4 / 5
4話
しおりを挟む
「来週出張入ったから」
その言葉を聞くと、またカオルに会えるって思ってしまう。
仕事から帰ってきた夫はだるそうにシャツを脱いだ。
「…そうなんだ。忙しいのね」
隠さないと。
私は顔に出やすいから。
「……最近、肌きれいだな」
夫の手が顔に触れた。
「化粧品でも変えたのか」
「え、えぇ、そうね」
無意識に一歩後ろに下がっていた。
「…食事の準備するから」
そう言ってキッチンに向かった。
内心ではすごく焦っていた。
バレてしまうんじゃないかって。
「………不安になるの」
バレてしまうんじゃないかって。
そんなことを言うけど、やっていることはちぐはぐで。
ベッドに仰向けになっているカオルの上に跨っている。
もう何度目なんだろう。
数え切れないほど、私はカオルと体を重ねていた。
この関係は脆い。
バレてしまえば、もう二度と会えなくなるかもしれない。
仕事も辞めないといけなくなるかもしれない。
それなのに。
「綾子先輩、来て」
広げられた両腕に体を任せると、その腕で抱きしめてくれた。
「ねぇ、先輩」
「何?」
「僕のこと好き?」
その質問に黙ってしまう。
言ってはいけないことだと思っているから。
「人妻だからとか気にしないで。本当のことを言ってよ」
わかってるくせに。
でも、なんでだろう。
言わないと、カオルが居なくなってしまいそうな気がする。
「好きよ」
側に居たい。
カオルと一緒に。
そう思うほど下腹部が熱を持つ。
「僕も」
そう言って笑顔を見せるカオルが好き。
カオルの腰が動いた。
つい、変な声が出てしまう。
「…綾子先輩、今日もすっごく濡れてるね」
「な…っ」
あえてその恥ずかしい音を聞かせようとする。
カオルが動く度に中で生まれる摩擦の痛みさえも愛しい。
「先輩、僕が守るから」
快感に体を揺らしながらカオルの言葉を聞いていた。
「安心して。ちゃんと守るから…」
その言葉を信じていいんだろうか。
そう思ったけど、頭はもうそれを考える余裕なんて無かった。
返事代わりのように夢中で彼の唇と貪り合っていた。
私達の関係は脆い。
「お前、俺に隠してることあるだろ」
脆いから、その終わりは突然やってくる。
いつもより遅く仕事から帰ってきた夫の第一声。
いつか向けられるとわかっていた怒りに満ちた目が刺さる。
「な、何を…」
「言わなくてもわかってるだろ」
怖い。
逃げ出したい。
「仕事で出張している間に男と寝やがって」
その言葉を聞くと、またカオルに会えるって思ってしまう。
仕事から帰ってきた夫はだるそうにシャツを脱いだ。
「…そうなんだ。忙しいのね」
隠さないと。
私は顔に出やすいから。
「……最近、肌きれいだな」
夫の手が顔に触れた。
「化粧品でも変えたのか」
「え、えぇ、そうね」
無意識に一歩後ろに下がっていた。
「…食事の準備するから」
そう言ってキッチンに向かった。
内心ではすごく焦っていた。
バレてしまうんじゃないかって。
「………不安になるの」
バレてしまうんじゃないかって。
そんなことを言うけど、やっていることはちぐはぐで。
ベッドに仰向けになっているカオルの上に跨っている。
もう何度目なんだろう。
数え切れないほど、私はカオルと体を重ねていた。
この関係は脆い。
バレてしまえば、もう二度と会えなくなるかもしれない。
仕事も辞めないといけなくなるかもしれない。
それなのに。
「綾子先輩、来て」
広げられた両腕に体を任せると、その腕で抱きしめてくれた。
「ねぇ、先輩」
「何?」
「僕のこと好き?」
その質問に黙ってしまう。
言ってはいけないことだと思っているから。
「人妻だからとか気にしないで。本当のことを言ってよ」
わかってるくせに。
でも、なんでだろう。
言わないと、カオルが居なくなってしまいそうな気がする。
「好きよ」
側に居たい。
カオルと一緒に。
そう思うほど下腹部が熱を持つ。
「僕も」
そう言って笑顔を見せるカオルが好き。
カオルの腰が動いた。
つい、変な声が出てしまう。
「…綾子先輩、今日もすっごく濡れてるね」
「な…っ」
あえてその恥ずかしい音を聞かせようとする。
カオルが動く度に中で生まれる摩擦の痛みさえも愛しい。
「先輩、僕が守るから」
快感に体を揺らしながらカオルの言葉を聞いていた。
「安心して。ちゃんと守るから…」
その言葉を信じていいんだろうか。
そう思ったけど、頭はもうそれを考える余裕なんて無かった。
返事代わりのように夢中で彼の唇と貪り合っていた。
私達の関係は脆い。
「お前、俺に隠してることあるだろ」
脆いから、その終わりは突然やってくる。
いつもより遅く仕事から帰ってきた夫の第一声。
いつか向けられるとわかっていた怒りに満ちた目が刺さる。
「な、何を…」
「言わなくてもわかってるだろ」
怖い。
逃げ出したい。
「仕事で出張している間に男と寝やがって」
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ドSでキュートな後輩においしくいただかれちゃいました!?
春音優月
恋愛
いつも失敗ばかりの美優は、少し前まで同じ部署だった四つ年下のドSな後輩のことが苦手だった。いつも辛辣なことばかり言われるし、なんだか完璧過ぎて隙がないし、後輩なのに美優よりも早く出世しそうだったから。
しかし、そんなドSな後輩が美優の仕事を手伝うために自宅にくることになり、さらにはずっと好きだったと告白されて———。
美優は彼のことを恋愛対象として見たことは一度もなかったはずなのに、意外とキュートな一面のある後輩になんだか絆されてしまって……?
2021.08.13
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
Honey Ginger
なかな悠桃
恋愛
斉藤花菜は平凡な営業事務。唯一の楽しみは乙ゲーアプリをすること。ある日、仕事を押し付けられ残業中ある行動を隣の席の後輩、上坂耀太に見られてしまい・・・・・・。
※誤字・脱字など見つけ次第修正します。読み難い点などあると思いますが、ご了承ください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ある夜の出来事
雪本 風香
恋愛
先輩と後輩の変わった性癖(旧タイトル『マッチングした人は会社の後輩?』)の後日談です。
前作をお読みになっていなくてもお楽しみいただけるようになっています。
サクッとお読みください。
ムーンライトノベルズ様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる