子悪党令息の息子として生まれました

菟圃(うさぎはたけ)

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部屋の真ん中にある服に近づいて、じっくりと眺めた。
父上がこの服を選んだとは思えないぐらいだ。

普段父上が選ぶのはフリルがついた物が多いが、今回の服はフリルが殆どなくて子供向けというよりは大人向けの服を子供用に合わせた服みたいだ。

「これが良い」

「だろうね。ホロの反応的にこれを選ぶだろうって思ってた」

母上は私が選ぶ前からこの服を選ぶと分かっていたんだろう。
だから別室に置いて最後に回したんだろう。

「決まったみたいだな」

いつの間にか父上とイディが部屋に入って来ていた。

「ホロの衣装凄くかっこいいね!」

私の側にイディが駆け寄ってきて一緒に私の衣装を見ている。

「だろう?私もこの服はとても気に入った」

「僕も衣装をお父様と一緒に決めたからホロにも見て欲しいな」

「見に行こうか」

母上と父上の方に視線を向ければ二人とも頷いていて、見に行っても良いという許可を得ることができた。
イディが嬉しそうに笑いながら手を引いて自身の衣装の所まで案内してくれる。

「僕の衣装お母様が決めてくれたみたいで、いつもみたいにかっこいいけど違うかっこいいなんだ!」

多分私と同じ感じで大人が着るような服をイディに合わせたような服が飾ってあったんだろう。

「そうなのか。衣装を着た時は最初に私に見せてくれるか?」

「もちろんだよ!絶対ホロが最初に見てね?」

イディの服が飾られている部屋に到着して中に入ると、私の色とは真逆の白を基調とした物で同じように短パンではなく長ズボンになっていた。
中のシャツは私の色とお揃いで青を基調としたもので、ボタンも私と同じ宝石で作られていた。

「ホロとお揃いですっごくかっこいいでしょ?」

「そうだな。イディが着たらとてもかっこいいだろうな」

「へへへ…そう言って貰えるとすっごく嬉しい」

喜ぶイディがかなり可愛くて頑張って背伸びしながらイディの頭を撫でた。
ここ最近でまた身長差をつけられてしまって最近は頭を撫でるのも一苦労だ。

撫でられるのが嬉しかったイディは目を細めている。

「二人とも本当に早いね」

母上と父上が遅れながら部屋の中に入ってきた。

「お父様お母様、このシャツについてるボタンは何でできているんですか?僕この宝石見たことがなくて」

「私も聞きたい。この宝石の知識がないと今後笑いものになってしまうかもしれない」

「この宝石はラグが説明して上げて」

「そうだな」

母上は父上に説明を任せ父上が私たちの元に来た。

「今回ボタンとして使用されている宝石の種類は大まかな検討はついているか?」

「んー、青っぽいからサファイアかタンザナイトかと思ったんだけど、ちょっと色味が違うなって思うんだよね」

「私の持っている知識の中では宝石やその他類似品で似たような物は、イディと同じ様な物しか思い浮かばなかった」

「二人とも知らなくても仕方がない。これは精霊の祝福が込められた魔石なのだから」

精霊の祝福が込められた魔石?
精霊の祝福を魔石に閉じ込められるなんて聞いたこともなければ、本にも書かれているのが見たことがない。

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