子悪党令息の息子として生まれました

菟圃(うさぎはたけ)

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「今日はホロの晴れ舞台だよ。今ここで魔王だってバレてしまえばイディだけじゃなく、ツェーリア伯爵子息夫妻も糾弾されてしまう可能性がある。だからどうか家族の為に怒りを抑えて」

アデライトの考えはわかるけど、どうしてもあいつらを許すことができない。
頑張って塞いでいる手を剥がそうと必死になる。

「ホロごめんね」

口を塞がれたままテラス迄連れて行かれた。
漸く塞がれていた口が解放された。

「何故邪魔をした!あいつらはこの世界には必要のない存在だ」

「確かに必要のない存在だと思うよ。でもここで事を起こして仕舞えば、ホロだけじゃないホロの家族も沢山傷つく事になるんだ」

「私が全てを殺して仕舞えば問題ないだろう。アデライトお前は魔王の降臨を願っていたではないか」

「願ってはいたよ、君に出会った当初は。でも今は魔王とか関係なくホロの事だけを愛しているんだ」

少したじろいでしまった。

「ホロが私にもイディにも向き合えていない事もわかっている。でも、私もイディもずっと前からホロの事を愛しているんだ。だからホロが悲しむ結果に繋がる事は起こして欲しくない」

真剣に私の事も、家族の事も気にしてくれている。

「本当はホロの手をこれ以上汚して欲しくもない。でも、君には今後職務もあるからそれをいうのは私の我儘だと知っている。だから私は職務以外で手を汚す姿は見たくないんだ」

「わ、私は…」

アデライトの話に何も返してあげることができない。
どう返してあげるのか正解がわからない。

「困惑させてしまったね。今日のパーティは早めに退出させてもらおう」

「宰相との話が…」

「それは明日でもできるよ。今はその感情を抑えなきゃいけないからね」

私が普段と違って何かおかしい所でもあるのか?
いらない物を殺そうとしただけなのに。

「ホロ今笑っているのに気がついていないの?」

その言葉に私は自分の頬や口元を触った。
アデライトの言葉通り、私の口角は上がっていて笑っている。

ただ貴族の笑い方ではなくて、力を振ると知った時の狂気じみた笑みだ。
私は先ほどの貴族達を殺せる事に喜びを感じていたのか?

「漸く気がつけたようだね。多分魔王としての気質は残ったままだから、人を殺す事に愉悦を感じてしまうんだろうね」

納得せざるを得ない内容だった。
魔王としての存在のままで私はホロとして生まれ落ちた。

だから魔王の気質は残ったままになってしまったのかもしれない。

「感情を落ち着けるのは難しいから、表情がコントロールできるようになってからここから出ようか」

すまない。
そんな言葉を紡ぐ価値は私にあるのだろうか。

ただアデライトはそれ以上話す事もなく、私が落ち着くまでずっと側にいてくれた。
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