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友達をつくります
貴族の女子会
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人が集まってきて、和やかな空気が広がる。社交界とは違う女子会のような雰囲気に、私はほっと息を吐いた。
第一王妃のアネモネ様が挨拶をして、その空気のままお茶会は進む。
しかし私は、一人の女の子に目が釘付けだった。エミリア様である。
可愛い!天使っ?いえ、女神様っ!
お父様が仲良くとか言ってたけど、女神様と仲良くなんてできません!とても畏れ多くて近づけない。崇めたい。拝みたい。
ふわふわと風に揺れるブロンドの髪を顔の左右に後れ毛を残しハーフアップにした女の子は、ど真ん中とまではいかないものの私のタイプであった。
前世で好きだった三次元女性のタイプは主に二つ。一つが今世の私のような、真面目優等生×ロリータな、黒髪長髪ストレートの正統派アイドルタイプ。そしてもう一つが、ゆるふわ巻き茶髪。
ゆるふわ巻き髪!好きな髪型!可愛いもう蕩けそう死ぬっ!
「アメリア?エリーゼ様とエミリア様に挨拶をと思ったのだけど、いつものあなたらしくないわね。体調が悪い?」
「体調が悪い?むしろ絶好調ですわお母様っ!」
「あら、そう?なら良かったわ」
……って、え?エミリア様にご挨拶?あ、握手とか、できるかな……?
ふ、とエミリア様を見ると、彼女が一瞬ふらついた。すぐに体勢を立て直したけれど、体調が思わしくないようだ。他の人は気づいていない。
さーっ、と血の気が引いた。私、何を考えていたの?彼女はアイドルじゃない。二次元のキャラクターでもない。彼女を今すぐに、助けに行かないと。でもどうやって?
考えているうちに順番が来て、私はお母様と一緒にエリーゼ様とエミリア様に挨拶をした。
「ミリアナの子も六つだったかしら?エミリアと仲良くしてね」
「はい、第二王妃様」
「うふふ、エリーゼと呼んでちょうだい」
「え、エリーゼ様」
うまく笑えない顔のまま、必死に考える。
倒れたら、どうする?私が支える?無理、体力も筋力も六歳だもの。
エリーゼ様に紹介されたエミリア様は気丈に振る舞っているけれど、きっと無理をしているのだと分かってしまう。
私は耳を近づけて、エミリア様にだけ聞こえる声で言った。
「無理だと思ったら座ってくださいませ。その方が外傷が少なくて済みますし、支えてあげられますわ」
エミリア様は目を見開いている。
私は手を差し出して言った。
「手、繋いでくださいませんか?どこか座って話せるところへ行きたいですわ」
エミリア様は小さな声でありがとう、と呟き、
「近くに東屋があるわ。一緒に行きましょう」
と周りに聞こえる声で言った。そして護衛とメイドらしき人を連れて会場を離れた。
第一王妃のアネモネ様が挨拶をして、その空気のままお茶会は進む。
しかし私は、一人の女の子に目が釘付けだった。エミリア様である。
可愛い!天使っ?いえ、女神様っ!
お父様が仲良くとか言ってたけど、女神様と仲良くなんてできません!とても畏れ多くて近づけない。崇めたい。拝みたい。
ふわふわと風に揺れるブロンドの髪を顔の左右に後れ毛を残しハーフアップにした女の子は、ど真ん中とまではいかないものの私のタイプであった。
前世で好きだった三次元女性のタイプは主に二つ。一つが今世の私のような、真面目優等生×ロリータな、黒髪長髪ストレートの正統派アイドルタイプ。そしてもう一つが、ゆるふわ巻き茶髪。
ゆるふわ巻き髪!好きな髪型!可愛いもう蕩けそう死ぬっ!
「アメリア?エリーゼ様とエミリア様に挨拶をと思ったのだけど、いつものあなたらしくないわね。体調が悪い?」
「体調が悪い?むしろ絶好調ですわお母様っ!」
「あら、そう?なら良かったわ」
……って、え?エミリア様にご挨拶?あ、握手とか、できるかな……?
ふ、とエミリア様を見ると、彼女が一瞬ふらついた。すぐに体勢を立て直したけれど、体調が思わしくないようだ。他の人は気づいていない。
さーっ、と血の気が引いた。私、何を考えていたの?彼女はアイドルじゃない。二次元のキャラクターでもない。彼女を今すぐに、助けに行かないと。でもどうやって?
考えているうちに順番が来て、私はお母様と一緒にエリーゼ様とエミリア様に挨拶をした。
「ミリアナの子も六つだったかしら?エミリアと仲良くしてね」
「はい、第二王妃様」
「うふふ、エリーゼと呼んでちょうだい」
「え、エリーゼ様」
うまく笑えない顔のまま、必死に考える。
倒れたら、どうする?私が支える?無理、体力も筋力も六歳だもの。
エリーゼ様に紹介されたエミリア様は気丈に振る舞っているけれど、きっと無理をしているのだと分かってしまう。
私は耳を近づけて、エミリア様にだけ聞こえる声で言った。
「無理だと思ったら座ってくださいませ。その方が外傷が少なくて済みますし、支えてあげられますわ」
エミリア様は目を見開いている。
私は手を差し出して言った。
「手、繋いでくださいませんか?どこか座って話せるところへ行きたいですわ」
エミリア様は小さな声でありがとう、と呟き、
「近くに東屋があるわ。一緒に行きましょう」
と周りに聞こえる声で言った。そして護衛とメイドらしき人を連れて会場を離れた。
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