11 / 21
友達をつくります
初めての社交界2
しおりを挟む
ホールでは料理が並べられ、招待客であるお父様の仕事の関係者やご友人たちが歓談を始めていた。
私はお父様とお母様の後ろを、お兄様にエスコートされて入場した。パールと、お兄様の侍従であるライムも一緒だ。
会場に入った途端、周りからため息の音が聞こえ、強い視線を感じた。私何かしたっけ、とお兄様を見て、察する。この美形お兄様は、社交界だから正装をしていて、それはそれはキラキラなのだ。しかも幼い私をエスコートして、慈愛の微笑みを浮かべている。女の子たちが惚れるのも頷ける。
そしてかく言う私も美少女だった。ドレス着用だし。見渡すと、前世の同級生より貴族の令嬢の方が可愛いけれど、その中でも私は段違いに可愛いことが分かる。
男の子たちから熱烈な視線を向けられることに慣れなくて、思わずお兄様の手をぎゅっとしてしまう。お兄様は少し驚いたあと、ふわっと笑って、「大丈夫」と小声で囁いた。周りの令嬢たちから黄色い歓声が漏れるのが聞こえる。私は恥ずかしくなって、俯いてしまった。
「皆様、本日はお集まりいただきありがとうございます。」
お父様が挨拶を始める。お父様の挨拶が終われば私の番だ。うぅ、緊張する。大丈夫、大丈夫。いっぱい練習したんだから。
「お初お目にかかります。アメリア・マリーシュと申します」
挨拶の言葉を口にしながら礼をする。会場の人々から暖かな声援が送られた。
挨拶が終わると身分の高い人から順番に挨拶に来た。中には私のことを褒めてくれる人や、私と同世代の子供を紹介してくれる人もいた。
「素敵なお嬢様ですね。今度ぜひうちの屋敷に……」
という声がかかる度に、お父様の表情が険しくなっている気がする。そして心なしかお兄様の表情も少し陰っている気がする。お母様は微笑ましいものを見る目で見守っているけれど。
あ、そうか、この世界では六歳でもう婚約話が出てくるんだ。だからお父様とお兄様はこんなに嫌そうにしているのね。
結婚、かぁ。前世ではアイドルになるために男性とはあまり関わってこなかったから、恋愛とは無縁だったんだよね。強いて言うならアニメや漫画のキャラクター。王子様みたいなキラキラした紳士が好きだ。まぁそんな人、現実にはいなかったんだけど。
でもこの世界では、本物の王子様もいるし、貴族だから正真正銘の紳士だし、レディーファーストだし、もしかしたら物語みたいな恋ができるかもしれない。なにそれ、テンション上がってきた。私は美少女だし、公爵令嬢だし、選びたい放題では?あー、でも恋愛結婚したいなぁ。私を大事にしてくれる人がいい。貴族は政略結婚が多いしなぁ……
お父様とお母様はどうやって知り合ったんだろう。あとで聞いてみよう。
そんなことを考えているうちに、パーティーは終わってしまった。
私はお父様とお母様の後ろを、お兄様にエスコートされて入場した。パールと、お兄様の侍従であるライムも一緒だ。
会場に入った途端、周りからため息の音が聞こえ、強い視線を感じた。私何かしたっけ、とお兄様を見て、察する。この美形お兄様は、社交界だから正装をしていて、それはそれはキラキラなのだ。しかも幼い私をエスコートして、慈愛の微笑みを浮かべている。女の子たちが惚れるのも頷ける。
そしてかく言う私も美少女だった。ドレス着用だし。見渡すと、前世の同級生より貴族の令嬢の方が可愛いけれど、その中でも私は段違いに可愛いことが分かる。
男の子たちから熱烈な視線を向けられることに慣れなくて、思わずお兄様の手をぎゅっとしてしまう。お兄様は少し驚いたあと、ふわっと笑って、「大丈夫」と小声で囁いた。周りの令嬢たちから黄色い歓声が漏れるのが聞こえる。私は恥ずかしくなって、俯いてしまった。
「皆様、本日はお集まりいただきありがとうございます。」
お父様が挨拶を始める。お父様の挨拶が終われば私の番だ。うぅ、緊張する。大丈夫、大丈夫。いっぱい練習したんだから。
「お初お目にかかります。アメリア・マリーシュと申します」
挨拶の言葉を口にしながら礼をする。会場の人々から暖かな声援が送られた。
挨拶が終わると身分の高い人から順番に挨拶に来た。中には私のことを褒めてくれる人や、私と同世代の子供を紹介してくれる人もいた。
「素敵なお嬢様ですね。今度ぜひうちの屋敷に……」
という声がかかる度に、お父様の表情が険しくなっている気がする。そして心なしかお兄様の表情も少し陰っている気がする。お母様は微笑ましいものを見る目で見守っているけれど。
あ、そうか、この世界では六歳でもう婚約話が出てくるんだ。だからお父様とお兄様はこんなに嫌そうにしているのね。
結婚、かぁ。前世ではアイドルになるために男性とはあまり関わってこなかったから、恋愛とは無縁だったんだよね。強いて言うならアニメや漫画のキャラクター。王子様みたいなキラキラした紳士が好きだ。まぁそんな人、現実にはいなかったんだけど。
でもこの世界では、本物の王子様もいるし、貴族だから正真正銘の紳士だし、レディーファーストだし、もしかしたら物語みたいな恋ができるかもしれない。なにそれ、テンション上がってきた。私は美少女だし、公爵令嬢だし、選びたい放題では?あー、でも恋愛結婚したいなぁ。私を大事にしてくれる人がいい。貴族は政略結婚が多いしなぁ……
お父様とお母様はどうやって知り合ったんだろう。あとで聞いてみよう。
そんなことを考えているうちに、パーティーは終わってしまった。
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~
イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」
どごおおおぉっ!!
5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略)
ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。
…だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。
それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。
泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ…
旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは?
更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!?
ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか?
困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語!
※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください…
※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください…
※小説家になろう様でも掲載しております
※イラストは湶リク様に描いていただきました
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
私を裏切った相手とは関わるつもりはありません
みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。
未来を変えるために行動をする
1度裏切った相手とは関わらないように過ごす
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる