53 / 120
1
53
しおりを挟む
「君自身私の理想そのものだったから、魔王としてなってしまった場合無垢な子供の面倒を見なければならないと思っていたから…。こんな最高な事があるとは思いもしなかった!」
私に気に入られたいのであれば先ほどの行動は控えるべきだろ。
そんな考えが頭の中でよぎりつつ、目の前で興奮したように話すアデライトの対応をどうしようかと頭を悩ませた。
「魔王が既に存在していただなんて…一体何があったんだ?」
「今は修道女となった聖女の事は覚えているか?」
「ああ。むしろあの女を忘れる方が難しいものだ」
「私の可愛いネヴィがあの女に殺されそうになった時に魔王がネヴィの中で生まれた」
「それは1回目の時か?」
「いいや、2回目の時だ。ネヴィが森の中で逃げ惑っていた時だ。あの時はネヴィが魔王の意識に乗っ取られた状態で、伯爵家に戻ってきた」
そうだったな。
あの時は母上の家族が魔王に乗っ取られたという絶望を突きつける為に戻ったのだったな。
うんうんと、頷いて話を聞いている。
「私のネヴィは本当に凄いもので魔王に意図的に意識の主導権を渡された途端に、魔王の力を封印して魔王の意識を表に出せないようにしたんだ」
父上よ話を端折りすぎた。
貴方は私が作り出した命のない魔族と戦闘を行っていただろう。
自身の話をするより母上を持ち上げる話ばかりを行っている。
現状脱線せずに話しているが、母上自慢ばかり続くのであれば止めさせてもらうからな。
「それならば何故魔王の存在を公表しなかったのだ」
「公表できる訳がなかろう。国王が認めた聖女が魔王を呼び込んだ原因になったんだ。その尻拭いを行いたくないが為に、国家機密にして話を広げないようにしたんだ。考えればわかる事だ」
「ああ…父上の行動が原因だったのか。例え可愛がっている甥が巻き込まれた事であっても、あの人にとっては権力の方が大事だったな」
あの国王はそんなに碌でもない人間だったのか。
あの碌でもない国王であったから、私の存在についての追求がなされずこうして紛いものの平和の中で生きていれるのだろう。
「封印後はネヴィが魔王と約束して我が子として産むことにしたんだ。だからホロは魔王としての記憶を持ったままこの世に生まれたんだ」
「そうだったのか」
「だからホロは既に魔王として存在しているが、力は全て封印されているから魔王の力は一切行使できないがな」
魔王としての力はなくとも膨大な魔力を持っているから、下手な魔導士よりも上の能力を持っている。
「それでも魔王としての思考があれば危ないのではないのか?」
「いや、ホロはこの世界に馴染もうと努力しているから危険性は全くない。だからホロを殺そうとか考えるんじゃないぞ」
「君を敵に回したくないからそんな事は考えないよ」
殺されるというのはどうやら無いようだ。
「理由もわかったようだから婚約はなかったことに」
「なかった事にはできない。一度書面を交わしてしまったから簡単には解消はできないよ」
私に気に入られたいのであれば先ほどの行動は控えるべきだろ。
そんな考えが頭の中でよぎりつつ、目の前で興奮したように話すアデライトの対応をどうしようかと頭を悩ませた。
「魔王が既に存在していただなんて…一体何があったんだ?」
「今は修道女となった聖女の事は覚えているか?」
「ああ。むしろあの女を忘れる方が難しいものだ」
「私の可愛いネヴィがあの女に殺されそうになった時に魔王がネヴィの中で生まれた」
「それは1回目の時か?」
「いいや、2回目の時だ。ネヴィが森の中で逃げ惑っていた時だ。あの時はネヴィが魔王の意識に乗っ取られた状態で、伯爵家に戻ってきた」
そうだったな。
あの時は母上の家族が魔王に乗っ取られたという絶望を突きつける為に戻ったのだったな。
うんうんと、頷いて話を聞いている。
「私のネヴィは本当に凄いもので魔王に意図的に意識の主導権を渡された途端に、魔王の力を封印して魔王の意識を表に出せないようにしたんだ」
父上よ話を端折りすぎた。
貴方は私が作り出した命のない魔族と戦闘を行っていただろう。
自身の話をするより母上を持ち上げる話ばかりを行っている。
現状脱線せずに話しているが、母上自慢ばかり続くのであれば止めさせてもらうからな。
「それならば何故魔王の存在を公表しなかったのだ」
「公表できる訳がなかろう。国王が認めた聖女が魔王を呼び込んだ原因になったんだ。その尻拭いを行いたくないが為に、国家機密にして話を広げないようにしたんだ。考えればわかる事だ」
「ああ…父上の行動が原因だったのか。例え可愛がっている甥が巻き込まれた事であっても、あの人にとっては権力の方が大事だったな」
あの国王はそんなに碌でもない人間だったのか。
あの碌でもない国王であったから、私の存在についての追求がなされずこうして紛いものの平和の中で生きていれるのだろう。
「封印後はネヴィが魔王と約束して我が子として産むことにしたんだ。だからホロは魔王としての記憶を持ったままこの世に生まれたんだ」
「そうだったのか」
「だからホロは既に魔王として存在しているが、力は全て封印されているから魔王の力は一切行使できないがな」
魔王としての力はなくとも膨大な魔力を持っているから、下手な魔導士よりも上の能力を持っている。
「それでも魔王としての思考があれば危ないのではないのか?」
「いや、ホロはこの世界に馴染もうと努力しているから危険性は全くない。だからホロを殺そうとか考えるんじゃないぞ」
「君を敵に回したくないからそんな事は考えないよ」
殺されるというのはどうやら無いようだ。
「理由もわかったようだから婚約はなかったことに」
「なかった事にはできない。一度書面を交わしてしまったから簡単には解消はできないよ」
237
お気に入りに追加
601
あなたにおすすめの小説

兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜
紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。
ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。
そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?

モラトリアムは物書きライフを満喫します。
星坂 蓮夜
BL
本来のゲームでは冒頭で死亡する予定の大賢者✕元39歳コンビニアルバイトの美少年悪役令息
就職に失敗。
アルバイトしながら文字書きしていたら、気づいたら39歳だった。
自他共に認めるデブのキモオタ男の俺が目を覚ますと、鏡には美少年が映っていた。
あ、そういやトラックに跳ねられた気がする。
30年前のドット絵ゲームの固有グラなしのモブ敵、悪役貴族の息子ヴァニタス・アッシュフィールドに転生した俺。
しかし……待てよ。
悪役令息ということは、倒されるまでのモラトリアムの間は貧困とか経済的な問題とか考えずに思う存分文字書きライフを送れるのでは!?
☆
※この作品は一度中断・削除した作品ですが、再投稿して再び連載を開始します。
※この作品は小説家になろう、エブリスタ、Fujossyでも公開しています。

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。

小学生のゲーム攻略相談にのっていたつもりだったのに、小学生じゃなく異世界の王子さま(イケメン)でした(涙)
九重
BL
大学院修了の年になったが就職できない今どきの学生 坂上 由(ゆう) 男 24歳。
半引きこもり状態となりネットに逃げた彼が見つけたのは【よろず相談サイト】という相談サイトだった。
そこで出会ったアディという小学生? の相談に乗っている間に、由はとんでもない状態に引きずり込まれていく。
これは、知らない間に異世界の国家育成にかかわり、あげく異世界に召喚され、そこで様々な国家の問題に突っ込みたくない足を突っ込み、思いもよらぬ『好意』を得てしまった男の奮闘記である。
注:主人公は女の子が大好きです。それが苦手な方はバックしてください。
*ずいぶん前に、他サイトで公開していた作品の再掲載です。(当時のタイトル「よろず相談サイト」)
新訳 美女と野獣 〜獣人と少年の物語〜
若目
BL
いまはすっかり財政難となった商家マルシャン家は父シャルル、長兄ジャンティー、長女アヴァール、次女リュゼの4人家族。
妹たちが経済状況を顧みずに贅沢三昧するなか、一家はジャンティーの頑張りによってなんとか暮らしていた。
ある日、父が商用で出かける際に、何か欲しいものはないかと聞かれて、ジャンティーは一輪の薔薇をねだる。
しかし、帰る途中で父は道に迷ってしまう。
父があてもなく歩いていると、偶然、美しく奇妙な古城に辿り着く。
父はそこで、庭に薔薇の木で作られた生垣を見つけた。
ジャンティーとの約束を思い出した父が薔薇を一輪摘むと、彼の前に怒り狂った様子の野獣が現れ、「親切にしてやったのに、厚かましくも薔薇まで盗むとは」と吠えかかる。
野獣は父に死をもって償うように迫るが、薔薇が土産であったことを知ると、代わりに子どもを差し出すように要求してきて…
そこから、ジャンティーの運命が大きく変わり出す。
童話の「美女と野獣」パロのBLです

騎士団で一目惚れをした話
菫野
BL
ずっと側にいてくれた美形の幼馴染×主人公
憧れの騎士団に見習いとして入団した主人公は、ある日出会った年上の騎士に一目惚れをしてしまうが妻子がいたようで爆速で失恋する。

転生したけどやり直す前に終わった【加筆版】
リトルグラス
BL
人生を無気力に無意味に生きた、負け組男がナーロッパ的世界観に転生した。
転生モノ小説を読みながら「俺だってやり直せるなら、今度こそ頑張るのにな」と、思いながら最期を迎えた前世を思い出し「今度は人生を成功させる」と転生した男、アイザックは子供時代から努力を重ねた。
しかし、アイザックは成人の直前で家族を処刑され、平民落ちにされ、すべてを失った状態で追放された。
ろくなチートもなく、あるのは子供時代の努力の結果だけ。ともに追放された子ども達を抱えてアイザックは南の港町を目指す──
***
第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20)
**

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる