それぞれの空~another story~

藤原葉月

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プロローグ5~榊さんの恋~

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僕は、周りの音が聞こえない。
聞こえなくなって、もう何年も経つからこの生活に慣れてしまった。

僕にも聞こえていた時期はある。
そう、初めてのバイオリンの発表の日・・・。
両親に聞かせるために張り切っていたあの頃までは聞こえていた。

だけど、そのあと両親が事故で亡くなったと聞いた僕は寝込んでしまい・・・・
そのまま耳が聞こえなくなってしまった。

そして、その前に僕は初恋の彼女とある約束をしていた。
「きっとまたであうよね?」
「うん、きっと会える」

そんな約束をしてから、数年後僕は彼女と再会。
だけど僕が耳が不自由になってしまったことを知らない彼女。

そしてその時のすれ違いで彼女は僕のことをすごく怒っているみたいだ。
なぜ、そうなったか・・・
僕はついさっき話した彼女を助けたんだ。

「あの、大丈夫ですか?」
《僕より、彼女を・・・・》
咄嗟に手話を使ったが・・・看護師は迷わず手話で返してくれた。
「明美なら大丈夫。あなたが助けなかったらきっと大怪我をしていたわ。
私は、優子。彼女は私の親友なの。助けてくれてありがとう」
《い、いえ》

そして、彼女には・・・・
《お兄ちゃん・・・。ママを助けてくれたの?》
《・・・手話・・しかも、ママ?》
「そう、美月ちゃんっていうの」
《・・・そうでしたか。美月ちゃん、ママ大丈夫だって・・・》
《榊さん、でしたか?あなたも怪我してる》
優子さんは迷わず僕の手当もしてくれた。

《ありがとうございます》

これは、僕と暁美さんと、優子さんの物語・・・・。
これからどうなっていくのだろう・・・・
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