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来てくれた

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次に何されるか分からない恐怖に目を瞑れば上にあった重さが急に消えた。
何があったか分からなくて怖かったけど、知ってる匂いに包まれた。

ゆっくりと目を開けたらゼゼは遠くで転がっていて、俺の側には総本山にいる筈のヴァンクラフトが居た。

「どうして、ここに…?」

「ルドの助けを求める声が聞こえてね。それでこの僕のそっくりさんは一体誰なのかな?」

「父さんの部下なんだけど…」

この続きを話しても問題ないのだろうか。

「大丈夫だよ。おおよその検討はついてるから」

「殿下にそっくりの体は闇者の本体なんだ。どうやって封印が解けたのかは分からないけど、でも間違いなくゼゼは治癒団の本拠点から体を貰ったって…」

「そうなんだ。どうやら闇者本人からもあれが本体である事は確認が取れた。中にいる存在が分かれば取り返す事も可能だって言っているけど…。ゼゼって名前には聞き覚えは僕も闇者もない。ルドも今日初めて知ったようだから闇者の体からゼゼという奴の意識を引っ張り出すのは難しいかもしれない」

やっと見つけた体からゼゼの意識を引きずり出すのが難しなんて。
こんな最悪な事はない。

「どうしてお前がここにいる。治癒団の総本山に居たと聞いていたのに」

ヴァンクラフトによって突き飛ばされた筈なのに、ピンピンとしているのを見ると闇者の体は相当頑丈なのがわかる。
ここまで頑丈だと対処するのも難しいんじゃないのかな…。

の体であるぞ?弱点は分かっているから問題ない」

「でも、闇者が戻る体だよ?痛めつけてしまったら戻る時に辛くない…?」

「ルドお前は自身が聖者である事を忘れているな?」

「あ」

自分がすっかり聖者だって事を忘れていた。
聖者としての仕事を行うことができなかったから、そもそもそういう能力を持っている事を忘れてしまっていた。

「ルド結界は貼れる?」

「結界を貼っても…なんでか、闇者の体の前じゃ意味を持たないの…」

の体の前だけ?もしかすると、魂の問題があるのだろうな」

闇者が話している事は理解できなけど、きっと俺の魂が闇者を拒むことも、攻撃をする事も出来ないようになってしまっているのだろうか。
そう考えると、ゼゼから何をされても受け入れてしまうし可能性があるって事?

そんな恐ろしい目に絶対にあいたくない。

「ルド様が怯えてる姿を…俺から奪うっていうの?」

ゼゼが俺に向けてくる視線はねっとりとした物は変わりなかったけど、闇者に向ける視線は悪意に満ち溢れていた。
でもゼゼも闇者もお互い知っているか知らないかも分からない上で、戦いが始まるとなると本当にお互い無事でいられるのか分からない。

闇者の力は封じられているとはいえ、本当に全ての力が封じられるのかも分からない。
それなのにゼゼからは余裕の色が見える。

一体どこからその自信が出てくるのか分からない…。
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