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少しはコントロールできるようになり、若干アデライトの後ろに隠れながら私はパーティ会場を出た。
会場を出ればうるさかったのが嘘のように一気に鎮まり返った。

静かになっても私たちの間では会話が発生せず、私は大人しくアデライトに手を引かれている。
たどり着いたのは私とイディに用意された部屋で、先に私が部屋の中に入ってから続いてアデライトが部屋の中に入った。

パタンと扉が閉まり少し気まずい雰囲気になってしまった。
立ってるのもと思いベッドサイドに腰を掛ける。

アデライトは何故か私の隣に腰を下ろした。
私は距離を取ろうとして少しズレると、アデライトが追って私との距離を詰めてくる。

何度かこの不毛なやり取りをして、もうズレる場所がなくなり漸く私も距離をとる事を諦めた。

「逃げるのを諦めてくれた?」

私がアデライトから距離を取ろうとしてた事が、どうやらアデライトには逃げているように見えた様だ。

「少し距離が近いから、その幅を開けようとしただけだ…」

「その幅が空いていると、ホロは私の側から逃げれちゃうでしょ?今日はホロが寝るのを見るまでは、私はホロの側から離れないからね」

アデライトにずいっと迫られ、顔を背ける事しかできなかった。
そしてアデライトの宣言通り、風呂とかトイレは除く全ての行動の隣にアデライトがいる事となった。

寝る前の風呂上がりは髪の毛もしっかりとアデライトに拭かれ、その後は魔法でゆっくりと乾かされていく。
貴族令息の筈なのにアデライトは何故こんな事迄できるのだろうか。

大人しく髪を乾かされながら、アデライトの丁寧で優しい扱いに困惑しながら受け入れた。
髪が綺麗に乾かされた後は、問答無用でベッドに連れて行かれた。

座らせてくれる事もなくしっかりと布団の中に寝かしつけられ、アデライトはベッド横に椅子を置いて本当に私が寝るまで見守るつもりだ。
ちらっとアデライトの表情を見れば何故か穏やかに笑っている。

私にあれだけ世話を焼いたのに、何故笑っていられるのだろうか。
不思議に思って私は無意識にアデライトの頬に手を伸ばしていた。

「どうしたの?」

優しく手を掴まれて私は漸くアデライトに手を伸ばしている事に気がついた。

「その、なんでもないっ!」

掴まれた手を振り解いて、私は頭まで布団を被った。
一体私はアデライトに手を伸ばして何がしたかったんだ!?

無意識でこんな行動を起こすなんて思っても見なかった。

「どうしたのかわからないけど、今日はもうゆっくりお休み。私はずっと側にいるからね」

布団の上からゆっくりと頭を撫でられる。
どうしてアデライトはこんな私を好いて、ここまで良くしてくれるのだろうか。

イディにもアデライトにも一切返事をしない私にここまでする理由はなんなのだろうか。
そんな考えを頭の中でぐるぐるさせながら、私はゆっくりと目を瞑った。
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