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ぎゅっとホロに体を抱きしめられる。

「わかったそれ以上聞かないから…泣かないで」

どうやら私は無意識に泣いてしまっていたみたいだ。
私ですら…魔王の記憶がある私ですら母上から教えられている拷問は地獄そのものなんだ。

そんな地獄をイディに知って欲しいわけがない。

「聞いちゃってごめん。これ以上は僕も知ろうとしないから…」

「イディは悪くない…私が知って欲しくないだけなんだ…」

抱きしめてくれるイディを私もぎゅっと抱きしめ返した。
何時の間にか始まっていた体の震えが酷い。

「お風呂出よっか」

イディに連れられて私はお風呂から出た。
自身で何もする事ができなくて、イディに体を拭いてもらって服も着せてもらった。

髪の毛を乾かすのは大人の役割だからイディはタオルでしっかりと拭いてくれるだけになった。
私もイディの髪の毛を拭こうとしたけど、それは許してもらえずただじっとしているだけになった。

イディの髪の毛はしっかりと拭けていなくてポタポタと水滴が落ちている。

「イディそのままじゃ風邪を引いてしまう」

「僕の心配よりも今はホロが心配なんだ」

なんで私の方を優先するんだ。
風邪を引いて仕舞えばイディだって辛い目に合うのに。

「私は…何も体調は悪くない…」

「体調は悪くないよね。でもホロの心が良くない状態だから今日はゆっくりとしてよ」

普段怒られる事だけど枕にタオルが引かれてそのまま私はベッドに寝かせられた。
まさか寝かせられるとは思わずぱちくりと瞬きをしてイディを見た。

「辛い時は一緒に寝たら治るよ。僕も最近ホロと一緒にいる事ができなかったから一緒に寝たいんだ」

私の隣にイディが寝転がってニコニコと笑顔を向けてくる。

「夕食も待っているから起きてないと…」

「起こしてもらって一緒に食べよ。今日はお父様もお母様もきっと許してくれるよ」

眠気はそんなになかったのに、イディに抱きしめられ続けていると暖かさで段々と眠たくなってきた。
眠たくなるとは思っていなかったが、久々にゆっくりと眠れそうだと思った。

最近は寝ても寝ても寝た気がしなくて疲れが取れなかった。
でも今日は少し眠れそうな気がする。

久々にあるイディの体温で私は眠りについた。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

僕の隣でホロが寝息を立てて寝ている。
久々に一緒に寝れる事に心の底から喜びを感じた。

それと同時にこの隈がなくなって、ぐっすりと眠れることを願った。
最近のホロは寝れていないようで目の下に隈を作っていた。

お父様もお母様もホロからの相談を待っていたが、ホロ本人が良く分かっていなかったみたいで無意識の内で無理をしていたみたいだ。
僕もホロと一緒に寝なくなってから眠りが浅くなって、昼間に酷い眠気に襲われる事が多くなった。

今日はお父様に相談してホロと一緒に寝る事を許可してもらった。
ホロももしかしたらという事で僕と一緒に寝る事でホロの状況が改善される可能性があると考えている。

ゆっくりと寝息を立てて寝ているホロの表情を見てお父様の考えは間違いではないことが確認をとれた。
僕も少しの間だけ寝て夕食に行こうと決め、ホロを抱きしめながら僕も眠りに落ちた。
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