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王様の怒りはかなり強かった

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王女はかなり怯えた様子で俺より前に行く事ができない。
王様にここまで怒られたことがないんだろうね。

でも今回はしっかりと怒られてもらわないと困るから、しっかりと怒られて欲しいものだ。
どれだけ非道な事をしても王女だからという理由で許されてきたのだから、これを機に反省に生かしてほしい物だ。

「王女よ早く私の元に来るのだ」

王様の堪忍袋の尾が切れる手前ぐらいでようやく王女が俺たちの前に立った。
背中でもわかるぐらい王女は体を震わせている。

そんなに怒られるのが怖ければ変な事をしなければよかったのに。

「なぜ聖者様の伴侶である侯爵に手を出そうとした」

「そ、それは…あ、の…」

俺の前の威勢の良さは形を潜めて怒られるのを怖がっている姿しか見えない。

「早く答えんか!」

「こ、コイツが聖者だなんて誰も教えてくれなかったんだもの!聖者の旦那だって分かってたら私だって…手を出さなかったわ…」

聖者とか関係なく既婚者である男を誘惑して自分の物にしようと考えるのが人として恥ずべき行動だとは思わないのだろうか。
それとも、その行動自体が恥ずべき行動だと思ってすらないのか。

「ルド様が聖者であることは全ての王族に通達済みだ。そして、その通達を行う時は必ず侍従ではなく私の影の部隊の者が伝えたのだが?聞いていないは通用せぬぞ?」

「か、影の部隊…?」

聖者という重要な内容を一介の侍従から教えられるわけがない。
王様は俺を信用させる為に、全ての影に俺が聖者である事を伝え俺の事を許可した者以外に話す事を禁止する制約も設けさせた。

それぐらいに徹底していて、その制約の中には王族に生まれた者は聖者である俺が存在している限りは必ず影から聖者の存在が伝えられ、聖者の機嫌を害してはならないと教えられる。
そして聖者の機嫌を損ねるような事をすればそれ相応の罰が下るとも書いてあった。

そんな物を容赦なく作れる王様もだし、影の部隊の人達もそうだ。
なぜか俺の事を心酔しきった表情で俺の事を見ていて、王様の命令よりも俺の命令が下るのを今か今かと待ち侘びているような感じなのだ。

そんな影の部隊にかなりの危険を負わさせているが、王族のもそれ相応の罰が下るとしているがこれは俺がその罰の内容を決める事ができる。
内容によっては処刑にもできてしまうし、牢屋に拘束、私刑、奴隷として落とす事もできてしまう。

「わ、私そんな、話…き、聞いておりませんわ…」

影の部隊に管理されていること。
そして、影の部隊にはその王族に聖者の事を伝えると誓約書に誰に伝えたのかが文字として浮かぶ。

そしてその誓約書にはしっかりと目の前の王女の名前も刻まれている。
だから聞いていないという言い逃れは絶対にできない。

覚えていないと言った方がマシなぐらいの嘘だ。

「ふざけるでない!自身の過失を伝えた者のせいにするでない!どれだけ重要な方であるのが分かっておらぬのか!」

王様の怒鳴り声は最早怒りを通り越して、殺意が滲んでいるのがわかる。
怒りたいのは分かるけど殺意を混ぜるのはちょっと違うかな…。
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