87 / 120
2
28
しおりを挟む
侍従に案内された場所は王城の地下にある牢屋だった。
私が知っている牢屋とは違って、明るく匂いは全然しない。
「この様な場所にお連れしてしまい大変申し訳ございません。まだ内密のお話になるのですが、魅了魔法の使い手を捕獲する事に成功致しました」
一体いつの間に魅了魔法の使い手を捕まえたんだろう。
私の聴力が届く範囲外で行われていたんだろうか。
「捕まったのであれば良い事なのに、何故そのように険しい顔をしているんだ?」
「捕まえたまではよかったのですが、その後に問題が発生してしまったのです。何故か尋問も拷問も全て行えなく、情報を出させる事ができなかったのです」
「どういう事だ?」
「尋問を行おうとすると口が強制的に閉じられ、拷問を行おうとすると道具が全て壊れる。その摩訶不思議な現象が起こってしまったのです」
侍従が話している内容が現実で起きているとは思えなかった。
「そして情報を話すのであれば、ホロ様を連れてこいと言われたのです」
「なんでホロだけなの」
腕を引っ張られイディによって歩くのを静止させられた。
「私たちもわかりかねます。聞こうとすれば口を噤まされ話す事すら叶わないのです。ですが、ホロ様お一人だけで相手と会わせる事は決してありません。必ず騎士と魔法使いが一緒におります」
「僕も一緒はダメなの?」
「申し訳ございませんが、安全の為にホロ様と騎士と魔法使いのみになります」
侍従は全く折れず最終的にイディに相手と会わさせる事を了承させた。
私の事については頑固なイディを折れさせるなんてこの侍従矢張りかなりのやり手だな。
「それでは案内を再開致します。後少しで着きますが、騒がしくなる可能性がございますのでご注意下さい」
最初侍従が言っている事がわからなかったが、少し進めば侍従が騒がしいと言っていた理由が分かった。
まだその場所に辿り着いていないのにあの女の叫び声が聞こえてくる。
魅了魔法の使い手があの女だったなんて…。
ツェーリア伯爵家はお祖父様を除いて女難の相でもあるというのか?
「あたしはヒロインなのよ!こんな所にいていいわけがないじゃない!早くここから出してよ!」
今まで聞いてきた声の中でもダントツでうるさい。
これ捕まってからずっと叫び続けているのだろうか。
「こちらが魅了魔法の使い手の監禁場所でございます」
部屋の前にくれば一段とあの女の声がうるさく聞こえる。
「この中に待機室がございまして、その待機室の中に騎士と魔法使いがおります。そのお二人と一緒に中に入って頂き魅了魔法の使い手から話を聞き出してください」
侍従が扉を開けると話通り騎士と魔法使いが待っていた。
騎士はただの騎士ではなく王宮所属の実力が高い騎士。
魔法使いはこれまた王宮所属の実力が高い魔法使いだった。
「お待ちしておりました。先に私が入りますのでその後にツェーリア伯爵子息様、そして魔法使いが入ります」
「ああ、分かった」
騎士が先に扉を開けると何故かあの女の叫び声が止んだ。
「あたしを助けにきて下さったのですね!?」
「静かにしろ。お前の要望通りに高貴な方を連れきてやった」
騎士の後ろから姿を現すとあの女は驚いた表情をしていた。
私を呼んだのに何故驚いた表情をしているんだ。
あの女の前に用意されている椅子に腰を下ろし足を組んだ。
「それではお前が要望している話とやらを聞いてやろうではないか」
私が話せばあの女の表情は真っ青になった。
