子悪党令息の息子として生まれました

菟圃(うさぎはたけ)

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「あれ?今日の授業の内容変わった事言ってなかった?」

母上の拷問術の授業を受ける為の道具を危うく落としかけた。

「侍従からも聞いてないが…」

「おかしいなー?ちゃんと伝えたんだけど…ま、特に必要な物がないから別にいっか!」

母上のあっけらかんな反応はいつも通りすぎて逆に力が抜けてしまった。
部屋の端にある机の上に拷問の器具を置いて、私は母上の近くにある椅子に腰を掛けた。

「それで今日の授業はなんなのだ?」

「今日は授業というよりは衣装合わせだね」

「衣装合わせ?」

「うん。6歳の時に貴族は学院に入学するから、先に顔合わせをする機会があるの。その6歳のパーティが後一ヶ月を切っているから衣装を決めないといけなくてね」

「もっと早く決める事ができなかったのか?」

「僕は早く決めたかったんだけど、一番悩んだのがラグの方でね…。特にホロの衣装を複数に絞るのに五ヶ月も掛かったよ」

母上原因ではなく父上原因だったとは。
まさかの原因で空いた口が塞がらなかった。

「しかし、私たちは曲がりなりにも兄弟ではあるから衣装はセットになるのではないのか?」

「その事も考えたんだけど、やっぱり二人の初部隊でもあるから服は好きなように選ばせようって事に決まってね。最低ラインを決めて僕たちが選んで、最終はホロとイディに選んでもらう事にしたんだ」

母上がそう言うと手を叩いた。
手を叩いたのが合図かの様に侍従達が沢山の服を部屋の中に運び込んできた。

最低ラインを決めたと今し方聞いたはずなのに運び込まれるこの服達はなんなんだろうか。
部屋に運び込まれた服は全部で20着。

侍従達が部屋の中で待機しているのを見るに多分まだ何着か別室で待機してるだろう。
これは地獄の服選びになるだろう。

普段は母上主導の服選びをするが、今回は私主導での服選びになった。
好き好んで服を選んだ事がないから、私の服選びは難航した。

私好みのシンプルな物からかなり派手な物まで揃っていた。
派手なものは母上も父上も好んで選ばなさそうだが、私が選ぶという事で色んな種類を選べるようにと用意してくれたのだろうが、申し訳ないが派手な物は全て下げてもらって待機させている服の中でシンプルな物を運んで貰うように伝えた。

現在部屋の中で残っている服はかなりシンプルな服から、私の中では派手だと思う服だ。
じっくりと見てもどうしても私には満足行く服が見当たらなかった。

「服選びが難航しているね。ラグがとっておきとして残している服をまだ持ってきてないけど、それを一緒に見に行くかい?」

「とっておき?」

「その表情は気になっているね。一緒に観に行こうか」

母上に手を引かれて部屋から出て隣の部屋にまで連れて行かれた。
隣の部屋には一着だけ服が綺麗に整えられて掛けられていた。

黒を基調とした服で普段は短パンを履かせられるのに、今回のは長ズボンで足が全く見えない様になっていた。
中のシャツは赤を基調とする事が多いのに、青を基調としたものでシャツのボタンが見たことがない宝石で作られていた。

とても落ち着いた服で今まで見た服達が霞んで見えるぐらいだった。
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