隠したいほど欲しくなる

桃色デイジー

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4話

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「来週出張入ったから」
その言葉を聞くと、またカオルに会えるって思ってしまう。
仕事から帰ってきた夫はだるそうにシャツを脱いだ。
「…そうなんだ。忙しいのね」
隠さないと。
私は顔に出やすいから。
「……最近、肌きれいだな」
夫の手が顔に触れた。
「化粧品でも変えたのか」
「え、えぇ、そうね」
無意識に一歩後ろに下がっていた。
「…食事の準備するから」
そう言ってキッチンに向かった。
内心ではすごく焦っていた。
バレてしまうんじゃないかって。














「………不安になるの」
バレてしまうんじゃないかって。
そんなことを言うけど、やっていることはちぐはぐで。
ベッドに仰向けになっているカオルの上に跨っている。
もう何度目なんだろう。
数え切れないほど、私はカオルと体を重ねていた。
この関係は脆い。
バレてしまえば、もう二度と会えなくなるかもしれない。
仕事も辞めないといけなくなるかもしれない。
それなのに。
「綾子先輩、来て」
広げられた両腕に体を任せると、その腕で抱きしめてくれた。
「ねぇ、先輩」
「何?」
「僕のこと好き?」
その質問に黙ってしまう。
言ってはいけないことだと思っているから。
「人妻だからとか気にしないで。本当のことを言ってよ」
わかってるくせに。
でも、なんでだろう。
言わないと、カオルが居なくなってしまいそうな気がする。
「好きよ」
側に居たい。
カオルと一緒に。
そう思うほど下腹部が熱を持つ。
「僕も」
そう言って笑顔を見せるカオルが好き。
カオルの腰が動いた。
つい、変な声が出てしまう。
「…綾子先輩、今日もすっごく濡れてるね」
「な…っ」
あえてその恥ずかしい音を聞かせようとする。
カオルが動く度に中で生まれる摩擦の痛みさえも愛しい。
「先輩、僕が守るから」
快感に体を揺らしながらカオルの言葉を聞いていた。
「安心して。ちゃんと守るから…」
その言葉を信じていいんだろうか。
そう思ったけど、頭はもうそれを考える余裕なんて無かった。
返事代わりのように夢中で彼の唇と貪り合っていた。











私達の関係は脆い。
「お前、俺に隠してることあるだろ」
脆いから、その終わりは突然やってくる。
いつもより遅く仕事から帰ってきた夫の第一声。
いつか向けられるとわかっていた怒りに満ちた目が刺さる。
「な、何を…」
「言わなくてもわかってるだろ」
怖い。
逃げ出したい。
「仕事で出張している間に男と寝やがって」
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