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私たちも部屋に戻って各自ソファやベッドなどでくつろぎ始めた。
私は母上が言っていた言葉。
これは多分今回の話が原因で、宰相が何かしらの対策をしてくるのではないのかと考えたのだろうか。
母上から貰ったネックレスの魔石を触り続けた。
小さな魔石なのにかなりの魔法が詰め込まれている。
ただ宰相からの返事を待っている時間は不思議と緊張や不安などは全くなかった。
「お母様がくれた物はなんだったの?」
イディが私の側で触っているネックレスを覗き見に来ていた。
「かなりの魔法が詰め込まれている。ここでどんな内容は話す事はできないが、何かあれば必ず私の元に駆け寄って欲しい」
「わかった。逃げる時はアデライトも一緒だよね?」
「どうだろうか。場合によっては私たちは犯罪者になってしまうから、アデライトを巻き込む訳にはいかないから連れて行けないかもしれない」
「そんな事を言われると悲しいね。私は絶対について行くからね」
アデライトもイディと同じように私の側に来ていた。
「置いて行ったら絶対に許さないからね?」
置いて行けば見つかった時はかなりめんどくさい事になりそうだ。
「逃げるときは私の側にくるんだ。どんな状況になっても納得してもらうからな?」
「勿論だよ。私はホロの側にいる事ができればそれでいいよ」
もし逃げるとなるとどこが良いのだろうか。
本物の聖女がいる帝国は距離が近いから、帝国は逃げ場としては最適ではない。
倭国という独特の文化を築いた国もあるみたいだが、その文化がどのような発展を遂げているか不明である。
一応の候補として入れておこう。
他にいい候補がないかと考えていたら、扉を叩く音がした。
「私です。入っても宜しいでしょうか?」
宰相の声であるのを確認し、精霊を使って本当に宰相なのか確認をしてもらった。
精霊によって宰相であることと、一人で来ている事の確認が取れたから入るように声をかけた。
「失礼致します」
あの万能な侍従を連れずにどうして一人で来たのだろうか。
「急な訪問申し訳なかったです。どうしてもお聞きしたい事がありましてこちらに伺いました」
宰相の聞きたい事、その言葉に体が勝手に身構えた。
同時に体が強張ったのをイディに察知されて、宰相から姿を隠すかのように私の前に立った。
「そんなに警戒なさらないで下さい。とって食おうと考えているわけではありませんから」
宰相はソファに腰を下ろし、私たちの方にしっかりとした視線を向けてきた。
「今回の件ですが、ホロくんの内容は一切伝えず国が保管している聖女の記録を元にハーレライト令嬢の体が乗っ取られたという事になりました。そしてハーレライト子爵の罰はなくなり、領地も子爵に返還される事になりました」
領地が戻るのであればあの面倒くさい貴族達を相手にしなくてもいいという事だな。
それが知ることができて満足だ。
「そしてホロくんと、ネヴィレント・ツェーリアとラグザンド・ツェーリアにも罰は下りません。陛下にも報告済みとの事と、教皇陛下も存じていたというのが大きな点になりました」
私たち家族には何も罰が下らないのはありがたかった。
でも宰相の表情は何故かニコニコと笑っている。
「そして魔王であるホロくんを繋ぎ止める為に、アデライトくんとの婚約期間を終了とし、結婚する事が決まりました」
完全に私への嫌がらせで行動しているだろう!?
私は母上が言っていた言葉。
これは多分今回の話が原因で、宰相が何かしらの対策をしてくるのではないのかと考えたのだろうか。
母上から貰ったネックレスの魔石を触り続けた。
小さな魔石なのにかなりの魔法が詰め込まれている。
ただ宰相からの返事を待っている時間は不思議と緊張や不安などは全くなかった。
「お母様がくれた物はなんだったの?」
イディが私の側で触っているネックレスを覗き見に来ていた。
「かなりの魔法が詰め込まれている。ここでどんな内容は話す事はできないが、何かあれば必ず私の元に駆け寄って欲しい」
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「そんな事を言われると悲しいね。私は絶対について行くからね」
アデライトもイディと同じように私の側に来ていた。
「置いて行ったら絶対に許さないからね?」
置いて行けば見つかった時はかなりめんどくさい事になりそうだ。
「逃げるときは私の側にくるんだ。どんな状況になっても納得してもらうからな?」
「勿論だよ。私はホロの側にいる事ができればそれでいいよ」
もし逃げるとなるとどこが良いのだろうか。
本物の聖女がいる帝国は距離が近いから、帝国は逃げ場としては最適ではない。
倭国という独特の文化を築いた国もあるみたいだが、その文化がどのような発展を遂げているか不明である。
一応の候補として入れておこう。
他にいい候補がないかと考えていたら、扉を叩く音がした。
「私です。入っても宜しいでしょうか?」
宰相の声であるのを確認し、精霊を使って本当に宰相なのか確認をしてもらった。
精霊によって宰相であることと、一人で来ている事の確認が取れたから入るように声をかけた。
「失礼致します」
あの万能な侍従を連れずにどうして一人で来たのだろうか。
「急な訪問申し訳なかったです。どうしてもお聞きしたい事がありましてこちらに伺いました」
宰相の聞きたい事、その言葉に体が勝手に身構えた。
同時に体が強張ったのをイディに察知されて、宰相から姿を隠すかのように私の前に立った。
「そんなに警戒なさらないで下さい。とって食おうと考えているわけではありませんから」
宰相はソファに腰を下ろし、私たちの方にしっかりとした視線を向けてきた。
「今回の件ですが、ホロくんの内容は一切伝えず国が保管している聖女の記録を元にハーレライト令嬢の体が乗っ取られたという事になりました。そしてハーレライト子爵の罰はなくなり、領地も子爵に返還される事になりました」
領地が戻るのであればあの面倒くさい貴族達を相手にしなくてもいいという事だな。
それが知ることができて満足だ。
「そしてホロくんと、ネヴィレント・ツェーリアとラグザンド・ツェーリアにも罰は下りません。陛下にも報告済みとの事と、教皇陛下も存じていたというのが大きな点になりました」
私たち家族には何も罰が下らないのはありがたかった。
でも宰相の表情は何故かニコニコと笑っている。
「そして魔王であるホロくんを繋ぎ止める為に、アデライトくんとの婚約期間を終了とし、結婚する事が決まりました」
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