、ブレてるわよ?」
「あっ・・・・・」
パソコンでなおしているつもりがなぜかブレブレだ。
「あっ、いやー・・その」
思ったよりも顔を近づけられたのもありしどろもどろになり・・・そしてさっきのことを思い出したりして・・・・
「キスされるかと思った?」
「《ギクリ》い、いえ別にそんなことは・・・」
「してみる?キス・・・」
「えっ?Σ(゚д゚;)」
「そんなに驚かなくても。さっきの発言からして、私の事好きってことよね?」
「・・・・!」
言わなくてもバレてしまったらしい。
「は、はい、もちろんです。」
「じゃあ・・・」
と、チュッと軽くキスされた。
「えっ?Σ(゚д゚;)」
「ねぇ?私にされる前からあなた動揺していたわね」
「えっ?いや、あの・・・・」
今のキスでも驚いたけど・・・・
「誰かにされたのね」
「いや、あの!あれは違いますから!(まさか見られてた?)」
「なに暴露してるの?もしかして本当にされたの?」
「!」
まさか嵌められた?
「あなたは、私自身が好きなんじゃないわ。」
「えっ?」
「あの写真を撮った誰かが好きなのよ。勘違いしてただけよ」
「そ、そんな・・・」
そうだとしても・・・・
「まぁ、頑張って!じゃあ、お疲れ様!」
「えっ?怜香さんもう上がるんですか?珍しいですね」
「デートなのよ。彼と久しぶりに」
「えっ?彼氏いたんですか?」
「いるわよ。私にだって・・・じゃあね」
「【ガーン(._."Ⅱ)】彼氏いたなんて・・・」
と、脱力していた。
そして・・・
「・・・ー・・」
差し入れを持ってきたと思われる莉佐さん。は、斎藤さんが必死で自分の課題をやってる姿を静かに見守っていた。
「あっ?いた!」
「えっ?」
そしてそんな莉佐さんに近づいて来た男性がいて・・・
「あっ」
「やっと会えた。いや、同じ会社にいるのに探し出すね大変でしたよ」
「・・・・。ほんとだね(笑)」
と、笑いかけていた。
そして、なぜか仲良く帰っていく2人。
「あれ?莉佐?」
その姿をたまたま見かけた斎藤さんだが・・・
「あれは、莉佐?」
と、呟いたが・・・かえっているとおもっているので、
「そんなわけないか・・・・。
やっと終わって送信できたー」
と、帰る準備をしていた。
「私が好きなのは一樹だよ」
さっきから、このセリフが頭から離れてくれなくて・・・・
「よぉーし!とりあえず飲むぞー!!」
数年前までは、彼から聞いたことがない言葉だった。
そして・・・・
「・・・・・」
「どうしたんだ?あいつ」
その、飲みの席に呼ばれたのが・・・
正也さんと、
「めっちゃテンション高いですね。そして、酔いつぶれてるし・・・・。」
一応付き合うことにした西田さんと
「・・・・・・」
黙って見ている榊さんだった。
「そう言えばさ、東さん帰国するんだって?」
「そうなんだよ。でもなんか・・・様子おかしくて・・・・」
「えっ?なんで?」
「・・・・・」
「電話越しで泣いていたんだ。榊さんは、なんか聞いてる?」
「《あの、もしかしたら・・・・》」
「えっ?まさか・・・・」
西田さんも知っているみたいだ。
「彼女が、東さんが助けたかった人ってこと?」
「・・・・・・」
西田さんも事情を知っているから黙って頷いた。
「よし、彼が帰ってきても何も聞かずに知らないフリしよう。それがいい。それが多分、東さんに俺たちがしてあげられることだからさ」
「・・・・うーん」
ちょっと酔いつぶれて寝ていた斎藤さんが起きた。
「で?一樹は、なんでそんなテンション高いんだよ。早々に酔いつぶれちまって」
「ははっ。なんか正也さん変わりましたよね」
「えっ?そうか?」
「斎藤さんを名前で呼ぶところとか?」
「《それは、斎藤さんもですね。》」
「なんか心の進展とかあったの?恋してるとか?」
「いや・・・・わ、悪いかよ」
「別に悪くはないよ」
「あっ、お前酔っ払ったふりか?」
「あはは!みんな、恋してるんだね」
あの頃にはなかった会話だ。
「これで宏人に報告できるよな?みんないい恋してるよって。」
「いや、僕はそうでも無いから」
「・・・・・・」
「・・・・・」
「キスなんかするから・・・・」
と、呟く斎藤さん。まだ、酔ってる?
「えっ?キス?」
「な、なに?リアル・・・」
「一体どういうつもりで・・・・」
と、みんながいることを忘れているのか?
「・・・・・・?」
「あんなの、ナシだよ・・・・・むにゃむにゃ( ¯꒳¯ )ᐝ」
「えっ?一樹?」
「⊂⌒っ*-ω-)っZzz...」
「こ、こいつ寝た?えっ?今の寝言?」
「ってか、正気になったかと思ったのに(笑)」
《で?榊さんは?》
と、西田さんは、榊さんに聞いた。
《えっ?僕ですか?》
「《ほら、あの時助けたのは、榊さんの知り合いでしょう?》」
《まぁ、そうなんですが・・・・》
「《あっ、それともこの間一緒にいた人とか?》」
《はい、じつは2人は親友同士でして・・・・。たまたま、暁美さんの娘さんの面倒を一緒に見ることになりまして・・・・・》
「《えっ?付き合ってないの?》」
《言ったでしょ?僕は彼女に嫌われているんんです。この思いはきっと届かないんです
》
「じゃあ、その親友って人とは?」
《彼女には、別居中の夫がいるらしくて・・・。あっ、でも安心してください。相談にっているだけなので》
「《なんであなたはそんな優しいんですか。》」
正也さんは、そういった。
「・・・・・」
「《命懸けで彼女を守ったのに》」
「《彼女が生きていて幸せならそれでいいんです》」
「・・・・・・」
彼がそう言ったことに、何も言えずにいるみんなだった。
優子さんは、暁美さんの事務所を尋ねていた。
優子「暁美・・・」
暁美「もうすぐ完成するの。それより用ってなんなの?手短にお願いね」
優子「美月ちゃんが、バイオリン習いたいって言ってたんだよね?」
「うーん・・・そうさせたいけどまた優子に無理言っちゃうし・・・」
「それでね、私の知り合いがやってる教室があるの」
その教室は・・・・この前榊さんが
「《よかったら、美月ちゃんを、僕の教室で習わせてみては?優子さんも、暁美さんも仕事遅くまで掛かっても僕が面倒を見るので構いません》」
と言ってくれたのだ。
.「でも、そんなことしたら暁美が怪しがるのでは?」
《名前伏せておいてください》
「・・・・・」
そう言われたから、榊さんの名前は出せなかった。
とそんなやり取りがあった。
「優子にそんな知り合いいたっけ?」
「耳の不自由な子供たちを集めてバイオリンを教えてくれてる先生で・・・。知り合いの紹介の人なんだけど・・・」
「そうなんだ。それなら、優子に任せるわ」
「えっ?私が決めてもいいの?だって、美月ちゃんの事だよ?」
「いいわよ。優子とケンカはしたくない。それに、優子のことは、信頼してるから・・・・」
と、肩に手をおき・・・
「ごめんね、今から打ち合わせだから・・・。」
と、行ってしまった。
「ママ?」
眠っていた美月ちゃんが起きてきたみたいだ。
「美月ちゃん・・」
「今、ママがいたの?」
「美月ちゃん・・・・」
美月ちゃんのことを、忘れていたの?
