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赤い水滴の出所を探すとそこはお父様の手にたどり着いた。
赤い水滴はお父様の手から流れ落ちた血だった。
「お父様!」
お父様に近づき血が出ている手を両手で握り締めた。
ゆっくりとお父様が握りしめている手を開くと、指には血の跡がついており掌には生々しい傷がついてる。
光魔法で若干の治癒は使えるから、弱々しいながらも治癒魔法を行使した。
じわじわ治っていく傷にホッとしつつも、その傷を作る原因にもなった愛をキッと睨みつけた。
「ネヴィレントこんな傷程度気にしなくていいよ。すぐに治るのだから苦手な治癒魔法を行使しなくてもいいんだよ」
「跡が残るのが嫌なんです」
「ありがとう。でもこの続きは後でいいよ」
優しく手を離されて、お父様は愛に向き直った。
「君にはこれだけ怒りを抑えている事を理解して欲しい。本来私は君に向けて敵意を向けたかったが、子供だからという理由で一切敵意を向けていない」
殺気は向けていたけど、完全な敵意という訳ではないんだ。
殺気と敵意は別物なんだろうか?
レザリアも扇子で口を隠している。
お父様に思うことがあるのだろうけど、口を隠して何も言わないようにしているのだろう。
「それでは、先ほどの質問だけど嘘偽りなく答えてくれるかな?」
愛はガタガタ震えた体を頑張って押さえ込んでいる。
戦争自体に恐怖を覚えているのが見て分かる。
「それで答えてくれる?」
ガタガタと震える体が止まって、お父様をじっと見つめ始めた。
「もし私の話が真実じゃないとした場合どうなりますか」
「そうだね…、真実じゃないなら聖戦は起こらないだろうね」
お父様の言う通り、聖戦が起こらないだけである。
聖戦以外の事が愛に対して起こる可能性があるから、その言葉の意味を愛は理解できていないと思う。
だからこそこの表情なのだと思う。
戦争が回避されるこの一文だけを信じた愛は、嬉しそうな笑顔を浮かべてこう答えた。
「話を聞いていないのは嘘です。ネヴィレントがかなり危険な状態であることは知っていました」
その内容を笑顔で答えるなんてイカれてる。
知っていてこの態度だったんだ。
「そうか。教会はネヴィレントに対して何か言っていたのかい?」
「んー、ネヴィレントには死なれてしまったら困る。こんな事になるとは思わなかった。そんな感じの内容を話してましたね」
お父様はその愛の発言に完全に怒っている状態。
その感情は親としては正しいけど、今ここで出すべきではない感情。
怒ってくれるのは嬉しいけど、合理的な判断を下してほしい。
「そうなんだね。じゃあ、君は私の質問に対して嘘をついたという事だね?」
空気感が完全に冷たくなった。
聖女見習いでありながら、今回起こした件で相手の傷を治そうと行動しない事に空気が凍った。
聖女を目指すものであれば傷を負った人が居れば、そこに飛んで治癒をしに行くのが道理。
それに加えて今回は被害を与えた相手なのにも関わらず、自身の能力を使用せずに治らなくてもいいという行動をとった。
僕の所にも愛以外の聖属性を所持している聖女見習いが押しかけてきたけど、お父様が全員門前払いをした。
代わりに聖女見習いと同等の神官を最終的に寄越してくれた。
その神官のお陰で僕は回復したんだけどね。
本当は愛が僕の怪我を治癒するべきだったけど、結果僕のところには足を運ぶことなく教会でのうのうと過ごしていたという事になる。
赤い水滴はお父様の手から流れ落ちた血だった。
「お父様!」
お父様に近づき血が出ている手を両手で握り締めた。
ゆっくりとお父様が握りしめている手を開くと、指には血の跡がついており掌には生々しい傷がついてる。
光魔法で若干の治癒は使えるから、弱々しいながらも治癒魔法を行使した。
じわじわ治っていく傷にホッとしつつも、その傷を作る原因にもなった愛をキッと睨みつけた。
「ネヴィレントこんな傷程度気にしなくていいよ。すぐに治るのだから苦手な治癒魔法を行使しなくてもいいんだよ」
「跡が残るのが嫌なんです」
「ありがとう。でもこの続きは後でいいよ」
優しく手を離されて、お父様は愛に向き直った。
「君にはこれだけ怒りを抑えている事を理解して欲しい。本来私は君に向けて敵意を向けたかったが、子供だからという理由で一切敵意を向けていない」
殺気は向けていたけど、完全な敵意という訳ではないんだ。
殺気と敵意は別物なんだろうか?
レザリアも扇子で口を隠している。
お父様に思うことがあるのだろうけど、口を隠して何も言わないようにしているのだろう。
「それでは、先ほどの質問だけど嘘偽りなく答えてくれるかな?」
愛はガタガタ震えた体を頑張って押さえ込んでいる。
戦争自体に恐怖を覚えているのが見て分かる。
「それで答えてくれる?」
ガタガタと震える体が止まって、お父様をじっと見つめ始めた。
「もし私の話が真実じゃないとした場合どうなりますか」
「そうだね…、真実じゃないなら聖戦は起こらないだろうね」
お父様の言う通り、聖戦が起こらないだけである。
聖戦以外の事が愛に対して起こる可能性があるから、その言葉の意味を愛は理解できていないと思う。
だからこそこの表情なのだと思う。
戦争が回避されるこの一文だけを信じた愛は、嬉しそうな笑顔を浮かべてこう答えた。
「話を聞いていないのは嘘です。ネヴィレントがかなり危険な状態であることは知っていました」
その内容を笑顔で答えるなんてイカれてる。
知っていてこの態度だったんだ。
「そうか。教会はネヴィレントに対して何か言っていたのかい?」
「んー、ネヴィレントには死なれてしまったら困る。こんな事になるとは思わなかった。そんな感じの内容を話してましたね」
お父様はその愛の発言に完全に怒っている状態。
その感情は親としては正しいけど、今ここで出すべきではない感情。
怒ってくれるのは嬉しいけど、合理的な判断を下してほしい。
「そうなんだね。じゃあ、君は私の質問に対して嘘をついたという事だね?」
空気感が完全に冷たくなった。
聖女見習いでありながら、今回起こした件で相手の傷を治そうと行動しない事に空気が凍った。
聖女を目指すものであれば傷を負った人が居れば、そこに飛んで治癒をしに行くのが道理。
それに加えて今回は被害を与えた相手なのにも関わらず、自身の能力を使用せずに治らなくてもいいという行動をとった。
僕の所にも愛以外の聖属性を所持している聖女見習いが押しかけてきたけど、お父様が全員門前払いをした。
代わりに聖女見習いと同等の神官を最終的に寄越してくれた。
その神官のお陰で僕は回復したんだけどね。
本当は愛が僕の怪我を治癒するべきだったけど、結果僕のところには足を運ぶことなく教会でのうのうと過ごしていたという事になる。
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