53 / 173
2
27
しおりを挟む
「ほほっ、精霊眼まで授かったのかのぉ」
学院長お爺さんは楽しそうに聴いている。
その反対側ではレラッサ先生は表情が死んでいる。
真反対すぎる反応の場にいる僕たちかなり気まずいなー。
ハルトも雰囲気が理解できなくて、僕にずっとしがみついている。
「精霊の悪戯に、精霊眼となればエルフ達が…特にハイエルフ達が黙っとらんじゃろうの。精霊の悪戯は他種族にもあることだからと容認しておったが、精霊眼だけは何を言ってくるか計り知れぬ。場合によっては、その子の命は危ういと言えるだろう」
なんて?
僕の命が危ない?
どうして、望んでいないものの為に僕の命が危なければならないの?
煩くて敵わない、現にケタケタと笑って僕達を馬鹿にしている精霊をエルフは崇拝でもしているの?
「我ら人間族や他種族にとって精霊は世界の礎という定義はあるが、崇拝する対象ではない。だがエルフの中でもハイエルフは自然を大事にしている故に世界の礎である精霊を崇拝する。その中でも精霊眼を持つものは特に大切に育てられる。わしでも一文字だけ目にしたことがあるが、多種族の精霊眼持ちは尽く消されておる」
「それは、ハーフエルフでも、ですか?」
うまく声が紡げない。
「ハーフエルフもハイエルフ達にとっては部外者なのだろう。もれなく消されおる」
昔に一度だけお母様の親戚というエルフ族の方にあったことがある。
ハーフエルフである僕を見た時には穢れた存在のような目で見られた覚えがある。
その時は一言も話しかけられなかった事も覚えてる。
種族差別を大人から受けるをこういうものであるのも知ったのはその時。
「じゃあ、そのハイエルフの糞共をぶっ飛ばせばいいんですね?」
「レラッサ先生簡単に言っておるが、ハイエルフ達は魔法と弓に長けている種族だが対応できるのかね?」
学院長お爺さんの話にレラッサ先生は鼻ではっと笑った。
そのまま足を机の上に置き、腕を胸の前で組んで不遜な態度をとってみせた。
「私は平民です。ですから、数年前の戦争にも参戦してきました。それゆえに何度かハイエルフ共をぶっ殺してきましたが、あの程度のハイエルフなら私とっては児戯に等しい程でしょう。汚い事を知らぬ、高潔な存在様には私が持つ術は通る」
「そうじゃったの…要らぬ心配をしたものよ。だからこそレラッサ先生を今のSクラスの担任へと無理やり捩じ込んだのじゃからの」
学院長お爺さんはレラッサ先生の行動に何も言わずに淡々と話続けている。
数年前の戦争の事は覚えている。
2歳の時に起こった獣人族との間で戦争が起こったんだ。
その時にお父様も戦争に騎士団を率いて出陣したのを覚えている。
獣人族至上主義を掲げる獣人族が起こした戦争で、その戦争で色んな種族達もかなり巻き込んだ戦争だったけど、規模の大きさの割には一年という短さで終息した戦争だった。
色々な憶測が飛び交ったけど、結局戦争が始まった理由も終戦した理由もほとんど分からない戦争だった。
その中にまさかハイエルフ達まで参加していたなんて。
何か裏がありそうで怖い。
「さて、レラッサ先生や机から足をどかして貰えぬかの?その足をどかしてもらえれば今日壊した机の弁償は無かったことに…」
学院長お爺さんが言い切る前に机の上に乗っていた足が下に降りていた。
レラッサ先生ったらげんきーんって思っていたらポコっと小突かれた。
「ほほ。それではよろしく頼むのレラッサ先生」
「かしこまりました。それでは、また後日お伺いいたします」
レラッサ先生と、ハルト、僕が学院長お爺さんのところから出るとレラッサ先生が盛大なため息を吐いた。
「今日聞いたことは誰にも話すなよ?先生の職務は正しくは先生ではないからな」
「分かりました。でも、僕にとって先生は先生ですから、そこは変わらないと思っています」
「ぼ、僕にとっても先生は先生です!」
ハルトと僕はレラッサ先生にそう告げると、レラッサ先生は困った表情を浮かべた後恥ずかしそうに笑ってくれた。
その後は僕達はかなりの時間を使って、各所に説明という名の擁護を求める事を話しまわった。
日数もかなりかかったけど終わった頃には3人共へとへとだったけど、その後にやってくるテストに苦笑いするしか無かった。
学院長お爺さんは楽しそうに聴いている。
その反対側ではレラッサ先生は表情が死んでいる。
真反対すぎる反応の場にいる僕たちかなり気まずいなー。
ハルトも雰囲気が理解できなくて、僕にずっとしがみついている。
「精霊の悪戯に、精霊眼となればエルフ達が…特にハイエルフ達が黙っとらんじゃろうの。精霊の悪戯は他種族にもあることだからと容認しておったが、精霊眼だけは何を言ってくるか計り知れぬ。場合によっては、その子の命は危ういと言えるだろう」
なんて?