「最近、ママに会えなくて寂しいなー」
と、呟いた。
「ねぇ?美月ちゃん、いいものあげるよ」
「いいもの?」
「うん、美月ちゃんにぜひ使って欲しいの」
「わたしに?」
優子さんは、美月ちゃんに笑いながら話していた。
そして、榊さんはバイオリンを弾いていた。
すると、
《ブーブー》
携帯がブルった。
《東さん?》
そして
【榊さん、明後日僕は帰国します】
「《それは、楽しみです》」
と、返信をした。
【 僕ね、みんながどんな人を思っているのか・・・この目で確かめるのが楽しみです】
そう、彼らはまだ目が見えるようになってから会っていないのだ。
【東さん、言葉はなくても気持ちを伝える方法ないですか?】
【えっ?】
東さんは、榊さんからそんな答えが来るとは思わなかった。
【どんなに思っても届かない気持ちを伝える方法・・・】
【・・・・・】
「あるよ、榊さん・・・」
東さんは、呟いた。
【帰国した時に伝えるね。待ってて】
そう返事が来た。
《僕は何をしているんだ》
携帯を見ながら、榊さんも心で呟いていた。
そして・・・・なぜか満足そうに仕事をする斎藤さんを見つめるのは・・・・
「気楽でいいよなぁー、一樹のやつ」
同期の衛と・・・・
「・・・・・・」
黙って見つめる莉佐さん。
「ねぇ?莉佐ちゃん」
「えっ?」
「あいつさ、わかりやすいな。俺と怜香さんが結婚するって聞いたらさどんな顔するんだろうな」
斎藤さんが、片思いをしている?怜香さんは、すでに衛さんと結婚が決まっているみたいで?
「ふふっ。きっとびっくりして放心状態にでもなるんじゃないですか?」
「そりゃあそうだよなぁー(笑)知らないのあいつだけだし。莉佐ちゃん、話しちゃってもいいんだぜ?」
「でも、もしも本気だったら・・・しばらく立ち直れないだろうし・・・。私からは言えないよ」
と、切なそうな顔をする莉佐さんに
「・・・・・・」
何も言えないでいる衛さんだった。
「あの・・・・」
斎藤さんはと言うと、怜香さんに近づき・・・
「ねぇ?莉佐ちゃんとのデートどうだったの?」
と、聞かれ・・・・
「いえ、あいつとはすぐ喧嘩になっちゃって・・・・」
帰り際喧嘩してしまい、まだ仲直りも出来ていない。
「莉佐ちゃんのことなんとも思ってないの?」
「いや、あの・・・・。カメラのアドバイスをくれた。それだけです。久しぶりにあってもわからなかったし・・・・」
だって、僕は・・・・・
「女の子として見てないの?」
「僕は、ただの幼なじみにしか見てませんから」
「そう。ならまだまだかもしれないわね」
「えっ?」
な、なんでそんなこと・・・・
「そうだ、斎藤くんに1つ報告があって・・・・」
と、怜香さんが何かを言おうとして・・・
「あの!怜香さん!!」
と、怜香さんの言葉を遮り、さらに写真集を見せて、
「この写真を撮ったのはあなたなんですよね?」
「あっ」
莉佐も衛も驚いている。
「・・・・・確かに、その写真集を出したのは私だけど・・・・」
「この写真・・・。この写真を見ると懐かしくなるんです。嫌なことを思い出すこともあるけど・・・・」
「そうなの?」
「僕はあなたに会うためにここに来ました」
そう言い切った斎藤さん。
それを聞いた途端莉佐さんはいなくなってしまった。
「あっ!莉佐ちゃん!」
それを追いかける衛さん。
「僕はあなたのことが・・・・」
その先のセリフを聞きたくはなかったから・・・・
「ごめん、斎藤くん」
そのセリフを言う前に今度は怜香さんが彼の言葉を遮る。
「じつはね、この写真だけ私のじゃないのよ 」
「えっ?」
衝撃な事実を聞いてしまった。
「ど、どういうことですか?」
