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鬱蒼とした森の中は点灯ライトでようやく1m先を見えるぐらい暗かった。
この中で魔物に襲われると、簡単に対応できないと思う。

「暗くてこわーい。ゼーリア様ぁ、私を守ってー」

愛がゼーリア、第三王子にベッタリとくっついている。
第三王子婚約者がいるのに、振り払わないのはなんでだろう。

「愛すまないが離れてくれないか?婦女子が男性と身体の接触は婚前はタブーとされている」

言葉でやんわりと嗜めていた。
紳士授業を受けているから突き放すというのは、礼儀を欠くから行わないのだろう。

「えー、どうしてもですかー?」

甘ったるい猫撫で声。
流石に第三王子の顔が引き攣っているのを知ったほうがいいよ。

この状況に何かあるだろうと思って、ハルトの方を見るとじっと僕の事を見ていたみたいで視線がバチっとかちあった。
ハルトから先に視線を逸らされた。

僕は何も思う事がないからいいけど、何か隠し事があるような行動だった。
先んじて行動を打たれないようにする為に、ハルトの事をじっと監視することにしよう。

数分ほど歩いたぐらいで、僕より前に歩いていた人たちが足を止めたので同じように足を止めた。
先生が集団の真ん中ぐらいに来た。

「さて、これから実践を始めるから各自武器を構えるように」

先生の発言で各々が武器を構え始めた。
僕も腰に引っ掛けている杖を手に取って、戦う為の準備を行なった。

あまり慣れていない学校用の杖だから、手に慣れない感覚に違和感が強い。
メインの杖は補助系の魔法をかけているから、授業に利用するには相応しくない。

「では私が魔物を魔法で連れてくるから、その場で待機しているように」

レラッサ先生はその場から全く動かずにいる。
魔法の遠距離使用をして魔物を連れてきている。

他のクラスの生徒はレラッサ先生の力技に驚いている。
Sクラスの生徒は見慣れているから、レラッサ先生の力技を眺めている。

「まずはAクラス全員で、対処するように」

レラッサ先生の言葉と同時に、集団の真ん中にゴブリン3匹が投入された。
Aクラスの半数が慌てふためいているけど、残り半数はゴブリンを討伐する為に武器をゴブリンに向けて構えた。

「構えが微妙な者が多いが、まぁいい。しっかりと授業を反復して討伐するように」

ゴブリンが完全に解放されて3匹同時に生徒に襲い始めた。
最初はみんなが戸惑って対応していたけど、少しずつ対応出来始めゴブリンに致命傷ではないけど傷を与えていけている。

魔法を得意としている生徒は一生懸命に魔法を放っているけど、照準が合っていない事が多くてあっちの方向に飛んでいるけど、見えない壁によって魔法はしっかりと消失している。
森に被害がないようにレラッサ先生が対処してくれている。

レラッサ先生がかなり器用な結界を使用している。
魔法によって対応できる結界が変わるのに、来る魔法来る魔法に合わせて結界を展開し直している状態。

そんな器用な事ができるのは僕が知ってる限りではレラッサ先生ぐらい。

「はい、これで終了。Aクラス残り面々揃いも揃って上手く対処できていないな。一番よくできているのはゼーリアぐらいか」

第三王子がみんなを引っ張って、ゴブリンを倒したのが立役者だったみたいで、レラッサ先生に褒められていた。
AクラスはSクラスとは違って学べる実技内容が違うから、これが及第点になるみたい。

「ではSクラスの面々に戦ってもらうが…坂蔵は邪魔になるだろうから端にいるように」

レラッサ先生は完全に愛を邪魔者扱いしてる。
二日いなかっただけで、レラッサ先生にどれだけの迷惑をかけたんだろう。

そんなことを頭から振り払うように、頭を振ってからしっかりと杖を握り直した。
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