僕の命が危ない?
どうして、望んでいないものの為に僕の命が危なければならないの?
煩くて敵わない、現にケタケタと笑って僕達を馬鹿にしている精霊をエルフは崇拝でもしているの?
「我ら人間族や他種族にとって精霊は世界の礎という定義はあるが、崇拝する対象ではない。だがエルフの中でもハイエルフは自然を大事にしている故に世界の礎である精霊を崇拝する。その中でも精霊眼を持つものは特に大切に育てられる。わしでも一文字だけ目にしたことがあるが、多種族の精霊眼持ちは尽く消されておる」
「それは、ハーフエルフでも、ですか?」
うまく声が紡げない。
「ハーフエルフもハイエルフ達にとっては部外者なのだろう。もれなく消されおる」
昔に一度だけお母様の親戚というエルフ族の方にあったことがある。
ハーフエルフである僕を見た時には穢れた存在のような目で見られた覚えがある。
その時は一言も話しかけられなかった事も覚えてる。
種族差別を大人から受けるをこういうものであるのも知ったのはその時。
「じゃあ、そのハイエルフの糞共をぶっ飛ばせばいいんですね?」
「レラッサ先生簡単に言っておるが、ハイエルフ達は魔法と弓に長けている種族だが対応できるのかね?」
学院長お爺さんの話にレラッサ先生は鼻ではっと笑った。
そのまま足を机の上に置き、腕を胸の前で組んで不遜な態度をとってみせた。
「私は平民です。ですから、数年前の戦争にも参戦してきました。それゆえに何度かハイエルフ共をぶっ殺してきましたが、あの程度のハイエルフなら私とっては児戯に等しい程でしょう。汚い事を知らぬ、高潔な存在様には私が持つ術は通る」
「そうじゃったの…要らぬ心配をしたものよ。だからこそレラッサ先生を今のSクラスの担任へと無理やり捩じ込んだのじゃからの」
学院長お爺さんはレラッサ先生の行動に何も言わずに淡々と話続けている。
数年前の戦争の事は覚えている。
2歳の時に起こった獣人族との間で戦争が起こったんだ。
その時にお父様も戦争に騎士団を率いて出陣したのを覚えている。
獣人族至上主義を掲げる獣人族が起こした戦争で、その戦争で色んな種族達もかなり巻き込んだ戦争だったけど、規模の大きさの割には一年という短さで終息した戦争だった。
色々な憶測が飛び交ったけど、結局戦争が始まった理由も終戦した理由もほとんど分からない戦争だった。
その中にまさかハイエルフ達まで参加していたなんて。
何か裏がありそうで怖い。
「さて、レラッサ先生や机から足をどかして貰えぬかの?その足をどかしてもらえれば今日壊した机の弁償は無かったことに…」
学院長お爺さんが言い切る前に机の上に乗っていた足が下に降りていた。
レラッサ先生ったらげんきーんって思っていたらポコっと小突かれた。
「ほほ。それではよろしく頼むのレラッサ先生」
「かしこまりました。それでは、また後日お伺いいたします」
レラッサ先生と、ハルト、僕が学院長お爺さんのところから出るとレラッサ先生が盛大なため息を吐いた。
「今日聞いたことは誰にも話すなよ?先生の職務は正しくは先生ではないからな」
「分かりました。でも、僕にとって先生は先生ですから、そこは変わらないと思っています」
「ぼ、僕にとっても先生は先生です!」
ハルトと僕はレラッサ先生にそう告げると、レラッサ先生は困った表情を浮かべた後恥ずかしそうに笑ってくれた。
その後は僕達はかなりの時間を使って、各所に説明という名の擁護を求める事を話しまわった。
日数もかなりかかったけど終わった頃には3人共へとへとだったけど、その後にやってくるテストに苦笑いするしか無かった。
139
お気に入りに追加
2,586
あなたにおすすめの小説
モブらしいので目立たないよう逃げ続けます
餅粉
BL
ある日目覚めると見慣れた天井に違和感を覚えた。そしてどうやら僕ばモブという存存在らしい。多分僕には前世の記憶らしきものがあると思う。
まぁ、モブはモブらしく目立たないようにしよう。
