上 下
95 / 120
2

36

しおりを挟む
アデライトに手を引かれながら、私とイディが一時的に暮らしている部屋まで連れられていった。

「アデライト何故私たちの部屋を知っているんだ?」

「権力を使えば一瞬で分かるよ。私は一応王族の親戚だからね」

そういえば第三王子が父親であった事をすっかり忘れていた。

「先にお風呂に入っておいで。メイド達にしっかりと洗って貰うんだよ」

念押しされてお風呂場に詰め込まれた。
メイド達が既に待機していて、私の羞恥心とか関係なくあっさりと服を剥かれ湯船に入れられた。

丁寧に洗われ、マッサージ迄しっかりとされる。
湯船に浸かりながらヘアオイルや、爪も綺麗に整えられて一体私はどこぞのパーティに連れて行かれるのかと思うぐらい綺麗にされている。

お風呂に出てからしっかりと拭かれて、髪は魔法で時間をかけてゆっくりと乾かされた。
ここまで丁寧だけど手早く綺麗にしてくれるメイド達の技術力の高さがうかがえる。

最後に室内用の服迄着付けして貰い、漸くお風呂場からでる事ができた。
風呂から出ればイディとアデライト以外に宰相が侍従と変わってくつろいでいた。

「そのご様子ではメイド達の洗礼を受けたようですね。しかし綺麗にされていますね」

「王城のメイドは皆ああなのか?」

「違う人を磨いてそれをどれだけ綺麗にできるかを生き甲斐にしている者ばかりですからね」

宰相が嬉しそうにしているのを見ている限り、この人がメイド達を手配をしたんだろう。
ソファに腰を掛けて足を組んだ。

「イディ、アデライト待たせてしまってすまない」

二人に向かって話したのに何故か返答が返ってこない。
アデライトとイディの顔を見れば二人とも何故か固まっている。

「どうしたんだ?」

手を振っても二人は全く反応しない。

「宰相様この二人壊れてしまったのですが」

「君が思っている以上に綺麗になって出てきたからじゃないかな?」

「私が?」

鏡で見たが普段とそこまで変わっているように思わなかったんだが。

「そこまで変わったように思えないが…」

「自分自身ではわからないみたいですね。私もメイド達に磨き上げられた時は女性にかなり言い寄られました」

宰相の困った表情は事実なんだと悟ってしまった。
多分私は女性に言い寄られることはないだろうが、問題は目の前にいるこの二人だ。

一応私に手を出した実績があるから、これが嫌な方向に働かないといいが。
二人が復活するまで宰相とのんびりお茶会することにした。

漸く復帰した頃には私たちのカップから紅茶がなくなっていた。

「ここまで磨けなんていってない…。これでは目の毒ではないか」

「ホロが綺麗になってる」

二人揃って馬鹿なのだろうか。
カップをソーサーに置き小さくため息を吐いた。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

キスから始まる主従契約

毒島らいおん
BL
異世界に召喚された挙げ句に、間違いだったと言われて見捨てられた葵。そんな葵を助けてくれたのは、美貌の公爵ローレルだった。 ローレルの優しげな雰囲気に葵は惹かれる。しかも向こうからキスをしてきて葵は有頂天になるが、それは魔法で主従契約を結ぶためだった。 しかも週に1回キスをしないと死んでしまう、とんでもないもので――。 ◯ それでもなんとか彼に好かれようとがんばる葵と、実は腹黒いうえに秘密を抱えているローレルが、過去やら危機やらを乗り越えて、最後には最高の伴侶なるお話。 (全48話・毎日12時に更新)

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

聖女の兄で、すみません!

たっぷりチョコ
BL
聖女として呼ばれた妹の代わりに異世界に召喚されてしまった、古河大矢(こがだいや)。 三ヶ月経たないと元の場所に還れないと言われ、素直に待つことに。 そんな暇してる大矢に興味を持った次期国王となる第一王子が話しかけてきて・・・。 BL。ラブコメ異世界ファンタジー。

モラトリアムは物書きライフを満喫します。

星坂 蓮夜
BL
本来のゲームでは冒頭で死亡する予定の大賢者✕元39歳コンビニアルバイトの美少年悪役令息 就職に失敗。 アルバイトしながら文字書きしていたら、気づいたら39歳だった。 自他共に認めるデブのキモオタ男の俺が目を覚ますと、鏡には美少年が映っていた。 あ、そういやトラックに跳ねられた気がする。 30年前のドット絵ゲームの固有グラなしのモブ敵、悪役貴族の息子ヴァニタス・アッシュフィールドに転生した俺。 しかし……待てよ。 悪役令息ということは、倒されるまでのモラトリアムの間は貧困とか経済的な問題とか考えずに思う存分文字書きライフを送れるのでは!? ☆ ※この作品は一度中断・削除した作品ですが、再投稿して再び連載を開始します。 ※この作品は小説家になろう、エブリスタ、Fujossyでも公開しています。

「婚約を破棄する!」から始まる話は大抵名作だと聞いたので書いてみたら現実に婚約破棄されたんだが

ivy
BL
俺の名前はユビイ・ウォーク 王弟殿下の許嫁として城に住む伯爵家の次男だ。 余談だが趣味で小説を書いている。 そんな俺に友人のセインが「皇太子的な人があざとい美人を片手で抱き寄せながら主人公を指差してお前との婚約は解消だ!から始まる小説は大抵面白い」と言うものだから書き始めて見たらなんとそれが現実になって婚約破棄されたんだが? 全8話完結

第十王子は天然侍従には敵わない。

きっせつ
BL
「婚約破棄させて頂きます。」 学園の卒業パーティーで始まった九人の令嬢による兄王子達の断罪を頭が痛くなる思いで第十王子ツェーンは見ていた。突如、その断罪により九人の王子が失脚し、ツェーンは王太子へと位が引き上げになったが……。どうしても王になりたくない王子とそんな王子を慕うド天然ワンコな侍従の偽装婚約から始まる勘違いとすれ違い(考え方の)のボーイズラブコメディ…の予定。※R 15。本番なし。

婚約破棄された悪役令息は従者に溺愛される

田中
BL
BLゲームの悪役令息であるリアン・ヒスコックに転生してしまった俺は、婚約者である第二王子から断罪されるのを待っていた! なぜなら断罪が領地で療養という軽い処置だから。 婚約破棄をされたリアンは従者のテオと共に領地の屋敷で暮らすことになるが何気ないリアンの一言で、テオがリアンにぐいぐい迫ってきてーー?! 従者×悪役令息

弟、異世界転移する。

ツキコ
BL
兄依存の弟が突然異世界転移して可愛がられるお話。たぶん。 のんびり進行なゆるBL

処理中です...