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「ほう…では検討ついているものはいないという事だね。ふむこれでは困ったな。精霊眼を持つ者で、精霊の愛子である我が息子を殺した者をどうにかせねばならないからな」

あのハイエルフは今目の前にいるハイエルフの息子だったんだ。
でも僕が死ぬ前に精霊によって精霊眼を盗られた事を言えばなんて反応するんだろう。

そんな好奇心がむくむくと膨れ上がってくる。

『ねゔぃれんとをころそうとしたやつからとったもーん!』

『えるふばかばっかー!』

『くすくす』

精霊たちが各々楽しそうに言葉を紡いでいる。
精霊によって好奇心が余計に膨れ上がってくる。

言っちゃおっかなってなった時にラグザンドに手で口を塞がれた。
わくわくしているのがバレたのだろうか?

手を離してもらおうと思ったけど、簡単に外れなくて直ぐに力尽きた。

「何をしているのだ。私達は話をしているのだが?」

「あのハイエルフを殺したのは私だ。愛おしいネヴィを殺そうとしたのだから、殺されても文句はないだろう?」

ラグザンドからとんでもない言葉が飛び出した。
あのハイエルフを殺したのがまだ成年を迎えてないラグザンドが殺したの?

ありえないでしょ。
精霊眼を持っているからとはいえ、自身で身を守る術を叩き込まれるから相当な実力の持ち主になるという筈なのに…

そのハイエルフを殺したと?

日の下を歩く者デイウォーカーが何故我が息子に手を掛ける必要があったのだ?その様な能力を持っている吸血鬼であれば退ける事も簡単だったろう?」

「殺そうとしたのであれば、殺されても文句はないと先程も伝えただろう?耄碌でもしているのか?」

ラグザンドそんなどっ直球に聞くのはダメだよ!
それを止める為に口を塞いでいる手を叩いているけど、全く外れそうになくて再度外そうと頑張るけど全く外れそうにない。

「舐め腐っているのか?吸血鬼如きが」

すごい怒っているんだけど。
なんとか脱却できる話がないかと考えて、一つ不審に思っていた事を思い出した。

悪いと思いつつラグザンドの手を噛むと、痛かったのかパッと手を僕の口から話した。

「怒られる前に一つ。何故私が魔法にて飛ばされた場所だけを徹底的にハイエルフの方と、エルフの方が探していらっしゃるのでしょうか?そのご説明を頂きたいのですが?」

そう、僕のいる所だけを探しているのは何故なんだろうと思っていたのだ。
学院の森はかなり広いけど、エルフが住んでいる森とはまた違う森になる。

だからエルフと会う事自体がおかしいのだ。

「話が違うだろう?」

「何がお話が違うのでしょうか?学院が所持している森にはエルフが住んでいられる場所はないと認識しておりますが?まずその場所にハイエルフの方々がいらっしゃらなければ起こらない出来事ではなかったのでしょうか?」

「それは…」

何かやましい事でも隠しているのだろうか。
エルフの方は何も知らないようで僕たちの状況にオロオロしている。

ラグザンドは僕に噛まれた事に驚きすぎていて未だに固まっている。

「ああ、もしかして…精霊眼を持つ僕を殺す為の算段を立てていらっしゃったのですか?」

その言葉にハイエルフの表情がもっと崩れた。
この表情に僕は先程言った言葉が間違いじゃない事に項垂れてしまった。

なんなんだ。
エルフ以外の存在が、例えハーフエルフでも精霊眼を持っているのがそんなに嫌なのか。

たかが、精霊眼を持っているだけで殺す程のことなのか。
何をもってしてエルフが高貴だと思っているんだ。

「くだらない」

ああ、本当にくだらない。

「エルフがなんなんだよ!たかが種族の違いだろう!高貴な存在なわけがないだろう!殺されそうになるぐらいなら精霊眼こんなもの要らなかった!!」

本心だ。
殺されそうになるぐらいなら精霊眼なんか欲しくなかった。

愛し子という称号なんかも要らなかった。
ただ僕は平凡に生きたかっただけなんだ。

ぼろぼろと流れる涙は簡単に抑えられない。

「ふざけるな!人の命を!今まで殺してきた精霊眼を持っていた人の命を!なんだと思っているんだ!」

そんな言葉を叫んでもハイエルフにも、エルフにも響かないんだろう。

『ねゔぃれんとおこってるー!』

『いたずらしよー!』

精霊達が各々ふざけ始めたけど、僕は止める気がサラサラ起きない。
好き勝手に遊び始めて特にハイエルフに悪戯を仕掛けている。

ハイエルフが逃げ惑っているけど、僕は一切止める気なんかない。

「精霊様何をなさっているのですか!?どうか気をお静めください!」

凄い勢いで叫んでるけど、精霊たちは止まる気配がない。

「勝手な精霊が止まるとでも?」

「お前に精霊の何がわかる!」

「精霊眼の持ち主だから全て聞こえてるし見えている。ああ、それと伝え忘れていましたが」

「なんなのだ!」

「貴方の息子さんの精霊眼は僕に攻撃したことによって精霊眼を奪われましたよ?生きていたとしても精霊眼を奪われたハイエルフがどう扱われるか見ものだったでしょうね?」

完全なトドメの一撃に、ハイエルフが崩れ落ちたけどザマァみろとしか思えなかった。
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