モブというものはあまりわからないがでも目立っていい存在ではないということだけはわかる。そう、目立たぬよう……目立たぬよう………。
「アルウィン、君が好きだ」
「え、お断りします」
「……王子命令だ、私と付き合えアルウィン」
目立たぬように過ごすつもりが何故か第二王子に執着されています。
ざまぁ要素あるかも………しれませんね
普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。
かーにゅ
BL
「君は死にました」
「…はい?」
「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」
「…てんぷれ」
「てことで転生させます」
「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」
BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。
婚約破棄される悪役令嬢ですが実はワタクシ…男なんだわ
秋空花林
BL
「ヴィラトリア嬢、僕はこの場で君との婚約破棄を宣言する!」
ワタクシ、フラれてしまいました。
でも、これで良かったのです。
どのみち、結婚は無理でしたもの。
だってー。
実はワタクシ…男なんだわ。
だからオレは逃げ出した。
貴族令嬢の名を捨てて、1人の平民の男として生きると決めた。
なのにー。
「ずっと、君の事が好きだったんだ」
数年後。何故かオレは元婚約者に執着され、溺愛されていた…!?
この物語は、乙女ゲームの不憫な悪役令嬢(男)が元婚約者(もちろん男)に一途に追いかけられ、最後に幸せになる物語です。
幼少期からスタートするので、R 18まで長めです。
悪役令息の死ぬ前に
やぬい
BL
「あんたら全員最高の馬鹿だ」
ある日、高貴な血筋に生まれた公爵令息であるラインハルト・ニーチェ・デ・サヴォイアが突如として婚約者によって破棄されるという衝撃的な出来事が起こった。
彼が愛し、心から信じていた相手の裏切りに、しかもその新たな相手が自分の義弟だということに彼の心は深く傷ついた。
さらに冤罪をかけられたラインハルトは公爵家の自室に幽閉され、数日後、シーツで作った縄で首を吊っているのを発見された。
青年たちは、ラインハルトの遺体を抱きしめる男からその話を聞いた。その青年たちこそ、マークの元婚約者と義弟とその友人である。
「真実も分からないクセに分かった風になっているガキがいたからラインは死んだんだ」
男によって過去に戻された青年たちは「真実」を見つけられるのか。
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
なぜか第三王子と結婚することになりました
鳳来 悠
BL
第三王子が婚約破棄したらしい。そしておれに急に婚約話がやってきた。……そこまではいい。しかし何でその相手が王子なの!?会ったことなんて数えるほどしか───って、え、おれもよく知ってるやつ?身分偽ってたぁ!?
こうして結婚せざるを得ない状況になりました…………。
金髪碧眼王子様×黒髪無自覚美人です
ハッピーエンドにするつもり
長編とありますが、あまり長くはならないようにする予定です
乙女ゲームに転生したらチートだったけど平凡に生きたいのでとりあえず悪役令息付きの世話役になってみました。
ぽぽ
BL
転生したと思ったら乙女ゲーム?!
しかも俺は公式キャラじゃないと思ってたのにチートだった為に悪役令息に仕えることに!!!!!!
可愛い彼のために全身全霊善処します!……とか思ってたらなんかこれ展開が…BLゲームかッッ??!
表紙はフレドリックです!
Twitterやってますm(*_ _)m
あおば (@aoba_bl)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる