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「お母様それ以上はお母様に非が出てしまいます」
「お母様に非があってもそれはお母様の称号で全部もみ消す事ができるから大丈夫だよ」
イディが止めに入ったけど、母上には意味をなさなかったようで簡単に説き伏せられてしまった。
これは本格的に父上がいないと止まらないだろう。
私の前だけならまだしも、イディの前でこんな事を起こすのだから相当怒っている。
母上を止める方法はこの言葉だろうか。
「父上が今の母上を見ると失望するぞ」
ぴたっと母上の動きが止まった。
踏みつけていた教師をほっぽって私の元に駆け寄ってきた。
「ラグには絶対に言わないでね!?」
若草色の瞳に戻っているから怒りは収まったみたいだ。
父上の名前を出すだけで止められるのはちょろいとしか言いようがない。
「多分無理」
扉ににこやかな笑顔で佇んでいる父上の方に指差す。
母上が父上を視界に映すと完全い表情が固まってしまっていた。
「楽しそうだねネヴィレント」
父上笑ってるけど、笑ってない。
イディにぎゅっと掴まれて、母上にもぎゅっと掴まれている。
私は父上の盾ではないのだが…
「今回の件はこの家庭教師が原因だから、ネヴィが怒るのも分かるよ?でも、子供の前で魔術師としての姿を出してはいけないだろう?」
父上に宥められる母上。
本当に母上は私たちより年上なのか偶に疑ってしまう。
「処刑人…」
父上の異名を教師が呟いた。
「私とネヴィの異名を知っていながら、私達の子供に手を出すのは家庭教師としては賢くないんじゃないのかな?」
「あ、あぁ…」
母上の考えよりかは優しい考えを持つ父上だけど、多分母上より父上の方がこの教師からしたら怖いだろう。
情操教育にはよくないからと父上と母上の異名について詳細な話を聞いた事はない。
母上は普段の姿から想像ができないから異名の意味が考察できない。
父上は異名が処刑人ではあるから多分処刑人の如く戦争で活躍したのだろう。
一度だけ父上がポロッと話していたが、戦争中に暇すぎて切り落とした頭を並べて数を数えていたとか言っていた。
これこそ情操教育によくないと思うのだが…
「お客人がお帰りの時間だ」
父上が手を叩けば侍従が恐ろしい表情をしながら教師の両脇を掴んだ。
教師は真っ青な顔色をしながら引きづられて勉強室から連れ出されていった。
そういえばここに父上と母上がもっとも頭が上がらない、国最強のお祖父様がいる事もあの教師は忘れていたのだろう。
「ホロ」
「なんだ?」
父上に呼ばれそちらに視線を向けると、悲しそうな父上は悲しそうな表情を浮かべていた。
あ…私の行動は間違っていたみたいだ。
私が教師によって怪我を負っているのは父上や母上、イディにとって教えてもらえないのは悲しい事なのか。
何が悲しい事なのか、辛い事なのか奪う者だった私には理解できにくかった。
「どうして教えてくれなかった?怪我を負ってしまった事を相手に伝えるのは確かに相手を悲しくさせる事だ。でも、それ以上に嫌な事が起こっている事を相談してくれない方が私達はもっと悲しいんだ」
「ごめん、なさい…」
「何についてだい?」
「酷いことされてるって言わなくて、ごめんなさい…」
生まれてこの方泣いていなかった私の目から涙がこぼれ落ちた。
なんだろう胸の真ん中あたりが痛い。
よく分からない痛みで余計に涙が出てくる。
抱きついているイディと母上事父上に抱きしめられた。
「言えて偉いな。ホロは記憶がある分わかりにくい事も多いだろう。だが、ネヴィとイディ、そして私がいるのだから相談してくれていいんだ」
「そうだよ。ホロはもっと周りを頼っていいんだ。頼りにくい事も多いだろうし、私達親には話しづらい事も沢山あるだろう。その時はイディにだけでも話してあげて」
「ホロはもっと僕達に頼って。酷いことされてるって知った時は悲しかったから」
三人からの温かい言葉にもっと涙が溢れてきた。
無意識で流れ出るこの涙は悪い気はしなくて、三人に抱きしめられながら私は満足行くまで泣き続けた。
