子悪党令息の息子として生まれました

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私が誕生してから早5年がすぎた。
どうやら私はエルフとしての血を濃く受け継いだみたいでかなり成長が遅い。

イディは吸血鬼の血を濃く受け継いだみたいで他の子供よりも成長が早い。
私たちも二人だけで過ごしている訳ではなく、母上が学院で過ごしていた時にできた友人の子供と交流を図る事もあった。

その時にあった子供達はイディの成長と私の成長のちょうど中間点ぐらいで、私たちの成長がかなり差がある事がそこで理解する事ができた。
私の成長はかなり遅く、イディの成長はかなり早い事。

ついでにはなるが母上曰く私は『あるびの』という病気らしい。
それゆえに私は虚弱な体で産まれたようで、この年になるまでは熱を出したりする事が多かった。

「お勉強しに行こうホロ…」

「そうだな。然りと勉強するのだぞイディ」

「違うホロもしっかり勉強するの」

「そうだな。私もイディを支える事を考えて然りと勉強をせねばならないな」

イディに手を握られながら勉強室まで連れられていった。
私が疲れない程度の速度で歩いてくれる。

イディはこの年になっても表情がかなり分かりにくいが、母上と父上の教育の賜物だろう優しい性格に育った。
私は魔王としての記憶が残っているから性格はどうしようも出来ない部分があったが、どうすれば適切な対応になるのかは段々と身についていき今は魔王としての威厳のある態度は軟化したと思いたい…

「先生来ました」

私たち二人の勉強を教えてくれる教師は、イディはお気に入りの様でイディにはしっかりとした教育を施しているが、私の姿が異様に見えたようで勉強ではかなりの差別を受けている。
あの母上と父上に話せばすぐにこの教師は交代されるだろう。

だが、嫌な人間というのは必ず存在するのだからその教材として居て貰わないと私には困る。
それでこの教師は放置している。

「イディ様よくいらっしゃいました。それでは授業を始めましょう」

教師はイディにだけ挨拶をして、私には全く挨拶をしない。
この教師は母上の精霊の力を利用してどこの貴族の出身なのか確認をしたら、子爵家の妾の子供である事だった。

妾から産まれたというのは私たちにとっては重要ではなく、ただ家格の問題で子爵家の令息が伯爵家の令息に無体を働いている事が問題になるのだが…
一定数の人間はその問題行動を問題だと理解せず、行動に起こしている事が一番の問題なんだ。

私は教師から教材を貰う事ができず、イディと教材を共有して授業を受けている。
この姿を見るのは教師にとっては不満だったらしく、イディから見えない所で抓られたりペン先で刺されたりしている。

痛みは慣れているが生傷が絶えない状態になって、イディと一緒に風呂に入る事ができなくなった。
最近はイディにその事で文句を言われる事が多くなったが、悲しませたくないからこの事をイディにも話していない。

「それでは…イディ様こちらの内容はお分かりになりますか？」

本当に簡単な内容の質問だった。
イディですらその質問に困惑した表情をした。

「その内容は大分前に終わった内容だと思うのですが…」

「申し訳ありません。質問の内容を間違えてしまいました」

イディにそんな不躾な視線を送らないで頂きたいものだ。