子悪党令息の息子として生まれました

菟圃(うさぎはたけ)

文字の大きさ
上 下
18 / 120
1

18

しおりを挟む
今日の拷問の授業は私が気を失って終了した。
目を覚ました時にはベッドの上に居て母上が側で看病をしてくれていた。

「目を覚ましたようだね。まさか気絶するとは思っていなくて…次からはもっと優しくするね」

授業を辞めるという事自体はないようだ。
あんな事がほぼ毎日起こると思うと気が狂いそうだ。

殺す事と同じものだと思っていたのに、また違うそれに私は忌避感を感じていた。

「母上…あの授業は元々考えていたものなのか?」

「元々は別の人に継いで貰う予定だったんだけど、誰も彼もが軟弱過ぎてイディとホロしか継げないって状態になってしまったんだ」

最初は大人にして貰う予定だったんだろう。
でもその大人ですらダメだった物をなんで私たちができると思ったんだ。

「私たちに何を見たんだ…この私ですらこうなるんだ」

「んー、やっぱり僕だけが特殊だったみたいだね。ラグですら僕の拷問を見て吐き戻したぐらいだから…。でもホロは吐き戻さず気絶した程度だからラグより見応えがあるよ!」

それは褒められているのか…?
母上の褒め?が全く嬉しくない。

「あの父上すら吐き戻すって何をしたんだ」

「腹を裂いて腑を出しただけだよ?」

きょとんとした表情とは裏腹にやっている事がえげつない。
ふわふわした母上は嘘なんだろうか。

「誰だって吐き戻すだろう!」

「だって…その時は敵をバサバサ切り殺してたんだよ?臓腑ぐらい沢山見ているから大丈夫だと思ったんだもん…」

口を尖らせながら文句を言う母上。
そんなことをしても可愛くない。

「殺すのと拷問とは別物すぎる事を理解してくれ…」

この常識知らずの母上に父上は相当苦労していたのだろう。

「無事起きた事だし、授業を再開しよっか!」

屈託な笑顔でありながらものすごいことを言われた気がする。

「え?なんてい」

「授業を再開するんだよ」

言い切る前に言葉を遮られた。

「え?まだ私そんなに元気じゃない…」

「やらなきゃいけない事だよ」

すっと母上の表情が消える。
母上の感情が全く読み取れない。

「わか、り…ました…」

私はもう何も言い返す事ができずそのまま頷くしかできなかった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

正直に言おう。
地獄すぎた。

この世の地獄かと思う経験をした。
爪を剥がす拷問が生ぬるく感じるぐらいの地獄だった。

ハイエルフは拷問を受けすぎて途中で精神が崩壊したが、精神が崩壊する度に気付け薬を投与して精神を元に戻すことをしていた。
拷問は本来情報を出すために行う行為の筈なのに、母上はこの拷問を完全に授業の一環として扱っていた。

だから情報を吐かす事もなく行っていたからハイエルフは次々に受ける拷問に叫ぶ事しかできなかった。
指先を少しずつ切り落としていくのまでは耐えられた。

その次の腹部を裂いて臓物を出してくる事は耐えられず、意識を吹っ飛ばしたけど母上に直ぐに起こされた。
この地獄が終わった後に夕食の時間になったけど、食事が喉を通らず全く食べられなかった。

肉体的な疲れはなかったが、精神的な疲れが酷く私は風呂を入る事も忘れてそのまま眠ってしまった。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜

紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。 ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。 そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?

アルファな俺が最推しを救う話〜どうして俺が受けなんだ?!〜

車不
BL
5歳の誕生日に階段から落ちて頭を打った主人公は、自身がオメガバースの世界を舞台にしたBLゲームに転生したことに気づく。「よりにもよってレオンハルトに転生なんて…悪役じゃねぇか!!待てよ、もしかしたらゲームで死んだ最推しの異母兄を助けられるかもしれない…」これは第二の性により人々の人生や生活が左右される世界に疑問を持った主人公が、最推しの死を阻止するために奮闘する物語である。

婚約破棄されたショックで前世の記憶&猫集めの能力をゲットしたモブ顔の僕!

ミクリ21 (新)
BL
婚約者シルベスター・モンローに婚約破棄されたら、そのショックで前世の記憶を思い出したモブ顔の主人公エレン・ニャンゴローの話。

【完結】元騎士は相棒の元剣闘士となんでも屋さん営業中

きよひ
BL
 ここはドラゴンや魔獣が住み、冒険者や魔術師が職業として存在する世界。  カズユキはある国のある領のある街で「なんでも屋」を営んでいた。  家庭教師に家業の手伝い、貴族の護衛に魔獣退治もなんでもござれ。  そんなある日、相棒のコウが気絶したオッドアイの少年、ミナトを連れて帰ってくる。  この話は、お互い想い合いながらも10年間硬直状態だったふたりが、純真な少年との関わりや事件によって動き出す物語。 ※コウ(黒髪長髪/褐色肌/青目/超高身長/無口美形)×カズユキ(金髪短髪/色白/赤目/高身長/美形)←ミナト(赤髪ベリーショート/金と黒のオッドアイ/細身で元気な15歳) ※受けのカズユキは性に奔放な設定のため、攻めのコウ以外との体の関係を仄めかす表現があります。 ※同性婚が認められている世界観です。

王様のナミダ

白雨あめ
BL
全寮制男子高校、箱夢学園。 そこで風紀副委員長を努める桜庭篠は、ある夜久しぶりの夢をみた。 端正に整った顔を歪め、大粒の涙を流す綺麗な男。俺様生徒会長が泣いていたのだ。 驚くまもなく、学園に転入してくる王道転校生。彼のはた迷惑な行動から、俺様会長と風紀副委員長の距離は近づいていく。 ※会長受けです。 駄文でも大丈夫と言ってくれる方、楽しんでいただけたら嬉しいです。

ヒロインの兄は悪役令嬢推し

西楓
BL
異世界転生し、ここは前世でやっていたゲームの世界だと知る。ヒロインの兄の俺は悪役令嬢推し。妹も可愛いが悪役令嬢と王子が幸せになるようにそっと見守ろうと思っていたのに…どうして?

とある冒険者達の話

灯倉日鈴(合歓鈴)
BL
平凡な魔法使いのハーシュと、美形天才剣士のサンフォードは幼馴染。 ある日、ハーシュは冒険者パーティから追放されることになって……。 ほのぼの執着な短いお話です。

異世界へ下宿屋と共にトリップしたようで。

やの有麻
BL
山に囲まれた小さな村で下宿屋を営んでる倉科 静。29歳で独身。 昨日泊めた外国人を玄関の前で見送り家の中へ入ると、疲労が溜まってたのか急に眠くなり玄関の前で倒れてしまった。そして気付いたら住み慣れた下宿屋と共に異世界へとトリップしてしまったらしい!・・・え?どーゆうこと? 前編・後編・あとがきの3話です。1話7~8千文字。0時に更新。 *ご都合主義で適当に書きました。実際にこんな村はありません。 *フィクションです。感想は受付ますが、法律が~国が~など現実を突き詰めないでください。あくまで私が描いた空想世界です。 *男性出産関連の表現がちょっと入ってます。苦手な方はオススメしません。

処理中です...