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「それでは牢屋にいる聖女に関しては引き取りの日取りはまだ決まってないのですか?」

「そうだね。教会に催促をしているけど返事を一切貰えていないから日取りは未定だね」

未定なんて正直嫌すぎる。
愛と同じ屋根の下に過ごすなんてストレスでしかない。

このまま愛を引き取らないということはないだろうか。
そんな事を考えてしまうとゾッとしてしまう。

「大丈夫だよネヴィ。聖女は必ず引き取ってもらうからね」

勝手に体が震えていたみたいで、ラグにいつの間にか抱きしめて貰っていた。
マナー違反なのは分かっているけど、ラグにギュッと抱きついて落ち着くまで背中を撫で続けて貰った。

マナーを守りたいけど、それどころではない感情が混ざってラグの元から離れたくない。
お父様とお母様にこの抱っこ状態に笑われながらも、愛の今後の対応をどうすべきかと話し合っていた。

ラグもお父様とお母様の会話に混ざっているけど、当の本人である僕は愛の対応についての会話に混ざる事はなかった。
3人が話している間に僕はご飯をゆっくりと食べていた。

ラグの膝の上で食べる事になったから、溢さないようにゆっくりと食べた。
ゆっくりとご飯食べてたらラグに食器を取られて、ラグにご飯を食べさせてもらう形になった。

完全に餌付けをして貰っている状態になったけど、ご飯が食べられるのであればどういう形でもよかった。
今日のご飯も美味しいなってたら、お父様とお母様にニコニコとした笑みを向けられている。

「むむっ?」

もごもごとしながらお父様とお母様を見て、口の中にある物を飲み込んでからラグの方を見るとラグが見たことない程ニコニコしていた。
給餌行動を受け入れられたのが嬉しいんだろうか。

「ラグどうしたの?」

ラグの頬に手を伸ばすと、ラグが自ら僕の手に擦り寄ってきた。
擦り寄ってくる行動が可愛くて頬を何度も優しく撫で続ける。

「ネヴィが私の給餌を受け取ってくれて、とっても嬉しかったんだ」

ラグの声が僕の前以外でかなり明るいという珍しい状況にびっくりした。

「私が全部食べさせてあげるからね」

ラグは周りを気にせずにずっと僕にご飯を食べさせてくれる。
吸血鬼に給餌行動があるなんて聞いたことがない。

眷属とか血を分けるとかは知っているけど、それ以外で給餌に当たる行為なんてあっただろうか。
悶々と考えながらラグの給餌を抵抗なく受け入れている。

最後の一口を食べ終えた。

「ラグ食べたよ?」

ラグに食べた事を伝えると、何故かラグが顔を全力で逸らした。
なんで逸らすかわからない。

「ラグー?」

ラグの表情を見る為に頑張っているけど、ラグの膝の上に座っているから表情を見る事ができない。

「二人は本当に仲睦まじいわね。ネヴィがこんなに振り回されて…、こんな事が見れるなんて思わなかったわ」

お母様が感慨深そうに僕の事を見てくる。
そんな視線を向けられるのはどれだけぶりだなんだろうか。
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