子悪党令息の息子として生まれました

菟圃(うさぎはたけ)

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今日の拷問の授業は私が気を失って終了した。
目を覚ました時にはベッドの上に居て母上が側で看病をしてくれていた。

「目を覚ましたようだね。まさか気絶するとは思っていなくて…次からはもっと優しくするね」

授業を辞めるという事自体はないようだ。
あんな事がほぼ毎日起こると思うと気が狂いそうだ。

殺す事と同じものだと思っていたのに、また違うそれに私は忌避感を感じていた。

「母上…あの授業は元々考えていたものなのか?」

「元々は別の人に継いで貰う予定だったんだけど、誰も彼もが軟弱過ぎてイディとホロしか継げないって状態になってしまったんだ」

最初は大人にして貰う予定だったんだろう。
でもその大人ですらダメだった物をなんで私たちができると思ったんだ。

「私たちに何を見たんだ…この私ですらこうなるんだ」

「んー、やっぱり僕だけが特殊だったみたいだね。ラグですら僕の拷問を見て吐き戻したぐらいだから…。でもホロは吐き戻さず気絶した程度だからラグより見応えがあるよ!」

それは褒められているのか…?
母上の褒め?が全く嬉しくない。

「あの父上すら吐き戻すって何をしたんだ」

「腹を裂いて腑を出しただけだよ?」

きょとんとした表情とは裏腹にやっている事がえげつない。
ふわふわした母上は嘘なんだろうか。

「誰だって吐き戻すだろう!」

「だって…その時は敵をバサバサ切り殺してたんだよ?臓腑ぐらい沢山見ているから大丈夫だと思ったんだもん…」

口を尖らせながら文句を言う母上。
そんなことをしても可愛くない。

「殺すのと拷問とは別物すぎる事を理解してくれ…」

この常識知らずの母上に父上は相当苦労していたのだろう。

「無事起きた事だし、授業を再開しよっか!」

屈託な笑顔でありながらものすごいことを言われた気がする。

「え?なんてい」

「授業を再開するんだよ」

言い切る前に言葉を遮られた。

「え?まだ私そんなに元気じゃない…」

「やらなきゃいけない事だよ」

すっと母上の表情が消える。
母上の感情が全く読み取れない。

「わか、り…ました…」

私はもう何も言い返す事ができずそのまま頷くしかできなかった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

正直に言おう。
地獄すぎた。

この世の地獄かと思う経験をした。
爪を剥がす拷問が生ぬるく感じるぐらいの地獄だった。

ハイエルフは拷問を受けすぎて途中で精神が崩壊したが、精神が崩壊する度に気付け薬を投与して精神を元に戻すことをしていた。
拷問は本来情報を出すために行う行為の筈なのに、母上はこの拷問を完全に授業の一環として扱っていた。

だから情報を吐かす事もなく行っていたからハイエルフは次々に受ける拷問に叫ぶ事しかできなかった。
指先を少しずつ切り落としていくのまでは耐えられた。

その次の腹部を裂いて臓物を出してくる事は耐えられず、意識を吹っ飛ばしたけど母上に直ぐに起こされた。
この地獄が終わった後に夕食の時間になったけど、食事が喉を通らず全く食べられなかった。

肉体的な疲れはなかったが、精神的な疲れが酷く私は風呂を入る事も忘れてそのまま眠ってしまった。
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