隠したいほど欲しくなる

桃色デイジー

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2話

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とんでもないことをしてしまった。
隣で眠る深町君の寝顔は可愛い。
それはまるで昨日の行為が嘘みたいで。
「…………っ!!」
一人で赤くなってベッドに潜り込む。
酔って途切れ途切れの記憶が頭を駆け巡る。
踏んではいけない一線を思いっきり越えてしまった。
「んん…」
寝返った深町君の体が触れる。
裸。
わかっているけど、私も裸なんだけど、深町君は裸だ。
そういえば、ゴムつけてたっけ。
「………………」
ああ、どうしよう。
そこの記憶が全くない。
愛撫されて挿れるまではそんなに時間がかからなかったと思う。
すごく恥ずかしいけど、そんなこと気にならないくらい気持ちよくなっていた。
正直、夫とのセックスよりもずっと。
冷たい夫だけど、裏切ってしまったという罪悪感が胸に重くのしかかる。
「…おはよぅございます」
「おっ!おはよっ」
声が上ずってしまう。
少し寝ぼけた深町君も可愛い。
「…ちょっとシャワー浴びてきますね」
そう言って彼はベッドから出た。
……朝立ちしてた。
見ないようにと、目を逸らすつもりだったけど、つい、見てしまった。
アレが中に入ってんだ。
自分でもびっくりするくらい喘いでしまった。
また思い出して顔が赤くなる。
机には昨日口にしたペットボトルの水があった。
飲もうと手を伸ばしてその横にある箱に気づいた。
ゴムだ。
ちゃんと使っていたかはわからないけど、少し安心する。
「……!!」
そして、彼のアレは旦那のより大きいことを知った。
「…どうかしました?」
男性のシャワーは早い。
タオルで体を拭きながら出てきた深町君にゴムを見ているのを気付かれた。
「ちゃんとゴムつけてたから安心してください」
苦笑いされてまた顔が赤くなる。
深町君はベッドに戻ると私を抱き寄せた。
「お願いをきいてくれてありがとう」
そう言ってしばらく彼は私を抱きしめていた。
その彼のたくましい両腕が私の心を安めてくれた。
連絡先を交換して、ホテルから出るのは普通だった。
私の家の近くまで深町君は送ってくれた。
彼と別れる時、私はもう彼と会わないだろうと思った。
一夜だけの関係。
それだけでいいんだって。
自分に言い聞かせて。






「また、来週出張入ったから」
帰ってきた夫の一言目はそれだった。
「戻ってきてすぐ出張なんて大変ね」
「急に入った仕事なんだよ」
いつも通りにしないと。
夫がお風呂に入ったのを確認して、深く息を吐いた。
そして、食事の用意をする。
夫は何も気づいていないようだった。
テレビを見ながらスマホをいじって食事をするいつもの姿。
そして、お酒を飲むとベッドですぐに寝始めた。
結婚したばかりの時は仕事が大変じゃないのか心配していたけど、今は安心してしまっている。
良かった、気づいてない。
使ったお皿を片付けると、浴室に向かいシャワーを浴びた。
一日で色んなことが起きてしまったような感覚。
深町君とシちゃった。
挿れられていた場所はまだ違和感がある。
記憶が途切れているから、どのくらい彼を受け入れていたのかわからない。
浴室の鏡に私の裸が映る。
見せつけられた。
私が深町君のアレを受け入れているの。
それは覚えている。
あの時は酔いもあってよくわかってなかった。
深町君のあの太いのが入ってたなんて。
顔が熱くなる。
そっと、その場所に触れてみた。
「……っ!」
まだ、その場所は感覚が敏感になっているみたい。
触れる指をもう一本増やす。
いつもは閉ざしている花弁が、左右に開ききっていた。
ここに、入ってたんだ。
深町君の……。
その場所は指をすんなり受け入れた。
ちがう。
もう一本の指を挿れる。
「……ちがう」
こんなんじゃない。
私の指が細すぎて。
全然満たされない。
ああ、そうだった。
深町君のあの太い指が入ったから。
「深町君の…」
欲しい。
満たされたい。
その声はシャワーの音に紛れていく。
頭で深町君に挿れられているのを想像しながら手を動かす。
やっぱりダメ。
欲しい。
彼が欲しい。
シャワーを止めるとすぐに洗面台のスマホを手に取った。
貴方に触られた場所が熱い。
ポタポタと体から水滴が落ちていく。
『あいたい』
そんなメッセージを送っていた。
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