「なんでかしらね。私の写真集に1枚だけ紛れ込んでしまって・・・印刷してから気づいて・・・もう直せなくて・・・」
「そ、そんなことって・・・」
「どこにしまったかな・・・」
と探し始め・・・
「そうそう、これかな・・・・。イニシャルが同じ《R》だから、紛れたのかしらね」
「・・・・・」
「もう訂正が聞かなくて、彼女には悪いことしちゃった」
「えっ?その人は知ってるんですか?」
「ええ。了承してる・・・。この写真に写っている場所は彼女にとっても思い入れのある場所みたいよ。あなたと同じね」
「・・・・・・・」
「ねぇ?よかったら改めて探してみたら?《R》の人」
「探すって・・・」
「きっと答えは見えてくる。ううん、すぐ近くで見つかるはずだから」
と、言われ・・・・
自分の席に戻りずっと考えていた。
「残念だったわね。怜香さんじゃなくて」
と、莉佐が言ってきたので
「別に?」
「あんたって、バカだよね」
「な、なんだと?」
「中途半端な気持ちで写真撮ってもダメだって衛くんも言ってたでしょう?」
「そういうお前は衛とどうなんだよ」
.「な、何それ・・・」
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.「そ、それは・・・・」
な、なんで知ってるのよ。
「見せつけてるの?」
「そ、そんなんじゃないわよ」
そう言って行こうとして・・・
「そんなんじゃなきゃ何なんだよ!」
と、なぜか追いかけてきた。
「おい、莉佐!黙ってないで何とか言えよ!」
「あの写真・・・」
「えっ?なに?聞こえない・・・」
「・・・・・・」
「なんだよ。僕は、忙しいんだけど?」
と言い、彼は戻ろうとしたが
「・・・・きなの・・・・」
「えっ?」
何か言われ振り向くと・・・・・
「・・・・・・!」
いつのまにか傍には莉佐がいて、キスをされていた。
「・・・・・・・」
何も言えずに固まっていると・・・・
「私が好きなのは一樹なの」
とだけ言った。
そして、
「おやすみ!」
そう言って行ってしまった莉佐・・・.。
「えっ?いま、あいつ何した?」
一瞬時間が止まってしまい、なにも言えないでいる。
「き、キスした?」
僕は頭が混乱していた。
「も、戻らなきゃ・・・・」
そして、黙々と仕事を続けるがなぜか集中出来ずにいて・・・・
「斎藤くん?」
怜香さんが話しかけても、なぜか聞こえていなくて・・・・
「・・・・・・・」
「ねぇ?斎藤くん」
「( ゚д゚)ハッ!あっ、怜香さん・・・・お、お疲れ様です」
「お疲れ様。残業もいいけど・・・・それ、ブレてるわよ?」
「あっ・・・・・」
パソコンでなおしているつもりがなぜかブレブレだ。
「あっ、いやー・・その」
思ったよりも顔を近づけられたのもありしどろもどろになり・・・そしてさっきのことを思い出したりして・・・・
「キスされるかと思った?」
「《ギクリ》い、いえ別にそんなことは・・・」
「してみる?キス・・・」
「えっ?Σ(゚д゚;)」
「そんなに驚かなくても。さっきの発言からして、私の事好きってことよね?」
「・・・・!」
言わなくてもバレてしまったらしい。
「は、はい、もちろんです。」
「じゃあ・・・」
と、チュッと軽くキスされた。
「えっ?Σ(゚д゚;)」
「ねぇ?私にされる前からあなた動揺していたわね」
「えっ?いや、あの・・・・」
今のキスでも驚いたけど・・・・
「誰かにされたのね」
「いや、あの!あれは違いますから!(まさか見られてた?)」
「なに暴露してるの?もしかして本当にされたの?」
「!」
まさか嵌められた?
「あなたは、私自身が好きなんじゃないわ。」
「えっ?」
「あの写真を撮った誰かが好きなのよ。勘違いしてただけよ」
「そ、そんな・・・」
そうだとしても・・・・
「まぁ、頑張って!じゃあ、お疲れ様!」
「えっ?怜香さんもう上がるんですか?珍しいですね」
「デートなのよ。彼と久しぶりに」
「えっ?彼氏いたんですか?」
「いるわよ。私にだって・・・じゃあね」
「【ガーン(._."Ⅱ)】彼氏いたなんて・・・」
と、脱力していた。
そして・・・
「・・・ー・・」
差し入れを持ってきたと思われる莉佐さん。は、斎藤さんが必死で自分の課題をやってる姿を静かに見守っていた。
「あっ?いた!」
「えっ?」
そしてそんな莉佐さんに近づいて来た男性がいて・・・
「あっ」
「やっと会えた。いや、同じ会社にいるのに探し出すね大変でしたよ」
「・・・・。ほんとだね(笑)」
と、笑いかけていた。
そして、なぜか仲良く帰っていく2人。
「あれ?莉佐?」
その姿をたまたま見かけた斎藤さんだが・・・
「あれは、莉佐?」
と、呟いたが・・・かえっているとおもっているので、
「そんなわけないか・・・・。
やっと終わって送信できたー」
と、帰る準備をしていた。
「私が好きなのは一樹だよ」
さっきから、このセリフが頭から離れてくれなくて・・・・
「よぉーし!とりあえず飲むぞー!!」
数年前までは、彼から聞いたことがない言葉だった。
そして・・・・
「・・・・・」
「どうしたんだ?あいつ」
その、飲みの席に呼ばれたのが・・・
正也さんと、
「めっちゃテンション高いですね。そして、酔いつぶれてるし・・・・。」
一応付き合うことにした西田さんと
「・・・・・・」
黙って見ている榊さんだった。
「そう言えばさ、東さん帰国するんだって?」
「そうなんだよ。でもなんか・・・様子おかしくて・・・・」
「えっ?なんで?」
「・・・・・」
「電話越しで泣いていたんだ。榊さんは、なんか聞いてる?」
「《あの、もしかしたら・・・・》」
「えっ?まさか・・・・」
西田さんも知っているみたいだ。
「彼女が、東さんが助けたかった人ってこと?」
「・・・・・・」
西田さんも事情を知っているから黙って頷いた。
「よし、彼が帰ってきても何も聞かずに知らないフリしよう。それがいい。それが多分、東さんに俺たちがしてあげられることだからさ」
「・・・・うーん」
ちょっと酔いつぶれて寝ていた斎藤さんが起きた。
「で?一樹は、なんでそんなテンション高いんだよ。早々に酔いつぶれちまって」
「ははっ。なんか正也さん変わりましたよね」
「えっ?そうか?」
「斎藤さんを名前で呼ぶところとか?」
「《それは、斎藤さんもですね。》」
「なんか心の進展とかあったの?恋してるとか?」
「いや・・・・わ、悪いかよ」
「別に悪くはないよ」
「あっ、お前酔っ払ったふりか?」
「あはは!みんな、恋してるんだね」
あの頃にはなかった会話だ。
「これで宏人に報告できるよな?みんないい恋してるよって。」
「いや、僕はそうでも無いから」
「・・・・・・」
「・・・・・」
「キスなんかするから・・・・」
と、呟く斎藤さん。まだ、酔ってる?
「えっ?キス?」
「な、なに?リアル・・・」
「一体どういうつもりで・・・・」
と、みんながいることを忘れているのか?
「・・・・・・?」
「あんなの、ナシだよ・・・・・むにゃむにゃ( ¯꒳¯ )ᐝ」
「えっ?一樹?」
「⊂⌒っ*-ω-)っZzz...」
「こ、こいつ寝た?えっ?今の寝言?」
「ってか、正気になったかと思ったのに(笑)」
《で?榊さんは?》
と、西田さんは、榊さんに聞いた。
《えっ?僕ですか?》
「《ほら、あの時助けたのは、榊さんの知り合いでしょう?》」
《まぁ、そうなんですが・・・・》
「《あっ、それともこの間一緒にいた人とか?》」
《はい、じつは2人は親友同士でして・・・・。たまたま、暁美さんの娘さんの面倒を一緒に見ることになりまして・・・・・》
「《えっ?付き合ってないの?》」
《言ったでしょ?僕は彼女に嫌われているんんです。この思いはきっと届かないんです
》
「じゃあ、その親友って人とは?」
《彼女には、別居中の夫がいるらしくて・・・。あっ、でも安心してください。相談にっているだけなので》
「《なんであなたはそんな優しいんですか。》」
正也さんは、そういった。
「・・・・・」
「《命懸けで彼女を守ったのに》」
「《彼女が生きていて幸せならそれでいいんです》」
「・・・・・・」
彼がそう言ったことに、何も言えずにいるみんなだった。
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