「お母様に非があってもそれはお母様の称号で全部もみ消す事ができるから大丈夫だよ」
イディが止めに入ったけど、母上には意味をなさなかったようで簡単に説き伏せられてしまった。
これは本格的に父上がいないと止まらないだろう。
私の前だけならまだしも、イディの前でこんな事を起こすのだから相当怒っている。
母上を止める方法はこの言葉だろうか。
「父上が今の母上を見ると失望するぞ」
ぴたっと母上の動きが止まった。
踏みつけていた教師をほっぽって私の元に駆け寄ってきた。
「ラグには絶対に言わないでね!?」
若草色の瞳に戻っているから怒りは収まったみたいだ。
父上の名前を出すだけで止められるのはちょろいとしか言いようがない。
「多分無理」
扉ににこやかな笑顔で佇んでいる父上の方に指差す。
母上が父上を視界に映すと完全い表情が固まってしまっていた。
「楽しそうだねネヴィレント」
父上笑ってるけど、笑ってない。
イディにぎゅっと掴まれて、母上にもぎゅっと掴まれている。
私は父上の盾ではないのだが…
「今回の件はこの家庭教師が原因だから、ネヴィが怒るのも分かるよ?でも、子供の前で魔術師としての姿を出してはいけないだろう?」
父上に宥められる母上。
本当に母上は私たちより年上なのか偶に疑ってしまう。
「処刑人…」
父上の異名を教師が呟いた。
「私とネヴィの異名を知っていながら、私達の子供に手を出すのは家庭教師としては賢くないんじゃないのかな?」
「あ、あぁ…」
母上の考えよりかは優しい考えを持つ父上だけど、多分母上より父上の方がこの教師からしたら怖いだろう。
情操教育にはよくないからと父上と母上の異名について詳細な話を聞いた事はない。
母上は普段の姿から想像ができないから異名の意味が考察できない。
父上は異名が処刑人ではあるから多分処刑人の如く戦争で活躍したのだろう。
一度だけ父上がポロッと話していたが、戦争中に暇すぎて切り落とした頭を並べて数を数えていたとか言っていた。
これこそ情操教育によくないと思うのだが…
「お客人がお帰りの時間だ」
父上が手を叩けば侍従が恐ろしい表情をしながら教師の両脇を掴んだ。
教師は真っ青な顔色をしながら引きづられて勉強室から連れ出されていった。
そういえばここに父上と母上がもっとも頭が上がらない、国最強のお祖父様がいる事もあの教師は忘れていたのだろう。
「ホロ」
「なんだ?」
父上に呼ばれそちらに視線を向けると、悲しそうな父上は悲しそうな表情を浮かべていた。
あ…私の行動は間違っていたみたいだ。
私が教師によって怪我を負っているのは父上や母上、イディにとって教えてもらえないのは悲しい事なのか。
何が悲しい事なのか、辛い事なのか奪う者だった私には理解できにくかった。
「どうして教えてくれなかった?怪我を負ってしまった事を相手に伝えるのは確かに相手を悲しくさせる事だ。でも、それ以上に嫌な事が起こっている事を相談してくれない方が私達はもっと悲しいんだ」
「ごめん、なさい…」
「何についてだい?」
「酷いことされてるって言わなくて、ごめんなさい…」
生まれてこの方泣いていなかった私の目から涙がこぼれ落ちた。
なんだろう胸の真ん中あたりが痛い。
よく分からない痛みで余計に涙が出てくる。
抱きついているイディと母上事父上に抱きしめられた。
「言えて偉いな。ホロは記憶がある分わかりにくい事も多いだろう。だが、ネヴィとイディ、そして私がいるのだから相談してくれていいんだ」
「そうだよ。ホロはもっと周りを頼っていいんだ。頼りにくい事も多いだろうし、私達親には話しづらい事も沢山あるだろう。その時はイディにだけでも話してあげて」
「ホロはもっと僕達に頼って。酷いことされてるって知った時は悲しかったから」
三人からの温かい言葉にもっと涙が溢れてきた。
無意識で流れ出るこの涙は悪い気はしなくて、三人に抱きしめられながら私は満足行くまで泣き続けた。
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