私が知っている牢屋とは違って、明るく匂いは全然しない。
「この様な場所にお連れしてしまい大変申し訳ございません。まだ内密のお話になるのですが、魅了魔法の使い手を捕獲する事に成功致しました」
一体いつの間に魅了魔法の使い手を捕まえたんだろう。
私の聴力が届く範囲外で行われていたんだろうか。
「捕まったのであれば良い事なのに、何故そのように険しい顔をしているんだ?」
「捕まえたまではよかったのですが、その後に問題が発生してしまったのです。何故か尋問も拷問も全て行えなく、情報を出させる事ができなかったのです」
「どういう事だ?」
「尋問を行おうとすると口が強制的に閉じられ、拷問を行おうとすると道具が全て壊れる。その摩訶不思議な現象が起こってしまったのです」
侍従が話している内容が現実で起きているとは思えなかった。
「そして情報を話すのであれば、ホロ様を連れてこいと言われたのです」
「なんでホロだけなの」
腕を引っ張られイディによって歩くのを静止させられた。
「私たちもわかりかねます。聞こうとすれば口を噤まされ話す事すら叶わないのです。ですが、ホロ様お一人だけで相手と会わせる事は決してありません。必ず騎士と魔法使いが一緒におります」
「僕も一緒はダメなの?」
「申し訳ございませんが、安全の為にホロ様と騎士と魔法使いのみになります」
侍従は全く折れず最終的にイディに相手と会わさせる事を了承させた。
私の事については頑固なイディを折れさせるなんてこの侍従矢張りかなりのやり手だな。
「それでは案内を再開致します。後少しで着きますが、騒がしくなる可能性がございますのでご注意下さい」
最初侍従が言っている事がわからなかったが、少し進めば侍従が騒がしいと言っていた理由が分かった。
まだその場所に辿り着いていないのにあの女の叫び声が聞こえてくる。
魅了魔法の使い手があの女だったなんて…。
ツェーリア伯爵家はお祖父様を除いて女難の相でもあるというのか?
「あたしはヒロインなのよ!こんな所にいていいわけがないじゃない!早くここから出してよ!」
今まで聞いてきた声の中でもダントツでうるさい。
これ捕まってからずっと叫び続けているのだろうか。
「こちらが魅了魔法の使い手の監禁場所でございます」
部屋の前にくれば一段とあの女の声がうるさく聞こえる。
「この中に待機室がございまして、その待機室の中に騎士と魔法使いがおります。そのお二人と一緒に中に入って頂き魅了魔法の使い手から話を聞き出してください」
侍従が扉を開けると話通り騎士と魔法使いが待っていた。
騎士はただの騎士ではなく王宮所属の実力が高い騎士。
魔法使いはこれまた王宮所属の実力が高い魔法使いだった。
「お待ちしておりました。先に私が入りますのでその後にツェーリア伯爵子息様、そして魔法使いが入ります」
「ああ、分かった」
騎士が先に扉を開けると何故かあの女の叫び声が止んだ。
「あたしを助けにきて下さったのですね!?」
「静かにしろ。お前の要望通りに高貴な方を連れきてやった」
騎士の後ろから姿を現すとあの女は驚いた表情をしていた。
私を呼んだのに何故驚いた表情をしているんだ。
あの女の前に用意されている椅子に腰を下ろし足を組んだ。
「それではお前が要望している話とやらを聞いてやろうではないか」
私が話せばあの女の表情は真っ青になった。
237
お気に入りに追加
601
あなたにおすすめの小説

アルファな俺が最推しを救う話〜どうして俺が受けなんだ?!〜
車不
BL
5歳の誕生日に階段から落ちて頭を打った主人公は、自身がオメガバースの世界を舞台にしたBLゲームに転生したことに気づく。「よりにもよってレオンハルトに転生なんて…悪役じゃねぇか!!待てよ、もしかしたらゲームで死んだ最推しの異母兄を助けられるかもしれない…」これは第二の性により人々の人生や生活が左右される世界に疑問を持った主人公が、最推しの死を阻止するために奮闘する物語である。

聖女の兄で、すみません!
たっぷりチョコ
BL
聖女として呼ばれた妹の代わりに異世界に召喚されてしまった、古河大矢(こがだいや)。
三ヶ月経たないと元の場所に還れないと言われ、素直に待つことに。
そんな暇してる大矢に興味を持った次期国王となる第一王子が話しかけてきて・・・。
BL。ラブコメ異世界ファンタジー。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

マリオネットが、糸を断つ時。
せんぷう
BL
異世界に転生したが、かなり不遇な第二の人生待ったなし。
オレの前世は地球は日本国、先進国の裕福な場所に産まれたおかげで何不自由なく育った。確かその終わりは何かの事故だった気がするが、よく覚えていない。若くして死んだはずが……気付けばそこはビックリ、異世界だった。
第二生は前世とは正反対。魔法というとんでもない歴史によって構築され、貧富の差がアホみたいに激しい世界。オレを産んだせいで母は体調を崩して亡くなったらしくその後は孤児院にいたが、あまりに酷い暮らしに嫌気がさして逃亡。スラムで前世では絶対やらなかったような悪さもしながら、なんとか生きていた。
そんな暮らしの終わりは、とある富裕層らしき連中の騒ぎに関わってしまったこと。不敬罪でとっ捕まらないために背を向けて逃げ出したオレに、彼はこう叫んだ。
『待て、そこの下民っ!! そうだ、そこの少し小綺麗な黒い容姿の、お前だお前!』
金髪縦ロールにド派手な紫色の服。装飾品をジャラジャラと身に付け、靴なんて全然汚れてないし擦り減ってもいない。まさにお貴族様……そう、貴族やら王族がこの世界にも存在した。
『貴様のような虫ケラ、本来なら僕に背を向けるなどと斬首ものだ。しかし、僕は寛大だ!!
許す。喜べ、貴様を今日から王族である僕の傍に置いてやろう!』
そいつはバカだった。しかし、なんと王族でもあった。
王族という権力を振り翳し、盾にするヤバい奴。嫌味ったらしい口調に人をすぐにバカにする。気に入らない奴は全員斬首。
『ぼ、僕に向かってなんたる失礼な態度っ……!! 今すぐ首をっ』
『殿下ったら大変です、向こうで殿下のお好きな竜種が飛んでいた気がします。すぐに外に出て見に行きませんとー』
『なにっ!? 本当か、タタラ! こうしては居られぬ、すぐに連れて行け!』
しかし、オレは彼に拾われた。
どんなに嫌な奴でも、どんなに周りに嫌われていっても、彼はどうしようもない恩人だった。だからせめて多少の恩を返してから逃げ出そうと思っていたのに、事態はどんどん最悪な展開を迎えて行く。
気に入らなければ即断罪。意中の騎士に全く好かれずよく暴走するバカ王子。果ては王都にまで及ぶ危険。命の危機など日常的に!
しかし、一緒にいればいるほど惹かれてしまう気持ちは……ただの忠誠心なのか?
スラム出身、第十一王子の守護魔導師。
これは運命によってもたらされた出会い。唯一の魔法を駆使しながら、タタラは今日も今日とてワガママ王子の手綱を引きながら平凡な生活に焦がれている。
※BL作品
恋愛要素は前半皆無。戦闘描写等多数。健全すぎる、健全すぎて怪しいけどこれはBLです。
.

兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜
紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。
ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。
そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?



モラトリアムは物書きライフを満喫します。
星坂 蓮夜
BL
本来のゲームでは冒頭で死亡する予定の大賢者✕元39歳コンビニアルバイトの美少年悪役令息
就職に失敗。
アルバイトしながら文字書きしていたら、気づいたら39歳だった。
自他共に認めるデブのキモオタ男の俺が目を覚ますと、鏡には美少年が映っていた。
あ、そういやトラックに跳ねられた気がする。
30年前のドット絵ゲームの固有グラなしのモブ敵、悪役貴族の息子ヴァニタス・アッシュフィールドに転生した俺。
しかし……待てよ。
悪役令息ということは、倒されるまでのモラトリアムの間は貧困とか経済的な問題とか考えずに思う存分文字書きライフを送れるのでは!?
☆
※この作品は一度中断・削除した作品ですが、再投稿して再び連載を開始します。
※この作品は小説家になろう、エブリスタ、Fujossyでも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる