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反撃

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「王女の私に向かってなんて無礼な!」

女の顔が真っ赤になるけど、サミュエルの時みたいに体が震えたりしない。
今の俺は一人じゃなくてヴァンクラフトが側に居るからだろうか。

「ただの王女が俺とヴァンクラフトと対等に居られるとでも?というか、俺がどんな存在なのかって王族には伝えているのにどうして王女であるお前が知らないの?」

実際俺はこの国に来た時、ヴァンクラフトの妻として王城に挨拶しに行った。
ヴァンクラフトは王族で尚且つ敵国の将軍だった存在。

その存在の妻だから手を出すなという牽制で行く予定だったけど、男である俺の事を気に入らなかった国王の側近達のせいでヴァンクラフトから引き離されそうになったから聖者である事を暴露したんだけどね。
その時に王族は知っておくべきということで、そこそこの年代の王族全員を招集して聖者の俺を知らしめたんだけど…。

もしかしてその時何かの用事で来られなかったとしても、情報を渡されないわけが無い。
どれだけ無能だとしても、立場を弁えてなかったとしてもこの世界の人にとっては秘宝である聖者を無碍に扱う訳には行かないのだから。

「ヴァンクラフト様に引っ付いているただの虫よ!私はお可哀想なヴァンクラフト様をお助けする為に不名誉を被ってまでお助けしようとしたまでですわ!」

「言うことにかいて虫かー…。今日のことは国王に直接抗議させて貰うよ。夫を俺から奪おうとした事と、暴言を吐いたこと纏めてね。一体何処の誰に嫁がされるか楽しみだよ王女様?」

本当は直接抗議ではなく手紙で伝えるつもりだったけど、虫呼ばわりされてその優しさも吹き飛んだ。

「そんなこと一介の平民が出来るわけがありませんわ!」

王女から飛び出して来た平民という言葉に驚いた。
俺平民どころか元大公子息なんだけど?

ここでは侯爵夫人だけど列記とした元貴族なんだけど…。
なんかこれって情報遮断されてるんじゃなくてねじ曲がった情報与えられてる?

「俺元大公子息だけど?」

「そ、そんな事有り得ませんわ!だ、だって大公殿下のお子様はまだ赤子の…」

「それも違うけど?あの子は訳あってだけど僕とヴァンクラフトの子供だよ。あの時は場所も場所だったから父さんと母さんに預かって貰ってたんだ。だから俺が大公子息で間違いない」

王女の慌てふためき方的に勘違いって感じか。
こういう感じの奴は確か変に嘘を吹き込まれてると名前を言ったりするからなー。

勘違いであろうとでも俺からヴァンクラフトを奪おうとしたのは絶対に許せない。
俺にとって心を許せる存在がただでさえ少なく、友達として生きて欲しいキアがいつの間にかうちの子のベビーシッターの仕事を始めてるし…。

心を許してなんでも話せる存在が、ヴァンクラフトとヴァバリアスだけになったんだ。
父さんと母さんは少し遠い領地で穏やかに過ごしてるから、そこに介入するわけにいかないしね。

「どうせこれから暇だろうからこのまま王城に行こうか。お前の愛してやまない陛下に赤裸々に話を聞いてもらおう?」

この中で一番権力を持たせてはいけないのは俺なんだろうな。
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感想 83

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