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貴族令嬢に転生しました

異世界のお勉強

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勉強が再開した。習うのは文字の読み書きやマナーレッスン、計算や地理、歴史。教えてくれるのは家庭教師のベル。文章を読んだり書いたりするけど、難なくこなせてしまう。さすが転生特典、便利だな。言葉遣いを覚えるのは難しかったけど、法則性を掴むと理解できた。計算も簡単だった。小学校低学年レベルの計算は朝飯前だ。できる限りゆっくりやった。
マナーは前世と色々なところが違いすぎて難しい。言われたことはちゃんと覚えていられるので、ゆっくり覚えていこうと思う。
歴史や地理は楽しい。私は前世でも、歴史や地理は好きだった。土地特有の理由があったり、一つの出来事が色んな出来事に繋がっていたりすることを理解するのが面白いのだ。前世と違う異世界のことは新鮮で、分からないところはベルに聞き、私は貪るように知識を吸収していった。
でも、この世界の常識とか色々なものを私は知らない。私はベルに勉強を習いながら、どうしようかと考えていた。そうだ、図書室の本を読み漁ろう!そう、この家には図書室がある。この世界では紙は高くて本は高級品だけど、だからこそ地位や権力を示すものになるらしい。物語とかがあるかは分からない。私は本好きということにして、たくさん本を買ってもらおう。
勉強の時間が終わると、私は早速侍女のパールに図書室に行きたいと言った。
「もう字のお勉強は終わったの。色んな本が読みたい」
「図書室はまだ早いと思いますよ?」
「お父様かお兄様と一緒に行くわ。本は大事なものだと分かっているもの」
「畏まりました、旦那様と奥様に相談してみます」

数日後、私は本を読み漁っていた。最初はお兄様の本を覗いたりしていたけど、お兄様が読むのは子供向けの歴史書が多くて、自分の読みたい本が読めないのがもどかしくてたまらなくなった。だから、一人で図書室に行くことも増えた。と言っても本を取ってもらうためにパールと一緒なんだけどね。本を読んでは、疑問を持ったページに栞を挟み、ベルに聞く。そのうちベルでは分からないところも出てきて、お父様に聞くことも増えた。まだ科学的に解明されていないことなどは栞を挟んだままにしておいた。

転生して二年が経ち、六歳になった頃には、前世では絶対読まなかったような法律書を読破し全て覚え、辞典の類も覚えて、この世界独特の言葉や言い回しも知った。図鑑も読んで、動物や植物も覚えた。他にも領地のことや国のこと、生物学、植物学、医学など、たくさんのことを学んでいった。絶対記憶の頭に知識を詰めていくのは楽しい。前世の日本より古い知識だったり、まだ分かっていないものも多いのだろう。違いを見つけたりするのも面白かった。
私はベルや家族がびっくりするほど賢くなった。この世界のマナーや常識も覚えたし、あとは前世で憧れていた護身術や剣術を習ってみたいのだが、公爵令嬢である私に許してもらえるか分からないので、とりあえずもう少し大きくなるまで待とうと思っている。目指せ文武両道。私は前世で諦めたことを今世で果たしたい!
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