上 下
195 / 199
ストーリーが開始されました!

王様の怒り

しおりを挟む
「スウェード侯爵ご夫妻と、第二王女殿下のおはいりです!」

衛兵に堂々と告げられながら中に入るのは中々恥ずかしい。
会議室に入れば中には仰々たるメンバーと、王様がどっしりと座っていた。

王様自身は聖者史上主義で俺が来た時は王子や王女をかなりの人数を紹介されてしまった。
やんわりと断ろうとしたら先にヴァンクラフトが切れてその話自体は完全に無くなった。

「おぉ、聖者様!ようこそおいでなさいました!」

王様が立ち上がって俺の手を取り熱烈な握手をされる。
その姿に王女が驚く声が聞こえる。

「して…何故王女がここにいるのじゃ?」

王女が入ってきたことに気がついてなかったのかっ!
この王様は本当に聖者史上主義すぎる。

「陛下にお話したい事がありましてお連れ致しました」

「聖者様私に敬語は不要だと言った筈ですじゃ。話も一体なんなのじゃ?」

「クルドあれ持ってきてくれる?」

クルドに回収して貰っていた王女がヴァンクラフトに飲ませた飲み物を小さな瓶に詰めたものを持ってきてもらった。
せめて物的証拠はないとね~。

貰った瓶の中身は媚薬の量がかなり多かったようで、飲み物はドヨンと澱んでいる。

「それはなんじゃ…?」

「媚薬入の飲み物です」

「なんだと!?一体誰がお主にそんな非道な事を!?」

俺に媚薬が盛られたと思って王様が大興奮している。
余りにも興奮し過ぎて止められる気がしない。

「陛下お辞め下さい。ルド様がお困りになられています」

「お、おぉ…私としたことが…すまぬ財務大臣」

「いえ、陛下の為とあれば私は身を賭してでもお助け致します」

財務大臣はパチリとウインクしながら笑顔を向けられた。
財務大臣が俺を助ける理由は王族がかなり散財をしていたのだが、聖者である俺が無駄遣いをそこまで好まない事を知った途端王様が散財を辞めるようにと命令したんだ。

それで王族の散財が無くなって、国庫が安定したのをきっかけに俺の味方をしてくれるようになった。

「で、では一体誰にこの媚薬を持ったのじゃ…?」

「俺の夫のヴァンクラフトに、です。どうやら俺がヴァンクラフトの妻であるのが嫌な者が居るようで、夫に自身を襲わせさせようとしたのです」

「なんと…そなたの夫たるスウェード侯爵に不貞を働かさせようとしたのか!?」

また興奮して俺のところに押しかけようとしてきたけど、それを財務大臣が止めてくれる。
この王様統治とか経歴も見たら普通よりかなり優秀な人物なのに、聖者の事となると普通よりへっぽこになってしまうのはなんでなんだろうか…。

まぁ、こんな王様だからこそ支持はかなりされているんだけどね。

「そ、その犯人は一体誰なのじゃ!?即刻、即刻死刑にしてやる!」

まさかの言葉に驚いてしまった。
本当に何かに依存してる人が、その依存先が何かあればここまで過剰な反応を示すなんて…。

本当にヴァンクラフトが無理矢理結婚させてくれていて良かった。

「犯人はここに居る王女です」

「なん…だと…?王女が、我が王族がそなたの夫を狙った…?」

愕然とした王様の話し方は理解出来る。
何せ王族全員に俺が聖者である事も伝え、そして聖者には手を出さないようにと通達させていたからだ。

「王女!直ぐに私のところへ!」

王様の怒鳴り声は余りにも大きすぎてびっくりしてしまった。
しおりを挟む
感想 83

あなたにおすすめの小説

目覚めたそこはBLゲームの中だった。

BL
ーーパッパー!! キキーッ! …ドンッ!! 鳴り響くトラックのクラクションと闇夜を一点だけ照らすヘッドライト‥ 身体が曲線を描いて宙に浮く… 全ての景色がスローモーションで… 全身を襲う痛みと共に訪れた闇は変に心地よくて、目を開けたらそこは――‥ 『ぇ゙ッ・・・ ここ、どこ!?』 異世界だった。 否、 腐女子だった姉ちゃんが愛用していた『ファンタジア王国と精霊の愛し子』とかいう… なんとも最悪なことに乙女ゲームは乙女ゲームでも… BLゲームの世界だった。

この道を歩む~転生先で真剣に生きていたら、第二王子に真剣に愛された~

乃ぞみ
BL
※ムーンライトの方で500ブクマしたお礼で書いた物をこちらでも追加いたします。(全6話)BL要素少なめですが、よければよろしくお願いします。 【腹黒い他国の第二王子×負けず嫌いの転生者】 エドマンドは13歳の誕生日に日本人だったことを静かに思い出した。 転生先は【エドマンド・フィッツパトリック】で、二年後に死亡フラグが立っていた。 エドマンドに不満を持った隣国の第二王子である【ブライトル・ モルダー・ヴァルマ】と険悪な関係になるものの、いつの間にか友人や悪友のような関係に落ち着く二人。 死亡フラグを折ることで国が負けるのが怖いエドマンドと、必死に生かそうとするブライトル。 「僕は、生きなきゃ、いけないのか……?」 「当たり前だ。俺を残して逝く気だったのか? 恨むぞ」 全体的に結構シリアスですが、明確な死亡表現や主要キャラの退場は予定しておりません。 闘ったり、負傷したり、国同士の戦争描写があったります。 本編ド健全です。すみません。 ※ 恋愛までが長いです。バトル小説にBLを添えて。 ※ 攻めがまともに出てくるのは五話からです。 ※ タイトル変更しております。旧【転生先がバトル漫画の死亡フラグが立っているライバルキャラだった件 ~本筋大幅改変なしでフラグを折りたいけど、何であんたがそこにいる~】 ※ ムーンライトノベルズにも投稿しております。

愛などもう求めない

白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。 「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」 「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」 目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。 本当に自分を愛してくれる人と生きたい。 ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。  ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。 最後まで読んでいただけると嬉しいです。

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。 そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。 ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。 そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

【完結】もふもふ獣人転生

  *  
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。 ちっちゃなもふもふ獣人と、攻略対象の凛々しい少年の、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です。 本編完結しました! おまけをちょこちょこ更新しています。

人生イージーモードになるはずだった俺!!

抹茶ごはん
BL
平凡な容姿にろくでもない人生を歩み事故死した俺。 前世の記憶を持ったまま転生し、なんと金持ちイケメンのお坊ちゃまになった!! これはもう人生イージーモード一直線、前世のような思いはするまいと日々邁進するのだが…。 何故か男にばかりモテまくり、厄介な事件には巻き込まれ!? 本作は現実のあらゆる人物、団体、思想及び事件等に関係ございません。あくまでファンタジーとしてお楽しみください。

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。

みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。 生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。 何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

悪役転生したはずが主人公に溺愛されています

zzz
BL
死んだ。そう気づいて目を開けると、全く知らない世界にいた。 いや、全くと言ったら嘘になる。 俺はこの世界を知っていた。 なぜならここは、俺も開発に携わったゲームの世界だったからだ。 そして俺は主人公である勇者に転生……ではなく、勇者に嫌がらせをし、最終的に殺される悪役に転生していた! 死ぬのはごめんだがケツを狙われるのもごめんなんだけど!!?

処理中です...