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目を覚ませば真っ暗で朝なのか夜なのか全く分からなかった。
精霊に索敵して貰い周りに誰もいない事を確認してから、洞窟の入り口を隠している魔法を解いた。
日の光が入ってきて、明るい時間帯である事がわかった。
食糧も一緒に探してもらって、精霊から食糧が見つかったと言われたのでその場所に向かう為に洞窟から出た。
日の場所的にすでに昼に差し掛かる所だった。
いつでも逃げられるように警戒しながら、僕は食糧がある所にたどり着いた。
そこには沢山の果物がなっており、食糧には困らないのは見てわかるけどここにずっといる事は叶わない。
よくあるアニメみたいになって空間ボックスなんていう都合のいい物がない。
だから果物を干して長期保存をできる様にして、すぐにここから出れるようにしようと思った。
今持てるだけ果物を持って洞窟の所まで持っていき、洞窟の入り口を魔法でしっかりと閉じた。
光魔法で洞窟内を明るく照らすと、果物の水分を抜く為の作業の準備を始めた。
普段は使用しない水魔法を利用して果物の水分をゆっくりと抜き始めた。
抜きすぎるとただ枯れた状態になるから、しわっとなる感じで置いておいた。
魔法で蔦を出して果物をくくり付けて、洞窟の天井から魔法で蔦を生やすと果物をくくり付けた蔦を結んだ。
干し終わるまでにすぐにでも出る為に必要なカバンを蔦でゆっくりと編み込み始めた。
不器用なのも相まって不恰好な網目になるけど、ゆっくりとカバンの形になるように編み込んでいく。
編み込み終わった頃にはすっかり夜になっていたみたいで、夜が主活動の鳥の鳴き声が聞こえてくる。
カバンを乾かすために地面から少し高い場所に、カバンを置いて僕は寝るために昨日魔法で出したベッドに横たわった。
体力を消耗した訳ではないから、眠ろうにも眠ることができない。
昨日は逃げる為にかなり体力を使ったからすぐに眠りにつく事ができたけど、今日はお昼頃に起きた事も原因だけど動いたのも果物の採取だけだったからそこまで体力を使ってなかった。
ゴロンと壁の方に向かってから僕はぎゅっと目を瞑った。
昨日の風景が今もしっかりと脳裏に浮かんでくる。
いつもの癖でラグくんを探してしまったけど、宙を切って虚しく僕の腕は植物のベッドに落ちた。
ああ、そういえば王宮でのパーティだったからラグくんを持ってくることが叶わなかった。
虚しく落ちた手を眺めながら、僕はぼんやりすることしかできない。
精霊達がついっと目の前を通り過ぎる。
精霊達は楽しそうに各々会話をしながら、僕の周りで漂い続けている。
その楽しそうな状況に僕は羨ましく感じる。
精霊達と同じように呑気に過ごしていたい。
それができないこの状況に僕は息苦しく感じていた。
『ねゔぃれんとおなかいたいー?』
「お腹が痛いんじゃないよ。…寂しいだけ、だから…」
『さびしー?こわいのよぶー?』
「ラグに迷惑をかけてしまうから…呼ばなくていいよ」
精霊に手を差し伸べると嬉しそうに僕の手に擦り寄ってくる。
その姿を見て僕の荒んだ心が少しだけ癒された。
精霊に索敵して貰い周りに誰もいない事を確認してから、洞窟の入り口を隠している魔法を解いた。
日の光が入ってきて、明るい時間帯である事がわかった。
食糧も一緒に探してもらって、精霊から食糧が見つかったと言われたのでその場所に向かう為に洞窟から出た。
日の場所的にすでに昼に差し掛かる所だった。
いつでも逃げられるように警戒しながら、僕は食糧がある所にたどり着いた。
そこには沢山の果物がなっており、食糧には困らないのは見てわかるけどここにずっといる事は叶わない。
よくあるアニメみたいになって空間ボックスなんていう都合のいい物がない。
だから果物を干して長期保存をできる様にして、すぐにここから出れるようにしようと思った。
今持てるだけ果物を持って洞窟の所まで持っていき、洞窟の入り口を魔法でしっかりと閉じた。
光魔法で洞窟内を明るく照らすと、果物の水分を抜く為の作業の準備を始めた。
普段は使用しない水魔法を利用して果物の水分をゆっくりと抜き始めた。
抜きすぎるとただ枯れた状態になるから、しわっとなる感じで置いておいた。
魔法で蔦を出して果物をくくり付けて、洞窟の天井から魔法で蔦を生やすと果物をくくり付けた蔦を結んだ。
干し終わるまでにすぐにでも出る為に必要なカバンを蔦でゆっくりと編み込み始めた。
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編み込み終わった頃にはすっかり夜になっていたみたいで、夜が主活動の鳥の鳴き声が聞こえてくる。
カバンを乾かすために地面から少し高い場所に、カバンを置いて僕は寝るために昨日魔法で出したベッドに横たわった。
体力を消耗した訳ではないから、眠ろうにも眠ることができない。
昨日は逃げる為にかなり体力を使ったからすぐに眠りにつく事ができたけど、今日はお昼頃に起きた事も原因だけど動いたのも果物の採取だけだったからそこまで体力を使ってなかった。
ゴロンと壁の方に向かってから僕はぎゅっと目を瞑った。
昨日の風景が今もしっかりと脳裏に浮かんでくる。
いつもの癖でラグくんを探してしまったけど、宙を切って虚しく僕の腕は植物のベッドに落ちた。
ああ、そういえば王宮でのパーティだったからラグくんを持ってくることが叶わなかった。
虚しく落ちた手を眺めながら、僕はぼんやりすることしかできない。
精霊達がついっと目の前を通り過ぎる。
精霊達は楽しそうに各々会話をしながら、僕の周りで漂い続けている。
その楽しそうな状況に僕は羨ましく感じる。
精霊達と同じように呑気に過ごしていたい。
それができないこの状況に僕は息苦しく感じていた。
『ねゔぃれんとおなかいたいー?』
「お腹が痛いんじゃないよ。…寂しいだけ、だから…」
『さびしー?こわいのよぶー?』
「ラグに迷惑をかけてしまうから…呼ばなくていいよ」
精霊に手を差し伸べると嬉しそうに僕の手に擦り寄ってくる。
その姿を見て僕の荒んだ心が少しだけ癒された。
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