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嫌がらせ

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「そういえば本日は面白い催しを準備いたしましたの」

今回の主催者であるご婦人がパチンとセンスを畳み、顔を隠すこともなく俺の方に気持ち悪い笑みを見せてきた。
一体このご婦人はどんなくだらない事を考えているんだ。

少しお菓子を食べ過ぎたせいで、若干喉が渇いたけど変な物を入れられている紅茶を飲む気が起きないから持参してきた水を飲む。
マナーとしては良くないけど体調を悪くしたくもないし、子供を産んでからそこまで時間が経っていないのもあるから体に悪いものは入れたくない。

他のご婦人から白い目で見られるけど知ったことではない。
そんなに人に害をなしたいのであれば、戦場にでも行って好きなだけ人を傷つけたら良いのにね。

「少し歩きますが、とても面白い催しでございますわ。きっと皆様もご満足頂けるかと思います」

自身満々に話すご婦人は最近俺のいじめを加速させている人物だから、また俺に対してめんどくさい事をさせようと思ってるんだろう。
案内された場所に行くと、その場所はご婦人の家が持っている騎士団の訓練場だった。

かなりの大きさの訓練場に、この家は騎士系の家系だった事を思い出した。
訓練場の中心にはなぜかヴァンクラフトが居て、その隣にはクルドがいる。

どうしてヴァンクラフトがここにいるんだ!?
騎士団の仕事だとは聞いていたが、こんな所まで赴いて騎士団の訓練を行っているなんて…。

出会った当初は誰とも交友を嫌がっていたのに、今はこうして表だった仕事もできる様になっているだなんて…感激すぎる!

「本日はヴァンクラフト様とその騎士であるクルド卿をお招きして、騎士団の訓練を行って頂いておりましたの。どうやら夫人はお話をお聞きされていなかった様ですわね?」

あー、これ俺が話を聞いていない事が愛されていない証拠だとでも言いたいのだろうか。
場所は確かに告げられていないけど、騎士団の仕事に行くことは聞いているし、それに最近は距離が離れていても心の声が四六時中聞こえてくるのだから心配になる事がないんだよな。

今も正直かなりうるさくて堪らないけど、これが愛の現れだと思えるからずっと聴き続ける事ができる。

「仕事に行くことは聞いております。それに私は皆様と違って夫を疑う必要性はございません」

ご婦人方はさぞ若い子に夫を取られないかとずっと気を張っているんだろうけど、俺にはそんな必要は一切ない。
そんな意味を込めて話せば、殆どのご婦人方が顔を背けたがなぜか主催者のご婦人はずっと俺を見続けてきた。

一体何を考えてるんだ…。

「どうやら騎士団の訓練が終わったようなので、騎士の皆様に飲み物をお持ちいたしましょう?ささ、王女殿下は一番の功労者のヴァンクラフト様へ…」

そういう事ね。
全員には念の為に毒を感知するけど魔道具と、解毒の魔道具を持たせているけど…ヴァンクラフトは絶対に王女から飲み物を受け取らないだろうな。

俺は飲み物すら渡すことを許されず、何故か訓練場の外側に一人放って置かれた。
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